第4話 「決闘計画(プラン・デュエル)」
翌日。『決闘計画(プラン・デュエル)』に参加する面々は『ショウ・ナカモト』少佐からの招集でブリーフィングルームに集まっていた。
「諸君。遠路遥々この『決闘計画(プラン・デュエル)』に為に集結してくれてありがとう。改めて私が『決闘計画(プラン・デュエル)』の責任者で『EMNG(エミング)』宇宙軍所属の『ショウ・ナカモト』少佐だ・・・・身体を楽にしてくれ」
誰もが感じる重苦しい空気に意を介さずショウは話続ける。
「さあ、ここにいるのが『決闘計画(プラン・デュエル)』の参加メンバーだ、一部いないが・・・・まあ問題はないだろう」
「少佐。質問よろしいですか?」
「『アルジル』国防宇宙軍所属の『ローグ·トリスタン』中尉だね。どうぞ」
「昨日のスクランブルと今日の不参加メンバーに関連があるのでしょうか?」
誰もが気にした疑問をぶつけるローグ。
「そうだ。『USKA(ウィスカー)』国防宇宙軍所属『タリサ・レオパルド』少尉と『チャイア』国防軍所属の『ミホ・タニグチ』少尉は昨日のトラブルで体調を崩し本日は療養待機だ。まあ2人共『サブパイロット』なのでこの場にいなくても問題は無い。」
「よろしいのですか?」
「『メインパイロット』の2人がしっかりと話してくれるはずだ」
「・・・・・・了解しました」
「・・・・・・・」
「・・・・・さて早速本題に入るが、諸君を呼び出したのは他でもない『決闘計画(プラン・デュエル)』の詳細と今後の日程及びルールを説明するためだ」
「……………」
「まず『決闘計画(プラン・デュエル)』についてだがこれは諸君も理解の通り、『レーヴェン』に対して単機で多数の制圧及び敵陣制圧が可能な次世代主力量産機開発を目指し6勢力がそれぞれ独自に開発した『γ·ブレイク』のいわばコンペディションである。この認識と齟齬している者は修正をしておくように」
「コンペディションね………モノは言いようですね」
「なにか、『フルム·エアリス』中尉?」
「ようは6勢力の『EMNG(エミング)』での主導権争いを新型主力量産機開発に被せて来た………代理戦争なようなモノじゃないですか」
「…………」
「ったく、上は私達をモルモットだとでも思ってんのかよって話ですよ」
「その辺にしておけフルム少尉」
「なんだよ?」
「この計画の成功は人類が『レーヴェン』に対抗するまたとない機会になるかもしれない。私達はその代表者に選ばれたのだ。上の事情はどうであれ誇らしく思った方がよいとは思うが」
「上の顔伺って良い人ズラですか?『アヌール・ヴェン』大尉」
「私は少なくとも感謝している。感謝の念はここにいる誰もが持っていると思っていたが、違うようだな?フルム少尉」
「…………ッチ」
「……………話が紛糾しているところ悪いが続きをいいかい?」
「失礼しました少佐!」
「さて、『決闘計画(プラン・デュエル)』の内容に移るが、当初は明後日から1対1の総当たり戦を想定していたが、急遽トーナメント戦を行うこととなった。」
「!?」
「1つよろしいでしょうか?」
「どうぞ、『マリナ·ユーベンバッハ』大尉」
「トーナメント方式となるとどうしても無理があるように思えますが?」
「仰る通りだ。性能評価の名目上一発勝負となるのは適正な評価を下すうえで正確な評価が困難なのはこちらも承知している」
「…………」
「しかし、本部からの情報では既に『レーヴェン』の一団が地球圏に入っているということだ。襲来予測が見直され今月末には地球に襲来する可能性が出てきた」
「!?思ったより早い」
「その為本部は、計画の前倒しをこちらに要請し【最も優れた1機を速やかに選定し提供するように】通告してきた。」
「…………」
「…………その関係で決闘は一発勝負の実弾形式での闘いとなった」
「そんな!?」
『メインパイロット』達に動揺が走り、各々がパートナーの様子を確認する。
『サブパイロット』達は前を見据えていた。
「勝敗はどちらかが戦闘不能となったとこちらが判断した時とする。残念ながら決闘中のいかなるトラブルも中止の理由とは認めず。片方の機体が戦闘不能になった時のみ勝敗の判断を下す」
「そんな!そんな勝手許されるかよ!?」
「勝手?君達は【そのような事態】も含めて『γ·ブレイク』の開発協力に同意したはずだが・・・・・」
「・・・・・・」
「降りてもらうことは一向に構わない。だけどその後の各々の勢力の【対処】について『EMNG(エミング)』は一切関知しない。それだけは忠告しておくよ」
「・・・・・納得はいかねーが、ようは勝てばいいんだもんな」
「テオ・・・・・」
「上等だ、ここにいる全員を私達が蹴散らしてやる」
「フラム・・・・・・」
「・・・・・では日程の詳細だが」
(タリサ・・・・・)
「・・・・・説明は以上だ各々思うことがあるだろうが、健闘を祈る。」
席を立ち敬礼する一同。不穏な空気が漂うなか、人類の命運を賭けた計画が始動した。
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