第6話 ドワーフの里

 洞窟の奥に進むほど暗くなり。ウエルが灯りの術式を使い辺りを照らす。


「かなり奥が深いね」


 不安そうなプラハさんは私の腕を掴んで離さないでいた。更に進むと大きなホールに出る。そこはドワーフ達の里であった。ここのドワーフは宝石を採掘して暮らしているらしい。


「ハ、ハロー」

「+*‘?>+」


 ダメだ、言葉が通じない。どうしたものかと首を傾げると。


「大丈夫ですよ、私が通訳します」


 ウエルが自慢げにしている。そうだよな、ウエルはフェアリーだし、それくらいは出来て当たり前だよな。


「わかった、温かい食べ物をわけて貰えないか頼んでくれ」

「はい、はい」


 ウエルはドワーフの長と何やら交渉している。すると、温かいコーヒーと焼きたてパンが出された。


「おおおおお、流石、ウエル」

「代金は金貨一枚だって」

「は?高くない」

 

 抗議しようとドワーフにつめ寄るが「>+」*>+’」であった。


 ダメだ、通じない。私は渋々、金貨一枚を払う事にした。


「どうでしょう、ここは金貨とは違う方法で支払っては?」


 私が金貨一枚を渡す前に、月草さんが冷静に提案してくる。


「ウエル交渉できる?」

「勿論」


 それから、私達は里の中央にある、闘技場に案内された。


「ここで、命がけの戦闘を行って気に入られたらタダにしてくれるそうです」


 おい?命がけとは物騒な。金一枚では釣り合わんよ。


「で、誰が戦う?」


 ウエルは闘技場で戦う人選を決めようとしている。


「私が出る」


 私はブツブツ言っていたが気分はやる気満々であった。すると目の前の鉄格子が開いてモンスターが現れる。それは、三メートルはあるコウロギの化け物であった。


 私はフェアリーソードを抜刀すると。力を込めて空中を切る。


「ウインドカッター」


 フェアリーソードは聖剣である。その力は恐ろしく空気さえ切り裂き真空の刃を作り放つのだ。


 巨大コウロギに当たるがイマイチ効果が薄い。反転、巨大コウロギは鋭い口を開き突進してくる。


「おいおい、ホントに命がけだぞ」


 私は素早く避けて巨大コウロギの脚を切り裂く。


「スピードなら負けないよ、ここはもう一つ技を見せよう」


 私はフェアリーソードを強く握り締めて『気』をため込む。この『気』とは万物の力の総称で術式の元になって魔法が使えたりするのだ。


 するとフェアリーソードから炎が上がり火剣の様になる。私は迷い無く巨大コウロギを切り刻む。生肉の焼けた臭いが立ち上がり、勝敗がつく。


 すると、闘技場の客席にいたドワーフ達が興奮している。これで文句はないはずだ。


「ホント、死にかけた、あのコウロギに捕まったなら、グシャグシャになって、喰われていたよ」

「流石、サナさんです」


 プラハが駆け寄ってくるがやはり、金貨一枚の仕事ではないなと思うのであった。



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