第28話

「頼るのは己なんだよ」


 俺は剣を捨て一番得意な状況にする。

これで俺の防御力はほぼ無くなった、攻撃あるのみだ


 「アイスバレット」


 俺はハイオークに氷属性攻撃を仕掛ける。


「グオォォ」


 それを正面から受ける。かなりの数の攻撃を打つもそこまでダメージが入っているようには見えない。

 耐性持ちか?俺は今の攻撃で仕留めたかった。が、それは厳しそうだ。


 「何か俺にできる技は、」


 篠突氷は発動にかなりの時間が必要だ。魔力結界がないと隙だらけになってしまう。

 

「いや篠突氷の氷の塊を放てれば良いのか!」


 俺は完全に閃いたと思っていた。


「くらえ」


「あれ?」


 不発だ。俺の想像通りに飛ばない生成された氷が発射と同時に消えてしまう。

 この技は出ないのか、そう試行錯誤していると、ハイオークが斧を投げてきた。


「うわっ」


 その斧は俺を掠める程度だったが、勢いは止まらず、後ろにいた動けない女性に一直線に向かっていく。


「きゃああぁぁっ」

「危ない!」


 俺にはこの距離間に合わないバリアーも届かない。

俺は人が死ぬ瞬間を見たくなくて目を閉じる。


「風力魔法」


 しかし、その斧は女性に当たることはなかった。


「間に合ったわ、一人にして悪かったなフィル!」


 間違いないランの声だ


「先輩!」


 こっちに助けに来てくれた。俺のことを心配してくれたのか、しかしそれならあっちのボスは?


 「ああ、あっちのボスはもう倒した。ってかそんなに強くないモンスターだったっぽいこっちが本当のボスだな」


 先輩がいると心強い。いつも何もしない俺を助けてくれるのはいつも先輩だった。今日も先輩が俺を助けてくれる。そう俺は安心しきっていた。


「で、どうするこいつは俺たちでどうやって倒す?」


 俺のことか?俺を使うのか俺はもうこいつには勝てないことが分かりきっているのに。


「なあお前、もしかして俺も闘うのか?って顔してるけどよ、そんなんじゃいつまで経ってもお前の兄さんには追いつかないよ」


あっ、


 そうだ、俺はいつも特訓している時に先輩やダックスさんに、俺の目標を話していた。兄さんみたいなカッコいい人間になるって。

 今の俺は兄さんに一歩も近づけていない!そう思った俺はもう動き出していた。


「そうだ、それこそがDAクランたる者!リューさんになる男だ!」


 先輩がハイオークの気を引いてくれている。あんな近くでも攻撃をかわし続けられるのは先輩だからこそだろう。

 先輩は風の属性を持つスピードスターだ。最高速度は俺よりも早いしスタミナもある。機動力の失ったハイオークの攻撃はまず当たらないだろう。


 しかし俺はどうしたらあいつを倒せるか考え込んでいた。

そんな俺を先輩は


「何考えてんだ まずはやってみろ!俺らに考える時間なんて無いぞ!」


 この言葉を聞いて俺はなんて無駄な時間を過ごしていたのだろうと思う。

 百考えるのではなく、一やってみる方が余程価値のある行動だと言うのに俺は何をしていたんだ。


「はい!」


 俺は先輩に言われて全ての悩みが完全に消えた。

そんな俺は今何にでもなれる気がした。今攻撃の構えをしていると、いいアイデアが思いつく、 


「アイスバレットをアレンジすればいいんだ。」


 考えるより、やっていくうちに理解することの方が多い。

俺はすぐに実行に移す。


「破壊する氷レイルバスターァァ」


  グアァァァァァ


「ポータルボスを討伐しました。ポータルが10分後閉鎖を開始します。」


「た…倒した俺がこいつを」


「良くやったなお前」


 俺と先輩でグータッチを交わした。





──────紹介


ラン・ヴィルドムード


魔力   中 属性 風


筋力   38

機動力 85

技術 45

体力 70

防御力 18

知力 64


 恒常スキル


・なし

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る