【KAC20236】わたしの女神様3
かなめ
タロットカードをするだけの話
「そんなに裏側を睨みつけてもどうにもならないって。さっさと選びなよ」
「だって、朝のめざまし占い結果が酷かったんだもん!」
「はぁ。あれって統計でしょ?お手軽タロットで上書きするのはどうかと思うんだけど」
そもそもタロット占いも結果が酷かったらやり直しするんでしょと、同じ制服を身にまとった高い位置で結んでなお背中の真ん中まである艶やかな長い黒髪の少女が呆れた声で呟いた。
黙って立っているだけなら近寄りがたく華やかな印象が先立つけれど、頼りになる姉御肌で非常に面倒見が良いと知ったのは高校二年で隣の席になってからだった。今日は、たまたまみてしまった朝の占いで最下位だったって嘆いていたら、しょうがないなと愛用のタロットを取り出してくれた女神様のようなひとだ。
「なんで占いにまで順番なんてつけるんだろぉ」
「娯楽にもスリルが必要だからでしょうね」
「ねぇ、絢ちゃん。今欲しいのは正論じゃないんだよ?」
「千紗さんや。占いなんて信じたいものだけ信じればいいと思うの」
アンラッキー7って大凶みたいなもんでしょ。もしかしたらおみくじみたいに事故に合わないとかの裏側の意味があるかもね。とダメ押しもしてくる。
世間一般的に可愛いの部類に入るらしい私は、肩まで伸ばしている茶色に限りなく近い黒茶色のふわふわした猫毛を華美にならないリボンやバレッタで飾るだけでふわふわしてて可愛いねと言われることが多い。真顔というのが上手く出来なくて、対外的には笑っているように見えることでにこにこしててエラいねぇとかもよく言われる。
けれど、彼女だけは、どんな感情を出しても私のままでいいと私のありのままを受け入れてくれる。
私の大事で大切で大好きな女神様。
みんな彼女をとても冷たいとか、私のことを可哀想とか色々言ってくるけれど、彼女はちっとも冷たくなんてないし、私は彼女が彼女でいてくれるならそれで良かった。
「絢ちゃん……これに、します!」
「はいはい。覚悟は良い?捲るわよ、千紗」
「はーい!」
わずかな休憩時間を目一杯使って悩んで選んだタロット結果は、ふたりだけの秘密です。
終わり
【KAC20236】わたしの女神様3 かなめ @eleanor
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます