第11話
6歳の誕生日から特訓を始めて二年近くが経った。
俺はもう魔法の扱いにもなれて、使いこなせるくらいにはなってきてはいた。
兄さんとは、そもそも得意とする分野が違うと言う事で一緒に特訓する事は週に1回程度の基礎体力向上特訓の時以外は無かった。
そして今日はその週に1回の兄さんとの特訓の日だ。
今の時間は朝の11時、特訓の時間は、昼の13時から15時。いつもなら18時までやるのに、かなり短い時間で今日は切り上げるらしい。
取り敢えず、特訓の時間まで、もう少しだけ、集中しよう。
「、、、、、、。」
正座をして落ち着く事一時間。兄さんの声がリビングから聞こえた。
「昼ご飯出来たぞ。早く食べてトレーニングだ。」
「分かったー」
すぐに階段を降りた。
「今日のご飯はあんま美味しくないね。」
俺は兄さんに正直に飯の出来の感想を言ってくれと前々から言われていたから、今日も正直な感想を言ってみた。
「そうか、それは仕方ない。今日のは健康に良いものを作ってみたんだ、嫌でも食べてくれ。」
そんなこと言われても、別に食べれない程の料理では無い、母さんが亡くなってからは兄さんが料理をしてくれているから、かなりこの数年で上達していた。
「今日は15時までな、」
「何で?」
「今日は16時にはお前と行かないといけないところがある。」
行かないといけない所?
俺には思い当たる所が一つもない。母さんの墓参りはつい先日、兄さんと行ったばっかだし、服もそこまで小さくなってないしな。
俺は考えつつも、
「どうせ15時には分かることだし」
と割り切って考えないことにした。
ーー特訓ーー
「まずは10kmを三本なインターバルは2分。30分以内に着かなかったらやり直しな」
「うん」
はっきり言って30分は余裕だ。
俺の身体はここ数年でめちゃくちゃに鍛え上げている。
まずは一本終わった。
やっぱ余裕。俺は余裕そうに兄さんを見つめる。そんな事をしていると、余裕にしている俺を見て、次の二本は26分以内に走り切れ、と言われた。
これはやばい。
俺の今までのベストタイムが26分24秒だ。
これは大体半年前くらいの記録。30分以内は余裕すぎて最近は29分45秒前後に調整して疲れない様に走っていた。
いくら何でも半年前よりは成長しているとはいえ、約30秒も縮めないといけない。
「よっしゃ二本目!」
とスタートの掛け声と同時に俺はいつもよりも一歩を大きくして走った。
「え、全然疲れてねえ、どうなってんだ?」
いつもよりも身体が軽かった。早いペースで走っているのに、さっきより疲れてない。俺はおかしくなったのかと錯覚するくらいに早かった。
兄さんは25分ぴったりに着いた時にはもう俺は次の走る準備が出来てた。
これは自分でも驚きだった。
「早く次やらないの?もう2分は休憩出来てるよ?」
俺は走ることにハイになっていた。
「いや、今日のランニングはここまでだ。」
とハイになってる俺を止めようと切り上げをする。
そのおかげで俺も通常に戻った。
それからもトレーニングは続いた。
筋トレに、柔軟など、魔術を使うにあたって必要なのかと思うだろうトレーニングを二時間して今日は終わった。
家に戻ってすぐに、
「着替たら早く行くぞ」
とどこに行くのかわからないのに、俺には拒否権がないので、急いで着替えた。
着替え終わって、下に降りると兄さんは着替え終わってポータルの前に立てていた。
「準備出来たか、」
「出来てる」
「お前は1年間、俺みたいになりたい一心で努力してきた。かなり力もついてきている。その力をこれからは周りを、いや、この世界を平和にするために使ってくれ、」
「そうすれば、兄さんみたいになれる?」
「勿論。」
「じゃあやるに決まってるじゃん」
もう少しだけ考えて行動すればよかったと思う。
これからやってくる絶望があるのなら。
「じゃあ行くぞ俺の職場の本部に」
と言って二人はポータルに入って行く。
ここから俺の人生(物語)が始まる。
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