第11話 第四魔王
今は砂漠になっているが、昔は緑の草原であったらしい、
「で、何処にバハムートが居るの?」
ウエルが身も蓋もない事を言う。それは分かっている。少し調査してみるのだ。私達は広場に出ると地面が沈んでいく。
「流砂だ、このままでは蟻地獄の様に呑まれてしまうぞ」
「た、助けて!!!」
プラハさんが砂に呑まれていく、どうする、放置すれば砂の下に埋もれてしまう。
しかし、私も一緒に呑まれた意味がない。仕方がない、私はプラハを抱き締めると砂の下へと落ちていく。
……―――。
「気がついた?」
ウエルが私に声をかける。
「ここは?」
「砂漠に地下よ」
「助かったのか?」
「ええ、でも、出口は分からないわ」
私は上を見ると天井は高く。元来た道から出るのは難しいと感じる。
「進むしかあるまい」
プラハさんを起こすと、私達は砂漠の地下を歩く事になった。
砂漠の地下を歩いていると。気がつく事がある。この洞窟は人工的に作られたモノであった。更に進むと、赤黒く光る魔法陣の間にでる。魔法陣は今も起動していた。
「この魔法陣は『第四魔王デスクロス』の紋章みたいね」
ウエルが小さく呟く。ここに来てラスボスか?一般的に言われているのが『第四魔王デスクロス』は神々との戦争に敗れて長い眠りについたとのこと。
「とにかく、ここはバハムートとは関係ない、道を変えよう」
『まて……』
私達が道を戻ろうとすると。魔法陣の底から嫌な声が聞こえてくる。
『バハムートの臭いがする。我の敵であるバハムートを倒す』
これは危険な展開だ。プラハさんの持っている琥珀の中のバハムートに反応したらしい。
『我は倒す』
すると、魔法陣から黒い影が現れる。第四魔王デスクロスの影である。影とは言え、魔王である、この戦闘はかなり危険なことになりそうだ。迷っている暇はない。私は凛とした眼差しでフェアリーソードを抜く。
「来るぞ、皆、戦闘準備はいいか?」
魔王の影は鋭い爪で攻撃を仕掛けてくる。ウエルは術式を走らせて、月草はプラハさんに憑依する。爪による攻撃など安心していたら。これが不思議なことにかなり攻撃力がある。二次元の影が立体的に襲いかかってくるのだ。
「くっ、流石、魔王だ、初手からの負傷は痛い。ウエル、回復魔法を頼む」
「今、急いで、回復魔法をかけるわ」
しかし、ウエルの回復魔法が発動する前に魔王の影は真っ赤な炎を口から吐く。グオーっと真っ赤な炎が襲ってくる。
「ウインドカッター」
私は魔王の真っ赤な炎を切り裂く。黒いフェアリーソードは聖剣である。魔王の攻撃に対して絶大な力を見せるのであった。そして、月草は魔王の後ろに回り込み大剣での攻撃を放つ。
『おのれ、人間……。しかし、まだ、倒れない。我は第四魔王デスクロス!!!』
その時である。壁が突然崩れ落ちる。現れたのは巨大なバハムートである。これが本物のバハムートなのか……私の感じたのは凄まじい威圧感であった。
「この魔王の影は我に任せろ」
バハムートが叫ぶと私達は魔王の影から離れる。
『バハムートの臭いが増した、我の敵、我の敵』
第四魔王デスクロスは攻撃の目標をバハムートに変える。バハムートも「グオオオオ」と叫び、戦闘になる。それは神々の使いであるバハムートと第四魔王デスクロスとの闘いであった。
「これが伝説級の闘い……」
私が息を呑むと。
「フレアバースト」
バハムートの口から強力なエネルギーが放たれる。そのエネルギーの塊を受けた魔王の影は薄れていく。
『崩れる、我の力が、我の力が……』
魔王の影が消滅すると戦いが終わったのだ。
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