第29話
「勝った、倒した、俺が?」
自分が倒したとはにわかに信じがたい出来事だ。
初任務というのにいきなりポータルボスを討伐することができたのだから。
「ああ!紛れもなくお前がやったんだ 少しは自分を褒めろい」
と俺を叩く、この瞬間に肩の荷が降りたかのように俺は先輩に倒れかかる。
「良くやったよお前は初めてで俺の初めてなんか……」
「ムクッ、先輩の初めてって?」
俺は先輩の初めての任務ことが気になって急に起き上がる。すると先輩は今のは聞かなかったことにしてくれとだけ言ってこの話を終えた。
「終わった、」
「助かった、」
「生きてるのか?」
傷を負った人達が言う。
「はい終わりました。討伐完了ですっ この少年がきっちりボスを倒してくれました。」
「うわぁ」
とニコニコと笑いながら俺を前に押し出す。
すると一斉にありがとうありがとうと俺を神様の様に拝んでくる。
「助かりましたあ」
「命の恩人だ、ありがとう」
こんなに俺も褒められてしまうと俺はすぐ浮かれる。
クールぶっているが、少しニヤニヤしているのを隠せていない。 (この人達良い人だ。ニッ)
「本当ありがとうもう俺も限界だったんだ。初めはごめんな子供だからって」
「い、いえいえこちらこそ助かりました。周りは任せていたので、」
やっぱ俺を子供扱いしてたのか、でもこの人は俺のことを一人の人間として意見を出していた。前世では俺のことなんか、道具としか思われてなかったのに、力さえあればやっぱり全てが上手くいってしまうのか?この世界も結局は力が全てなのか?
感謝をされ続け俺がニヤけているとスクラムドとダムドの二人がやってくる。
「終わってるよスクラムドさん。ボスが死んでる。」
「誰がやったんだ俺の獲物を!」
とここにいる人全員を威嚇してくる。俺は怯える。
ランと周りのオークを倒してくれた人以外の皆んなが俺に視線を向けてくる。
さっきまでは俺のことを神様の様に拝んでたのにそれ以上の存在が出て来ると、すぐに裏切る。これは人間の性質だ、
・・・やっぱり俺なんか
スクラムドが俺の方に近づいて来る。
「お前か?こいつをやったのは?」
「は、」
俺はスクラムドに謝ろうとした。
その時────。
「倒したのは俺だよ」
「やったのは俺だよ」
と2人が俺とスクラムドの間に入り込む。
ランとオークを倒してくれた人だった。
「あん?お前らがこのデカいボスをか?」
「うぐっ」
一人の男はスクラムドの威圧に気押されているが、ランは動じない。
「そうだよ!あんたらが遅いから俺とこいつで倒したんだよ」
ランはスクラムドを挑発する。その理由は一つしかなかった。先程奥にいた人達もポータルから出る際にここに通る。そして今ポータルに入った全員がここに集まる。
そう、ランはスクラムドの本性を恐怖を知らない人達に知らせ、リークさせるのが狙いだった。
その挑発にまんまとスクラムドは乗ってしまう。
「なんだとランのくせにこの俺様の獲物アイテムを!」
とランに殴りかかろうとする。
するとダムドが全力で止めにかかる。
「スクラムドさん!こいつは倒してくれたんです。俺達のために!」
───けっ冷静な奴が、
ランは少し悔しそうな表情をする。
「そうだよな!ありがとうラン君。
ではもう上がろうポータルを閉鎖されるぞ!」
みんなが揃って出口に向かう。
「ありがとう先輩、俺、」
「良いんだよ 俺も一つ言ってやりたかったんだ。」
フィルとランの仲がかなり深まった。
一方、スクラムド等
「良かった良かったランがアイテムを残してくれて」
全員を出口に促したあと、ボスの報酬を漁る。
「でもレアアイテムだけはないですね」
「あ、あいつ(怒)」
何か俺今怒られたか?
こうしてスクラムドの威厳はしっかりと保たれたままフィル=フリートの初任務は幕を閉じる。
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