第10話

遂にこの日が来た。


俺、兄さん見たいな人間になる計画。第一話。


 この日をどれだけ待ち望んだか、前の世界では自分の力の無さに打ちひしがれていたが、今、俺は力が無いかもしれない。

 でも、今の境遇、環境で頑張ればいつかは、誰かに必要とされるその時が来るかもしれない!


 俺は今、兄さんの部屋の前にいる。

入り方に悩んでいる所だ。


 「入り方どうするか」

 無難にドアを叩いて失礼しますと入るか。

 堂々と勢いよく入るか。

 

そんなしょうもない事を考えていると、兄さんが部屋から出てきた。


「何してんだ入ってきて良いぞ」


「う、うん」

 多分俺は無意識に兄さんが部屋に出てきて俺を呼んでくれるのを待っていたのだろう。

 実に情け無い。

 駄目だ、こんな小さな事で躓いてたら。


「まあ座れよ、」


沈黙が続く、10分を過ぎるあたりで俺は兄さんに

「今これは何やってんの?」

 と聞く。

これは完全にミスだった。


「なあ、フィル、お前今何で俺よりも先にしゃべたんだ? 俺みたいになりたいんだろ?

 今お前は何分ジッとしているのに我慢できた?」

と質問され、


「10分くらいかな?」

と答える。

 圧迫面接のような緊迫感。昨日のような優しいオーラは全くもって消えていて、これが同じ人間なのかとも疑うレベルで別人のようだ。


「10分、まあ初めなら上出来だ。できれば一時間位は耐えて欲しかったのだかな。外に行くよ」

 兄さんの顔に笑顔が浮かぶ


 こ、怖かったぁぁ

 正直、開始10分で俺兄さん見たいな人間になる計画が終了するとこだった。

「こんなとこで挫けるわけにはいかない、俺は変わるんだ。」

 もう一度決意を固め、兄さんについて行く。

 

 うちの庭に来た。初めて来た庭だった。でかい。

こんなにでかい庭なんかあるのかと思うくらいにはでかい。


 「お前には忍耐力はそこまで無い。俺と同じ人間になるのはお前の力ではもう無理だ。」


 あっさりと出来ない宣言をされた。


「な、なれない、、」


 フィル=フリート、リューニス=フリート化計画 ー完ー




 終わらない終わらない

「俺は諦めないぞ!今は出来なくても何年か経てばいつかはできるようになるかもしれないでしょ」


 反抗をして見るが、


「無理だ。」

 あっさりと返される。

 出来ない、、俺が落ち込んでる所に、兄さんが


「ああ。無理だフィル俺と同じ【武術】の人間なるにはな、でもお前には【魔法能力】の才能がある。」


「ま、魔法?」

何だそれは、この世界にはそんなおとぎ話の様な言葉があるのか、


「取り敢えず、目を閉じて魔法をブワァァと出すイメージをするんだ。」


「え、」

 まず魔法と言う物を今日初めて聞いた。

イメージなんかできる訳もないし、兄さんの説明もなんか下手だ。


 でも目を閉じて、なんとか魔法が出そうと頑張っている感じにはして見る。

「うおぉぉぉ」


 凄い。別に魔法が出そうな雰囲気もないのに何故か声を出したくなった。


「いいぞ、その調子で続けてみろ。」

 

「よっしゃぁぁ」


 これで良いのかとは思いつつも褒められているのが嬉しくて、さらに声が出た。

 

 イメージをし続けると、遂にコツを掴み、何かが使えそうな気がした。

 何かが来てる。これが魔法ってやつなのか、


 「行くぞぉぉぉ」

ここぞとばかりに声を出すと、手から小さな氷塊が出現してきた。


 「うわぁ」

 驚いて、集中が途切れて手から消えてしまった。

 けど一瞬だけでも、魔法を使うことができた。


「やった、やったよ兄さん」


「そ、そうだな凄いぞ」


「へへっ」

 俺はニコニコして、もう一度魔法を出そうとすると今度はあっさりとしかも先ほどよりも大きい氷を出すことができた。


「その調子で頑張るんだよ、俺はちょっとだけ仕事だ。」

 そんな事を言って、俺から離れていった。


 

(あいつ初日で属性を持つとかまじかよ、、、くそ俺だって)


よっしゃあ!俺にも明確な目標も出来たし!

 ここから俺の物語が始まる!! 

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