第3話 side紗愛
エレベーターで1階まで降りる。
私たちは、10階建ての8階に住んでいます。
同じ階には2棟あります。
うちは、西側の日当たりのいい4LDKの間取りです。
「あ、お姉ちゃんだ」
「美桜!おはよう」
マンションから出た時、ちょうど黒髪をサイドテールにしている女の子に声をかけられた。
彼女は、誠人さんの妹で秋月
同い年の妹・・・義妹。
「もぅ、お姉ちゃんは止めて。学校では」
「ここは、学校じゃないからいいでしょ」
美桜が、私の右腕に抱き着いてきた。
誠人さんもこうしてくれたらいいのに。
兄妹のはずなのになぁ。
「気を付けてね」
「でも、もうよくない?
紗愛。お義姉ちゃんになったんだから」
「うっ、たしかに」
「苗字、葉月から秋月に変わったの学校についたら気づかれるよ」
そういえば、そうでした。
今日、苗字が変わって初の登校でした。
う~ん、でもお姉ちゃんは恥ずかしいです。
「やっぱり、お姉ちゃんは可愛いなぁ。
兄さんずるい」
「もぅ、美桜」
「あはは、それより学校行こうよ。
近くても遅刻しちゃうよ。お姉ちゃん」
「あ、そうね。いきましょう」
私たちは、学校へ向かって歩き出した。
その間、美桜は私の腕に腕を絡めたままだった。
誠人さんとこうして歩きたかった。
「お姉ちゃん。兄さんじゃなくてごめんね」
「も、もぅ。美桜」
顔が熱い。
意地悪なとこはそっくり。
でも、優しいとこもそっくり。
学校では、誠人さんの代わりにずっとそばにいてくれる。
私がモテないのは、こうして美桜がそばにいてくれるから告白を回避できたからかもしてない。
もちろん、誠人さんの影響も大きいけど美桜にも助けられてる。
二人共、大好き。
美桜は、同じクラス。
だからいまも一緒に教室に向かってる。
それにしても、今日はずっとくっ付いてる気がする。
いつもより・・・なんでだろう。
やがて、教室に辿り着いた私は。
「「「おめでとう、葉月さん」」」とクラスメイトからお祝いを言われた。
私は、視線を美桜に移す。
彼女は、下を出して笑みを浮かべていた。
私を、足止めするためだったんだ。
「えへへ、みんなありがとう」
教室の真ん中の自分の席に座る。
私は、そのあとみんなに囲まれて結婚式の話をすることになった。
誠人さんの事が話せるのは嬉しい。けど、これは疲れる。
助けて・・・。
早く予鈴鳴って。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます