第4話 遊郭にて
私達は西の港街のポットノに向かっていた。途中で、遊女の街、ヨシワラに着く。ここは隣国から自主自治が認められて繁栄の限りを誇っていた。
「サナさん、この街は私達には縁がないのでは?」
「あーウエルには関係があるかな……」
「そうです、この街は私には正に遊郭なのです」
あぁぁ、頭が痛い事を言うな、このエロフェアリーが。
「遊ぶ、お金はありません」
私がきっぱりと言うと。ウエルは不機嫌になる。仕方がない。見るだけですよとウエルに言う。
それから、フラフラと見て回ると土産屋にたどり着く。
「このカンザシが欲しいです」
プラハさんがモノ欲しそうにカンザシを見ています。作りはいいのにやけに安いな。私は腕を組み小首を傾げていると……。
「このカンザシに術式の気配が感じられます」
ウエルが難しい顔をしている。訳ありの商品か……。
聖女様にはお似合いかもしれない。私はそのカンザシを買うのであった。店主からそのままプラハさんにカンザシを手渡されると。早速、髪に着けてみる。すると、プラハさんの様子がおかしい。
「ようやく、肉体を手に入れたぞ」
ジャンプして喜ぶ姿はプラハさんではない。
「これって幽霊に取りつかれたとか?」
「みたいね、高度な術式に覆われたカンザシに聖女のプラハさんの体がピッタリ合ったのでしょう」
ウエルと顔を見合わせる。払う方がいいよな……。
私はフェアリーソードを抜刀する。
「サナ、ダメです。物理攻撃はプラハさんを傷つけてしまいます」
「そう?」
フェアリーのウエルが術式を唱える。地面からゴーレムが現れてプラハさんに襲いかかる。
「おい、ウエル、物理攻撃はダメなのではなかったのか?」
「あ、忘れていた、ついつい何時もの調子で……ま、か弱いモンスターにはこれが一番効くのよ」
すると、プラハさんは、二メートルはある、大剣を召喚する。
「ナヌ!!!」
ウエルは奇声をあげる。そう、舞う様に切り裂かれるゴーレムは弱弱しいモノであった。仕えないウエルはほっておいて、ここは平和的に和議に努めよう。
「荒くる幽霊よ、何が望みだ?」
「旅をしてみたい。私はこのヨシワラに生まれて外の世界を見たことが無い、だから旅をしたいのだ」
「なら、私達の旅に付いてくるか?」
「はい」
幽霊は気持ち良く返事をして、私達の仲間になった。
「とにかくプラハから離れろ」
すーっと、プラハさんから抜け出したのは、それは美しい美女であった。
「それで名前はなんともうす?」
「はい、月草です」
「月草さんか単純な疑問なのだが何故、大剣が使えるのだ?」
私が月草さんに問うてみると。
「このヨシワラの街は自主自治が認められているのです。だから強い女も必要なのです」
はー兵士もかねているのか。これで役立たずのプラハさんが大剣使いになれる。ホント、いいことばかりだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます