第6話 ゴブリン戦
【噛みつき】スキルを発動させると、突然顎と牙が疼き出すのを感じた。
体内の何かが消費されていく感覚と共に、顎が大きく発達し、牙が鋭く長く伸びていく。それはまるで、口周りだけが上位モンスターに進化したかのような感覚だった。
(これなら……!)
強化された顎をガバッと思い切り開く。噛むというより噛みちぎるようなイメージで、ゴブリンの首筋に歯を突き立てた。
「ギャァァ!」
強化された噛みつき攻撃はゴブリンの皮膚や筋肉を容易く貫き、牙を奥深くまで突き刺さすことに成功した。
突然の痛みにゴブリンがのたうちまわる。手を首に伸ばして俺を剥がそうとするが、顎に力を込めて抵抗する。
(剥がされてたまるかよ! 潔く死ね!)
噛む力を一層強くすると、ゴブリンもより一層激しく暴れ回る。壁や地面に自分の背中を打ち付け、俺へダメージを与えようとしているようだ。
(ぐっ! 痛え!)
これ以上暴れられてはこちらも危ない。すでに、何処かしらの骨が折れていそうな気がした。
【吸血】
より多くのダメージをゴブリンに与えるため、吸血スキルで追撃を加える。
すると、ゴブリンがピキっと硬直。そして、ゴブリンの血がどんどんこちらの体内へと流れ込んでくるのを感じる。
それと同時に、ずっと不快だった喉の渇きが無くなっていくのがわかった。空腹や倦怠感も引いていき、身体に力が漲っていく。
(なるほど、血を求めていたのか)
どうやら、この体は食事や水ではなく血を求めていたようだ。種族を直訳すると血蝙蝠だし、そういうこともあり得るだろう。
そして、血を吸われていき動きが鈍ったゴブリンは抵抗もできないまま血を吸われ続ける。最終的に、干からびたミイラのようになったゴブリンが誕生した。
(ふぅ……よかったぁ。なんとか勝てた)
達成感や安堵などが募り、ついつい地面に横たわった。久しぶりの地面は、ひんやり冷たくて気持ちが良い。
魔物の姿になっているとはいえ、心は人間なのだ。飛びっぱなしで寝る時も宙吊りとなると、何処か気が休まらないものである。
久しぶりの地面を堪能しながら、勝利の余韻に浸った。
◇◇◇
さて、休憩は一旦終わりだ。いつ何処からモンスターが来るかもわからないので、一旦天井へ避難する。
そして宙吊りになり、ステータスを開いた。
【ステータス】
名前 なし
種族 ブラッドバット
レベル 2/10
体力 G
魔力 G
攻撃力 G
防御力 G
素早さ G
スキル
超音波:10
噛みつき:1
吸血:1
操血
(お! レベルアップしてる! それにスキルも増えてるな)
レベルアップしたからといっていきなり強くなった実感などは無いが、これは大きな前進だ。
気になる項目がいくつかあるので、それぞれ確認していこう。
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