アンドラッキー7
水円 岳
☆
ラッキー7ていうけど、七絡みのラッキーなんか当たったことない。七つあるお菓子の分け方で喧嘩したり、授業で七番目のわたしが当てられたり、七時間でやる気スイッチ切れたり。
七絡みの不運に悩まされてるってわけじゃないけど、少なくとも幸運とか幸福みたいなものにつながったことはないんだ。そして今も、七絡みであまり嬉しくない状況になってる。
ずっと憧れてたクラスメートの男の子がいて、だめもとでバレンタインデーにコクったらオッケー出た! 浮かれてたんだけど、告白から七日目の今日、フル装備で初デートだっていうのにカレシの機嫌がめっちゃ悪い。なにがラッキー7よ。わたしにとっては最低最悪の七になりそう。もろ、アンラッキー7じゃん。
「ごめんね……つまんないんでしょ?」
「そんなことない」
と言ってるけど、顔にそう書いてあるよ。
「やっぱ、アンラッキー7なのかなあ」
思わずぼやいたら、何それって顔でカレシが振り向いた。
「いや……わたしどうも七と相性悪いなあって。今日なんかサイアク。ド・アンラッキー7」
「ふうん? でも、それってドの置き方で変わるよ」
「へ?」
「てっぺんじゃなくて、ちょっと動かす。アンのあとに持ってきてみ」
アンドラッキー7かあ。
「ドってさ、いい意味でよく使うじゃん。ど真ん中とか、どストライクとか、どはまりとか」
「うん」
「だから、ドをポジに使った方が運気上がると思うんだよね」
「そっかあ!」
「アンラッキー7だったら、アンド、ラッキー7にしちゃう。今ならラッキー七つ追加、みたいな」
カレシがぱかっと笑った。あ、なんか今運気変わった気が。さっきまでどうして機嫌悪かったのかな。
「てか、ドってなんなんだろ」
「決まってる。ドーナツのドさ。ああ腹減った。今日ならアンドーナツ七個は食えるぞ」
アンドはあんドーナツの略すか。食い気に負けるわたしの色気って。とほほ……。
【おしまい】
アンドラッキー7 水円 岳 @mizomer
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