【KAC20236】 ラッキー7 Case: K

下東 良雄

ラッキー7 Case: K

「はぁ……」


 七月、駅前でため息をついて頭を抱えた女子高生。

 茶髪のショートヘアが似合うお姉さん系ギャル・キララだ。

 今、キララの周りには七人の男性がおり、ナンパされていた。


 チャラそうな格好をした男が言い寄る。

「オレっちさぁ、読モもしたことあるんだぜ!」


 派手な腕時計をした男が言い寄る。

「何でも買ってあげるよ。男はやっぱり経済力だよ」


 神経質そうな男が言い寄る。

「他のヤツラなんて、絶対ダメ!」


 顔がテカテカと黒光りしてる男が言い寄る。

「ボクがキミをステキな天国へイカせてあげるよ」


 小太りの男が言い寄る。

「すっごく美味しいお店知ってるよ!」


 気怠げな雰囲気の男が言い寄る。

「カフェでのんびり過ごそうよ、ね?」


もうひとりは、キララにイライラし始めている。



「キララ、お待たせ」


 キララが振り向くと、約束していた男の子がいた。

 肩まで伸びる茶髪をポニーテールにしているイケメン男子だ。


「もう、駿、遅いよ!」


 周りを見渡す男の子。


「トラブル……?」


 笑顔で首を振り、否定するキララ。



男たちが騒ぎ始めた。

「そんなヤツ、全然カッコよくないじゃん!」


キララは冷静に反論する。

「オマエはもっとカッコよくねぇけどな。つーか、ダセェ」


「ボクなら何でも買ってあげられるよ!」

「金でどうにかしたいなら風俗行けよ」


「そんなヤツ、絶対ダメだ!」

「オマエがダメだ」


「ボクが天国に……」

「オマエなんかとヤルか、ボケ」


「美味しいお店……」

「彼の料理、すっごく美味しいの」


「のんびり……」

「そうね、彼とのんびり過ごすわ」


 残ったひとりが、怒りの表情でキララの肩を掴もうとした。

 が、その腕を男の子が掴む。


「キララに触るな」


 男の子の剣幕に手を引っ込める男。


「キララ、行こう」


 キララは男の子と腕を組んで七人に背を向けた。


(男性で大切なのは、お金とかじゃないよね)



変な男に纏わりつかれた不運な七月。

彼の優しさや秘めた魅力を改めて知れた幸運な七月。

私の心に大切なことを認識させた開眼の夏。


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