第4話 side誠人
職場に着いたとき、ちょうどピロンとスマホが鳴った。
ディスプレイを見ると美桜からメッセージが来ていた。
美桜「兄さん、今日のお姉ちゃん。笑顔で男子にモテモテなんだけど」
なんだって!紗愛、なにしてるんだ。
あの笑顔は、俺のだ。
おっと、冷静にならなくては。
誠人「そうか、ちょっとフォロー頼むな」
ふぅと息を吐き、俺は講師室へと向かう。
「秋月先生おはようございます」
俺が入室すると同僚の柴先生が声をかけてきた。
柴先生は、同い年の先生で茶色の短髪。
身長は、180cmと俺よりも大きい。
「柴先生おはようございます」
俺は、自分の席に腰を掛ける。
「秋月先生、おはようございます。
今日のネクタイ可愛いですね」
俺の席の隣に座る後ろで黒髪をまとめる女性が声をかけてきた。
「藤野先生おはようございます。
妻が選んでくれたものなんです。
これ、やっぱり可愛いですか?」
「あ、そうでした。秋月先生おめでとうございます」
「ありがとうございます」
同僚は、さすがに式には呼べなかった。
呼びたかったが、さすがに全員呼んでは予備校自体が機能しなくなってしまう。
「ネクタイですよね、可愛いとは思いますが秋月先生がしてるとすごくかっこよく見えますよ」
「僕が、そのネクタイしてたら似合いませんよ」
と柴先生が言った。
そうかな?俺のほうが似合わないような気がするが、紗愛が選んでくれたものだしそう思ってはいけないだろうな。
うん、紗愛が見立ててくれたんだ。
彼女を信じなければ。
「秋月先生が羨ましいですよ。若い奥さんいいですね」
「ふふ、いいでしょう。あげませんよ」
「まさか、秋月先生が冗談をいうなんて」
と柴先生が驚いている。
俺だって、冗談くらい言う。
でも、紗愛は俺のなんで誰にもあげません。
「幸せそうで何よりです」
と藤野先生が言う。
俺は、幸せだ。
ずっと好きだった人と一緒になれたんだ。
これが、幸せでないならおかしい。
「さぁ、仕事しましょう」
「そうですね、自習室は今日は秋月先生が当番でしたね」
と藤野先生がいう。
「おっと、当番でしたか。では、自習室行ってきます」
俺は、荷物を持って実習室へと向かった。
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