第4話 ぼっちゴブリン探し
孤立しているゴブリンを見つけるため、超音波を駆使して天井スレスレを飛び回る。相変わらず激ムズアスレチックのような難易度をした天井付近だが、もう慣れたものでスイスイである。
探すのを孤立しているゴブリンに限定しているのは、1対2じゃ絶対負けるとわかっているからだ。
こちらは遠距離攻撃の手段を持っていないため接近せざるを得ないのに、フィジカルもクソザコレベルなんだぞ? 複数は流石にハードル高いって。
それに、こちらの主要な攻撃手段は鋭い牙を使った【噛みつき】攻撃だと思うのだが、敵が複数いると噛み付いている最中のところを袋叩きにされておしまいな気がしてならない。
(あぁ、想像しただけで俺が可哀想)
そもそも初陣から複数をわざわざ相手にするなんて、自信のある人か運が悪い人がすることだろう。複数にいきなり襲われて〜とかね。
それに比べて俺は空を飛べるので、敵を選ぶことができる立場なのだ。このアドバンテージを活かさない手はない!
ということで引き続き探していくが、なかなか見つからない。
(あれはオークか、絶対無理。次は……トロール。お、今度こそゴブリンだ! けど2体かよ……。)
探す前は嫌なくらい簡単に見つけられたのに、いざ探そうとなるとめっきり見つけられなくなってしまった。
見つからぬうちにもどんどんエネルギーは消費されていくため、少し焦る。
早く見つけるためにも移動速度を上げたいのだが、羽が疲れてきた。体も重く感じる。疲労の蓄積とエネルギー不足により飛行が不安定になっていく。集中力が途切れ、天井付近の岩に頭をぶつけてしまった。
(っ!)
そこそこの速度で飛行していたこともあり、そこそこ大きな衝突音と鈍い痛みが頭の中に広がっていく。
(痛え……クソ)
どうして自分がこんな目に。ゴブリンも見つからないし、少しイライラした気分になってきた。
ぶつかった岩を睨みつけ、八つ当たりする様に殴りつけるも、ストレスは発散されない。むしろ殴った腕にも痛みが広がり、イライラを加速させるだけだ。
(ふぅ……一旦落ち着こう。怒ってもいいことないし。てか、俺ってこんなに怒りっぽかったっけな……)
やはり、餓死という生物的な危機に陥っているからだろうか。いつもよりすこし感情的になりやすい気がする。落ち着くためにも、少し休憩を挟もう。
再び宙吊り状態になり、ボーッと羽根を休める。疲労感が取れると気分もすこしスッキリすることができた。
再び飛行を再開する。すると、ようやくゴブリンを見つけることができた。
(よっしゃ! やっと見つけたぜ)
厄介なことに棍棒を持っている武器持ちタイプのゴブリンだったが、これを逃したら次に単独ゴブリンを見つけられるのはいつになるかわからない。
これ以上探し回るのは流石に体が持たないだろう。
ゴブリンを睨みつけ、倒す決意を決める。
【超音波】
超音波で地形を理解しゴブリンの裏を取る。そして天井を蹴った勢いのまま、油断しているゴブリンへと襲いかかった。
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