もういいわけはおしまいに

楠秋生

もういいわけはおしまいに

いつもいいわけばかりしていた

出来ないいいわけ

やらないいいわけ

逃げることばかり考えて、自分から動こうとしなかった

「だって」と「どうせ」が口癖で


やって失敗するより、やらない方が楽だから

戦って負けるより、戦わない方が簡単だから

失敗したら

負けてしまったら

悪い方ばかりを想像して


逃げることばかりに時間を費やして

歌って踊って騒いでも

黙ってじっと籠っても

変われない自分に苛立って

変わらない自分を追い詰めていく


いいわけはいいわけをよんで

どんどん動けなくなって

いいわけのいいわけで

空回りしていく

後にはなんにも残らない




「いいわけは自分にだけしたらいいんだ」

その言葉の本当の意味を理解していなかった

いつも自分にしてると思っていたいいわけは

誰かの目を気にしているいいわけだった

そんなことも全部お見通しだったんだね


見てくれていた目がなくなって

守ってくれていた殻がなくなって

丸裸になって放り出されて初めて気がついた

全部全部甘えだったってこと

守られていたからいられたこと


後悔したってはじまらないけど

いくら後悔してもしきれない

だけどきっとこんな後悔も

必要ないと笑い飛ばすのだろう

反省したら後悔はいらないと


見ててくれる人がいなくても

誰もいなくてひとりぼっちでも

見ててもらえていた記憶があるから

大事にしてもらっていたこと覚えているから

これからはちゃんとやれるよ




一緒に歩いた散歩道

教えてくれた草花の名前

並んで眺めた空の色

虫や小鳥の鳴き声も

吹き抜けた風の香りも


本当はちゃんと胸にあったのに

奥の方にしまいこみすぎて

なんにも見えていなかった

だけどもう忘れない

しっかり胸に抱いていくよ


反抗して困らせたことも

たくさん心配かけたことも

いろいろ思い悩ませたことも

全部全部忘れない

ひとつひとつを糧にしていく


出来ることからはじめていこう

目の前のことから順番に

悲しいときでも

つらいときでも

いいわけはもうおしまいに

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もういいわけはおしまいに 楠秋生 @yunikon

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