第1話 side紗愛

目を覚ますと普段はキリっとしていてクールなイメージのある私の旦那様 誠人さんの寝顔が見えた。

黒髪でちょっと長めの前髪も寝ているときには目元が見える様に流れている。

可愛い寝顔。

私は、前髪をなぞる様に頭を撫でる。

ちょっと硬めな髪質だけど、艶々していて気持ちいい。

普段は、絶対やらせてくれない。

えへへ、寝ているときの特権。

私は、身長が低い。

結局、18歳になっても140cmより大きくはならなかった。

だから、誠人さんと並ぶと誠人さんの頭を撫でることはできない。

さあ、今日も頑張ろう。

私は、誠人さんを起こさないようにベッドから出た。

今日は、月曜日だから朝から学校がある。

一昨日は、私たちの結婚式だった。

昨日は、一日誠人さんとこの新居で生活をした。

もぅ、なでなでとか膝枕とかしてあげたいのに誠人さんが全部しようとするからしょんぼりした。

昔から、甘やかしてくる。

私も、誠人さんを甘やかしたいのに。

それよりも、準備準備。

私は、ウォークインクローゼットに向かっていく。

えっと、今日は・・・う~ん、クマさんにしよう。

私は、誠人さんの着るシャツとネクタイを選んでおく。

メモを書いて・・・『今日はクマさんにしました』と書いて置いておいた。

ネクタイは、紺色の基調でグレーのデフォルトクマがプリントされているもの。

えへへ、可愛いのにしちゃった。

私は、制服を着てウィークインクローゼットを出る。

うちの制服は、白を基調としているセーラー服でスカートは紺色、赤いタイを結んでいる。

私は、キッチンに向かいキッチンに掛けているピンクのエプロンをして朝ごはんとお弁当を作ることにした。

まずは、お味噌汁。

お豆腐とネギ、わかめでシンプルなものにしよう。

あ、ネギは少し多めに切っておいて卵焼きにも使おうかな。

トントンとネギを切っていく。

乾燥わかめを一掴み、器にいれて水に浸して戻しておく。

鍋に、水を入れてそこに豆腐をカットして入れる。

わかめの水気をキッチンペーパーで一度しっかり取って鍋にいれてIHの電源を入れた。

後は沸騰するのを待てば仕上げるだけ。

その間に、お弁当の準備準備。

冷蔵庫からタマゴを取り出して、2つ割って器に入れてよく混ぜてそこにさっき切っておいたネギを入れる。

そして、玉子焼き器に油を引いてIHの電源を入れて熱する。

まずは、半分くらい卵液を入れる。

素早く成形をして、残りの半分の卵液をいれて形を整える。

焼きあがった卵焼きをフライパンの上に置いて粗熱を取る。

あ、お鍋が沸騰してる。

一度、IHの電源を切って秘伝のだし粉とお味噌を入れて混ぜておく。

これは、誠人さんが起きてきてから熱を入れればいいかな。

私は一度鍋をIHの空いてるところに置いて取っ手をはずしておく。

お弁当・・・後に何入れようかなぁ。

あとは、作り置きの法蓮草のお浸しをカップに入れて、あとミニトマトもいれよう。

あとは、お弁当用のハンバーグかなぁ。

卵焼きを切ろうとした時だった。

「紗愛、おはよう」

背後から、誠人さんの声が聞こえた。

私は、包丁を置いて振り返る。

あ、私踏み台の上にいるんだった。

危ない、気をつけなきゃ。

「誠人さん、おはようございます」

彼の顔が、ちょうどいまは正面に見える。

寝顔とは違って、切れ長な目ですごく凛々しい。

ちょっとだけ、おひげが伸びてる。

不意に、誠人さんの手が伸びてきて私の髪を撫でる。

嬉しいけど、私の欲しいのはおはようのキスなのに。

「もぅ、誠人さん」

ここは、私からしちゃえ。

私は、誠人さんの唇に口づけをした。

「おはようのキスが先・・・ですよ」

あ、照れてる。

えへへ、可愛いな。

こういうとこが見れるから甘やかしいんだ、私。

「まだ、朝から紗愛がいるのに慣れてなくてな」

「もぅ!早く慣れてよ・・・誠人さんからしてくれるの待ってるのに」

誠人さんは、私の事を抱きしめてきた。

彼の匂いが私の鼻腔をくすぐる。

「もう、可愛いな。紗愛は」

私は、頬を赤く染めていたみたい。

「えへへ、誠人さんからしてもらうの好き。

でも、ご飯作らなきゃ」

私は、振り返り包丁を手に取って卵焼きを切り始めた。

「誠人さん、着替え済ませて来てね。

ワイシャツとネクタイは用意して出してあるよ」

「ありがとう、紗愛。大好きだよ、愛してる」

「もぅ、急に言うのはずるい」

私は、小さな声でそう言った。

きっと、彼には聞こえていないだろう。

顔が熱い。

お弁当箱に、ドンドン詰めていく。

あとは、ハンバーグをレンジで温めて入れればいいから。

そうだ、お鍋。

私は、お鍋にハンドルを戻してIHの電源を入れる。

あとは、さっき取り出してたタマゴで目玉焼きを焼いて。

朝食は、完成。

ご飯をよそって、ダイニングテーブルに置いていく。

お弁当箱にもご飯を入れて粗熱を取っておかなっきゃ。

目玉焼きもお皿によそう。

目玉焼きは、半熟。

私たち、二人共半熟が好きなの。

味付けは、誠人さんが塩コショウ。

私が、醤油。

これは、昔からそうだから知ってる。

私と誠人さんは、幼馴染み。

近所に住んでいた7つ年上のお兄さんが誠人さん。

昔は、誠人お兄ちゃんって呼んでた。

中学生くらいの時に、好きになった。

初恋の人は、もちろん誠人さん。

大学時代のバスケをしていた誠人さんが、とてもキラキラしてた。

う~ん、高校時代もかっこよかった。

ずっとかっこよかった。

きっと、中学生以前から好きだったんだと思う。

6月3日。私の18歳の誕生日。

ちょうど、それが一昨日。

私は、誠人さんの奥さんになった。

中学3年生の時に、誠人さんから告白されて付き合うようになった。

何かが変わったわけじゃなかったけど、ずっと距離が近くなった気がした。

いま、とっても幸せ。

ちょうど、ウォークインクローゼットから誠人さんが戻って来た。

「誠人さん、私も大好き。愛してます」

「え、ありがとう」

私は、飛び切りの笑顔で誠人さんに言った。

彼は、顔を赤らめていた。

うん、誠人さん可愛い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る