日曜日

いつもと変わらない日曜日


気分で珈琲をハンドドリップする

珈琲の香りがしていい朝を迎えたつもりになる


いつもなら昼過ぎに起きてコンビニに行き昼飯を買い、ネットで映画を見てダラダラと過ごす


だが今日はいつもより気分が良い


特に何がというわけでもないが、なんとなく足取りが軽いような気がした


久しぶりにおしゃれをして外に出ることにした、予定もないがそんな気分だった


まだ春先だというのに長袖だと少し暑さを感じる日差しに目眩がした


公園で遊ぶ子供たち

あの頃は日曜日、なんて言えばいつもできない早起きをして朝からテレビで戦隊ものなんかを見ていた、皆幼い頃はそんなものだろう


ヒーローになりたい、魔法少女になりたい

いつしかみんなの中の夢はプロのなになにになり、気がつけば現実的な職種へと変わり、

それすらも叶わない人や、目標を持てなかった人は妥協を繰り返し生活している


 小学生の時、いやもっと前

保育園や幼稚園の頃からなんで普通にできないのか、なんでみんなと同じにできないのか、仲直りの握手をしなさいだなんてくだらない言葉を投げつける大人達が周りには絶対にいる


社会に出た時に困らないように、しかしその過程で限りない可能性が幾つ潰されて消されてきたのだろうかと思う


団体行動、約束、当たり前

もちろん大切なことなのだとは思う、道徳の授業で考え方や思いやりを習うだろう。

しかしこの世の中で道徳の授業、そのレベルすらできない人物が蔓延っている。

そして、そういう人達ほどさも自分自身は間違っておらず、正解だという顔で説教を垂れるのだ。


そう考えるとあの授業、あの環境にどれほどの意味があったのだろうかと疑問に思う。


自分の子供には押し付けたくない

そう思って大人になった親達もいつしか自分達が嫌いだった大人へとなっていくのだ


変化はダメなことではない

忘れることがダメなことなんだと思う

あの日嫌な気持ちをした自分、あの日悲しくて日が落ちるまで家に帰るのを渋った自分、そんなあの日を大人になるにつれて皆忘れていくのだ。


そしてこんなことを考えてる僕自身もいつか、今時の若者は、なんて言葉を吐き捨てる日が恐らく来てしまうのだろう


馬鹿馬鹿しい。


そんなことを考えて桜の蕾が小さくなる木々の道を歩む


ボールが転がってきて、6歳くらいの男の子が女の子と手を繋いでこちらへ走ってくる


「お兄ちゃんボールとってー!」


こんな頃が僕にもあったんだとボールを手渡す


「車の前にだけ飛び出さないように気をつけてね」


「うん、ありがとう!

サッカー選手になってみかちゃんを幸せにするから気をつけるし頑張ってるんだよー!」


みかちゃんはきっと隣にいる女の子なのだろう


「そっか、きっとなれるよ、またね」


「またねー!」

そう言って手を振って走り去る男の子


少し泥がついた靴とズボン

暑い中必死に女の子の手を引いて、そしてまっすぐな目で自分の夢を声に出して、ひたむきに未来だけをみる目


小さな声で頑張れよと呟く

あの頃の自分自身に投げかけるように呟く


ゆっくりと春の香りを体いっぱいに感じながら足を進めた


いつもより少し気分のいい日曜日

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