第9話 港街にて

 ポットノは古からの港街である。海の貿易で栄えて金に銀、宝石も集まり。

市場は活気づいていた。しかし、最近、港の海洋汚染が進み魚の水揚げが激減している。その為に治安が悪化していた。


 しかし、情報屋は裏道に店を構えることが多く。危険と隣り合わせであった。

裏通りのごろつきなど戦闘力はないが殺してしまうと後味が悪い。そう、モンスターなら切り刻んでもかまわないが、賞金稼ぎの家業も捕まえてナンボであった。

生死を問わない賞金首は危険な仲間がおり、逆に賞金をかけられる恐れがあったのだ。


 要約すると、私は安い賞金首とモンスター退治で生きてきたのだ。


「大丈夫ですよ、弱い人間なら、私がいるだけで去って行きますから」


 月草が鉱石と枯草を用意して、何やらおまじないを始める。


「困ったお客さん用のおまじないです。これで人払いができます」


 これで安心して裏通りを歩ける。たどり着いたのが情報屋のアンジェリカであった。


「サナさん、私の目的の場所は占い屋ですよ」


 あ、あ、あ、確かそんな事を言っていた。


「後で行くから今は情報屋に行くの」

「ふー絶対ですよ」


 プラハは頬を膨らませている。世間知らずの聖女様には情報屋と占い屋との区別はつかないか。ブツブツ言いたいのはこちらの方である。結局、占い屋の方を先に行くことになった。占いの館に入ると長い廊下が続き、壁には蝶の標本が飾ってある。廊下を歩き進むとドアにたどり着く。ノックの後でドアを開けると。若い女性が座っていた。


「ようこそ、占いの館、アンジェリカへ」


 あれ?確かこの街の情報屋の名前がアンジェリカであった。


「入口は二つでも求めるモノは一つの出会い」


 占いの館の女性が微笑んでいる。どうやら、導かれたらしい。


「では、問う、バハムートの里を知らないか?」


 女性は立ち上がると本棚に向かい一冊の本を取り出す。そこには世界地図が書かれていて、サザン王国の北にあるホリタの遺跡にありと書いてあります。


「ありがとう、代金はこれくらいでいいか?」


 私は金貨三枚を取り出す。


「まいどあり、あなた方の旅に祝福がありますように」


 私は試しに反対側のドアから出ると。やはり、看板は情報屋アンジェリカであった。難しく考えるが答えがでない。ここは美味い物でも食べて深く考えるのは止そう。


 私達はポットノを後にするか迷っていた。海洋汚染の理由をつきとめて街の治安を回復するかだ。私は正義の味方でもなく、ポットノが滅んでも関係ないのである。プラハが駄々をこねるので。渋々、正義の味方の真似ことをすることになった。そこでだ、ポットノは西側に大きな河があり、この河が怪しい。私達は河沿いを上流に向かって歩いて行くと。水銀による金の採掘が行われていた。


 あいたたたた、貧困による政治問題だ水銀によって海洋汚染が進んで貧困が起き、その為に違法な水銀による金の採掘が発生する。まさに悪循環だ。私達は顔を見合わせて皆で首を傾げる。


 ポットノの政治体制は商人ギルドが仕切っている自由な貿易都市だ。王様がいる訳でもなく、基本自由である。


「この問題は置いておいて、バハムートの里を探さない?」


 ウエルが酸っぱい顔をして呟く。後味が悪いな。プラハは泣き出してしまう。

全く、あれほど正義の味方などと言ったのに。仕方がない、金を買い付けている業者に話しだけでもしよう。ポットノの街に戻ると金の買い付け業者を探す。やはり、噂になっており、直ぐに見つかった。


 で……。業者にガツンと言ってやったが、この街は商人ギルドが仕切っている。この先はこの街の問題だ。私達はサザン王国に向かう事にした。

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