7股まではセーフ

くらんく

結局のところ日曜日が1番好き

「どうしてこうなった」


 俺はいま猛烈に後悔している。

 7股していることが彼女にバレたのだ。

 月曜日から金曜日は職場の女の子と日替わりで、そして土曜日は隣の部屋の女の子と、日曜日は近所のカフェで働く女の子と付き合っていることが。

 

 バレた結果、俺はいま彼女の部屋に軟禁されている。

 他の女には絶対に会わせないつもりらしい。

 なんて身勝手な女だ。

 こんな奴だとは思わなかった。

 それにしても、俺ももっと上手くやるべきだった。

 もっと上手く隠し通せればこんなことにはならなかったのに。

 俺は後悔はしているが反省はしていない。


 それはなぜか。

 彼女には7股しているのがバレている。

 だが、彼女は付き合っている7人のうちの1人ではないからだ。

 では彼女は何者か。

 彼女は俺の幼馴染である。

 大学まで一緒だった彼女と数年ぶりに再会したのが昨日。

 思い出話をしながら飲み明かし、流れで一夜を供にしたのが今朝。

 そして7股がバレて軟禁されているのが今である。


「なあ、反省してるからコーヒーでも奢らせてくれ」


 彼女は快くその申し出を受け入れた。

 俺は彼女を連れて行きつけのカフェに行く。

 いつもの店員にいつものを注文する。

 違うのは連れている女性くらいだ。

 店員はいつものように微笑んでコーヒーをテーブルに運ぶ。

 彼女は上機嫌でカップに口をつけた。

 どうやら機嫌は直ったらしい。

 俺もカップに手を伸ばすと、小さなメモに気が付いた。

 それを彼女に見えないように確認すると可愛らしい文字が書かれていた。


『今日は土子さんじゃないんですね』


 これを渡した店員は通称日子さん。

 日曜日の彼女。

 日子さんは俺が7股していることを知っている。

 そして土子さんも、他の5人も知っている。

 知っていながら付き合っている。

 みんなと俺とが共有している暗黙の了解。

 

 しかし今回は話が違う。

 俺の幼馴染は8股を認めないだろう。

 じゃあ俺はどうすれば彼女と付き合えるだろうか。

 答えは簡単だ。


「俺と結婚してくれ」


 1+7股にすればいい。

 

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