第六回 お題 アンラッキー7 KAC20236
工務店さん
神社にて
第六回 アンラッキー7 KAC20236
ある地方都市での話。
山間部のエリアにある神社、その近郊では、人気と知名度のある場所だった。
依頼があったのは、敷地内に従業員用の寮を建てる依頼。
まずは現地調査、山間部なので、予算的にも輸送に費用が掛かると見越していた。
なので、事前調査は必須。
関係者を連れて、建設現場予定地まで行く。
道すがら関係する皆で見ながら、カメラで撮影しながら進む。
場所は神社の敷地の外れ、本殿の裏手が予定地。
少し先には、奥宮への入口が見えている。
一般人は先に行けないようだ、何せ大きな木戸と閂に鎖が巻かれ封じられていた。
(奥宮に何を封じ込めてんだよ)と思ったよ
調査は他の人に任せて、自分は境内を散策。
参拝の方々が多く見られた。
ベンチに座り人の流れを見ていると、何人かに数人の割合で、本殿と社務所の間にある、渡り廊下を潜り奥へ向かう。
確かあの奥は案内図的には、集会所があったはず。
年代も様々で、若い子は10代から上は60代くらいかな。
不思議なのは、皆思い詰めた顔をしてくるが、奥から戻ってくると晴れ晴れとした笑顔なのだ。
(なんだあれ?)と思っていると、不意に肩を叩かれた。
振り返ると、白い作務衣を着た方がいた。
白い作務衣だから、神社の関係者かなと思いつつ。
「はい?」
「彼らの表情を見て、不思議に思われたのでしょう?」
と、心を見透かされた気分。
「少しお話しましょうか」
と、こちらを気にせず話し始めた。
「この神社ですが、どなたが祀られているかご存知ですかね」
今回は下調べしていなかったので、「いえ、まだ資料は見てなくて」と誤魔化した。
「そうですか、アレの関係でみえたんですね」と本殿裏を指差す。
「だったら仕方ないですね、多分ご縁は切れるからいいかな」と最後の方は小声だった。
「ここね、表向きと裏向きがありましてね」
そこまで言われて気付いた
「つまり、昔からの信仰ですね」
「そうです」
参拝者の顔を思い返す
そうか、理解した。
「ここも知れ渡りましてね、地元の人達は腫れ物の扱いなのは変わらずですが、少し離れた地域の方々は、意味も判らず利用していますよ」
と薄ら笑う
突然、空気が変わった気がした。
それまでは、神社の境内に神域的な空気が満ちていたのに、纏わりつく重さに変わった。
「ここの暗黙ですがね…」
(これ、聴いちゃいけないやつだ)
冷や汗が出てくる
周りに居たはずの参拝者も消えている
(ここ、どこだ?見えている光景は、先程の境内なのに違うよここ)
「ヒトは怨み言を、ここに置いて行くのですよ、勿論タダでは無いから、奉納の形で幾ばくかの寄付を納めていく」
ゾクゾクする寒さ
「それでも回数は決まっている、今の者たちは勘違いをしているが、わざわざ正す必要は無い、己の認識の甘さだからね」
怖い怖い
「私はね、古い契約に倣い、7つまでは預かるが、それ以上は駄目だ」
一呼吸する
「怨嗟の預かりだが、そのモノの血筋の分だ、個人では無い、血の数だ」
(うわ、これヤバいやつだ)
「つまり、一族で持ち込むと、直ぐに満了ですね」
と震えながら答えた
「然り」
「それ以降はどうなるのですか?」
「還るだけだ、それ以上の形になりてな」
そこまで告げると満足したかのように
「久々に話せて気が楽になったぞ、ほれ、あちらに迎えがきておるぞ」
そう告げられると、空気が変わり、振り返ると先生がいた。
「うちのものがご迷惑おかけしました」
腰が低く丁寧に挨拶をしていた
「気にするでない、人の子らに久しぶりに説いただけだ」
「恐れ多いです、ありがとうございます」
そんな先生を見てか
「あの仕事は流してくれ、お主等には悪影響にしか為らんからな」
「了解しました、それでは失礼します」
直ぐに腕を掴まれ本殿裏へ連行される
「お前誰と話して、どこに迷い込んでたよ」
記憶を振り返る
「最初は参道でしたけど、急に空気が変わって、同じ風景なのに異界みたいな空気かな」
「まだあの方が、良い方だったから助かったんだぞ」
と怒鳴られる。
「お前、渡した資料を確認してないだろ」
ギクリとする
「ここの謂れと、信仰もまとめてあったが、それくらいやれよ」
と最後に助けて貰い、愚痴られました。
以上、「アンラッキー7」に見合うかと。
今回も少しフィクションを混ぜましたが
御祭神との会話なども少しフィクションを混ぜてありますが、大筋は変わらずです。
この神社の仕事は流れました、それ以降この話は有耶無耶になり、関係者にもお声掛りは無いとの事です。
この手の話には、確実にあの方の影がありますので、入れさせて頂きました。
了
第六回 お題 アンラッキー7 KAC20236 工務店さん @s_meito
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