第35話

 「行きましょう!ダックスさん」


「ああ」


 二人は互いに信頼し合ってもう一度ヴォールザムスのいる所へ向かう。


 他の所は壊滅的でヴォールザムスが2体に増えていた。


「2、2体もいる、」

 

「落ち着いて!俺達なら勝てますよ」


「大丈夫だ!落ち着いてる」


 一瞬でもビビった俺を殴ってやりたい。リューの合図で二人が同時に動く。

 一対一ならリューは勝てそうだが、2体ともなると流石に厳しい。だが、一人じゃない。


「ぐっ」


 リューが前を気にした隙に後ろヴォールザムスの炎が飛んで来る。

 それをリューは対応しようとすると前のヴォールザムスが攻撃を仕掛けてくる。連携をバッチリだ、俺も防御に周り援護しているもリューはまだ俺を信用し切ってないのか、一人で360度対応をしようとする。

 

「まずは一人っ。」


ドン!


 リューは踏み込みで一気にとどめを刺そうとするも、寸前で避けられ俺と対峙していた、もう一体のヴォールザムスがここぞとばかりに、攻撃する。


ガキィン!!


俺は咄嵯の判断でリューの前に出て盾で防いだ。


「前だけを意識しろ。」


「え?」

 やはりリューは俺のことをまだ信じきれてない。そんなリューに、

「俺はお前の為に動く!!お前はお前のやるべき事だけをやれ!!!」


 この瞬間、リューの意識は完全に目の前のヴォールザムスだけに集中した。

 俺はそれを確認するとニヤッと笑みをこぼす。


「「さあ、ここからが本番だ!」」


 互いに背中を預け、目の前にいる一体に集中する。

 俺は奴の攻撃パターンは掴んだ。が、俺には奴に通用する攻撃は持ち合わせて無い、

 それを何故かヴォールザムスは理解してるかの様に余裕そうに構えている。まるでこちらから仕掛けて来いと言ってる様だ。


 以前の俺なら今、突撃をして殺されていただろう。だが、今は違う。

 仲間がいる。リューが居る。だから俺は奴の挑発に乗ることはしない。


 動かない俺に奴は攻撃を誘うように一気に距離を詰めていく。

すると、ヴォールザムスは先程と同じ様に炎を出してきた。それを俺は盾で炎を防ぐ。


「属性耐性はすげーな、」


 自分の盾の性能に惚れる。

これなら俺もあいつを倒せるかも、と少し欲をかいてしまう。


 ここで焦るとまた失敗をする。

 落ち着け。冷静になれ。

 自分に言い聞かせる。


 俺とヴォールザムスは見つめ合ったまま両者共に守りの体制を続ける──


 すると────





「核突天掌こくとつてんしょう」


グオォォァァッ


ドン!


 ヴォールザムスの叫び声が聞こえる。その後から踏み込みの音が聞こえた。


「え?」

 俺は今までに無い衝撃を受ける。


「あと一体です。二人で倒しましょう!」


 「お、おうよ!」


 状況が掴めない俺はリューの頼もしい言葉に二つ返事をする。

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