第2話
俺は死んだ。たった十年という短い人生だったが、人生ハードモードだった。
生まれてすぐに両親をなくし、その後は大人達に引き取られて、タダ働きされ続けられた。
次はもう少しイージーモードな人生を送りたいなーと軽々しく思っていた。
目が覚めると俺は宙を浮いていた。
いや俺は持ち上げられていた
「フィル!本当元気に生まれてくれてよかった〜
それにしても綺麗な目だわ〜」
金髪で凛々しい女性が下から俺を見てきた、俺はその目線が怖くなって体を精一杯を揺らし逃げようとしたがあまり力が入らない、
俺は逃げるのを諦めた。
数分経ってようやく下ろしてくれたが俺はめちゃくちゃに疲れた。
そう俺は生まれてきてしまったのだ。
しかもよりによって人間として、出来れば鳥にでもなって自由にただ空を飛ぶだけな楽な人生を送りたかったのに、
悔やんでもこれは俺にはどうすることもできないことだった。
生まれて早くも二年が経った。
この一年は不自由極まりなかったが、前世の虐げられてきた毎日に比べりゃ異世界での生活は天国のようなものだった。
初めの4.5ヶ月は人間は怖く恐ろしい存在だと意識していたことでお母さんのハンカチを咥えてハイハイで逃げ回ったり、捕まったら大声で泣き続けてしまってお母さんに迷惑をかけた。
それでも、母親はこんな俺に構ってくれて愛情を注いでくれて少しずつ打ち解けていった。
そんな中自分にとって一番嬉しかったのは誕生日というイベントだ。
それは自分の生まれた日に母親から俺の手を持ってハンカチをプレゼントしてもらった。
「生まれて来てくれてありがとう。」
こんな事は初めてで涙を流した。
「えぇ、嬉しく無かったのかしら」
いや、この涙はお母さんのハンカチが好きだったから、違うハンカチでは嫌だったからではなく、誕生日というイベントの素晴らしさに感動をしただけであった。
その後の一年でこの世界のこと、そして家族のことについて少し分かった。
この異世界では前世との共通点、相違点がいくつかあることを知った。
まず言語は全く持って同じであり俺は何を話しているかはすぐに理解することができた。
そして違う点で言うとやはり人間の温かさだ。
別に全員が優しい訳ではないと思っている。父親は現状はあまり会ってはいないが、たまに会うといつも何か険しい顔をしていて怖い。でも母親はやはり良い人だった。今年も誕生日プレゼントとして、俺に帽子をくれた。
「やっぱ誕生日は楽しいな」
そして家族のことだが、
この家族は俺含め4人家族だ。両親と12歳離れた14歳の兄がいる。だか、この家には家族以外にもたくさん人がいた。
二年経っても父親と14歳の兄とはほぼ関わっていない、兄は俺に積極的に話しかけてくれてはいるけど俺は積極的すぎるのが怖く逃げてしまって最近はあまり構わなくなってしまった。
父親は俺のことを何か数人の人と小声で話しているということは分かったが何を話しているかは詳しくはわからなかった。
けど、小声で話しているあたり考えてはいけないということは感じた。
父親は前世で見た俺を支配していた人間に似ている。
もうそろそろ俺も4歳の誕生日が近づいてきた。
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