奴隷者転生
みかみかのみかん
第1話
「おい!332番と333番ちゃんと働け!働きの悪い奴には今日の飯はないと思って働けよ」
といつものように俺ら奴隷身分のことをゴミを見るような目で見ていた。
「は、はい」
と震えながらか細い声で返事をした。
また今日も意味のないトンネルを掘る作業をしている。
俺には名前は無かった。
いや、自分の名前がわからないと言った方が正しいのかもしれない。
俺は親からの愛情を受けることなく育った。
生まれて間もない頃に、両親は遠くに仕事に向かわされてからもう帰ってこなかった。恐らく職場で無理に長時間労働をさせられて過労死してしまったのだろう。
ここ数日の配給はパン数枚だったので、自分の過労と飢えで死ぬ寸前だ。
正直俺は人間という存在が怖く恐ろしい、
みんな同じ人間という生物であるのにも関わらず、良い所に産まれて権力という力を手に入れただけで同じ人間なのに物のように扱って少し働きが悪かったらすぐにキレて、これだからゴミはと吐き捨てる。だから人間は怖い。
別に権力を持たない人が怖くないわけではない。
332番の奴は怒られる時も返事も適当で見張りの人たちに目をつけられている。
332番の奴はそんなに気にしてはいなさそうだった。
なんで、周りの、ましてや自分よりも上の身分の人に楯突くことができるのだろう。俺にはそんなことはできない。
だから人間は恐ろしい。
その日の夜、明らかに高貴な服装をしたランと名乗る自分と同い年くらいの背丈の少年が我々に向かって
「ここ数日の働きは悪いらしいなゴミどものくせに生意気だな、お前らみたいなゴミは大人しく俺たちみたいな選ばれた人間のために大人しく働けば良いのにな、あ、それすらできないからゴミなのか」と見下すように喋る。
その時に俺よりも先輩でガタイの良い人一人が立ち上がってズカズカと歩きランの目の前まで来て、怒り気味に
「おいおい、坊ちゃん、俺たち大人を舐めるなよ」
「そうだそうだ!俺たちを見下してどうなるかわかってんのか」と加勢する。
「良いのかいそんなこと言っても、ボクは総裁の息子なんだけどさ君たちの顔覚えたから伝えておくよ」
「...」
ランが総裁の息子であることが分かったことでみんな黙り込んでしまった。
「聞き分けがいい奴は嫌いじゃない、じゃあこれは今日の配給だ」
と言って明らか人数分のないパンを地面に投げ捨てた。
みんなキレそうだったが、総裁の息子なので何も言えずに数少ないパンを醜く取り合った。俺もその醜い人間の一人としてパンを取り合った。
「ハハハ、やはりゴミどもは醜い」
と嘲笑ってこの場を去った。
今日俺は配給を受け取れなかった、奪い合いは体の大きい大人が占領してしまい食べられない人も多くいた。
そこで問題児の332番の人が俺に近寄ってきた。
初めは少し怖かったが、いざ話してみると同い年ということもあり話があった。少し怖いけどいい人だった、
今日はいろんなことがあった。
翌日の移動中、俺はここ昨日何も食べれなかったこともあり頭がクラクラしていた。
「おいそこ!333番列を乱すなしっかり歩け」
「はい、すいませ、、」
俺は疲れ果てた挙句その場に倒れ込んだ栄養失調だ。
そのまま俺は、その場に放置されて死んだ。
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