第廿陸話 疑わしきは罰せず?
大見得切ったはいいが、大元帥殺すにしても下の階層を降りなきゃいけないのが辛いところだな……!
せこせこと何かを頑張っているというのも、別に悪くはないが……今のままではただの苦行になってしまいますよね?
ということで、全力で下に駆け降りていこうかと思います!
これが一番早いです……ってやつなんだけど、今の若い子はこのネットミームを知っているのだろうか?……知らなかったら、ジェネギャで一人の人間が泣き崩れそうになるのですが、どうでしょう?
一番辛いのは、そのジェネギャを聞かされて微妙な雰囲気になった若い子達だよね〜!
俺なんか、あのブラック企業で若い子が入社してきた時「よっこいしょういち」って座ったら、ゴミ虫を見られるような目を向けられ「なんすかそれ。流行ってるんすか?ジジイの間で」ってブチギレられたことあったからなぁ!
あの時は家に帰って流石に枕を濡らしそうになったが、耐えることができてよかった。
あぁ、そんなどうでもいいことより、今は次の階層の道だな。
それなりに辺りを見回して、探し回ったのだが、外の景色からも確認できるぐらい、景観がスカスカなので、目視でも確認できるぐらい、目立ったものはないので、早々に研究所内部を探し始める。
この近代的な研究所の地下3階に道が続いていて、下の階へ降りれるようになっているみたいだ。
なんとも灯台元暮らしという言葉が似合う階層だなぁ。
あのニードルを出してくるやつの性格がとてもとてもひん曲がっていて、ここに設置したらばれないんじゃね?的なことを言ったに違いない……そうしなければ、こんな質の悪いところに設置するなど、考えもしなかっただろう。
まぁ、それだけ奴の能力が高いと言う裏付けにもなるので、それは認めるみたいな感じで癪だな……。
階段を下り、その階層の状況を整理していると、なんだか人の気配を感じ取ることができ、警戒体制をとる俺。
何処からでも襲撃されてもいいように、万全の体制を常にしているとは言え、不意打ちで近づいてくる奴らに、まともな思考の持ち主はいないと思っている派の俺が断ずるが、暗記は必至……毒殺もあり得ると言うわけだ。
そもそも、奇襲に気がつくことのできない実力であるのならば、こんな組織の人間がうじょうじょいる場所に行くなんてことはしないし、気が付かないでいけば、楽しいピクニックが、苦しい自殺行為に成り果てるだろう。
自分で何を言っているのか分からないが、そう言うことなのだ。
「………………どちら様?何故ここにいるのか……名乗らないのなら、問答無用でその命を奪う」
そうして、俺の問いに対しての返答は、意外な人物から放たれた。
「一番合戦君!私だ!…… どうやら君も無事だったのかね?!」
なんと!学園長先生ではありませんかっ!
ここまでの戦いで少し消耗しているのか、肩で息をしながらこちらに向かってくるのだが……こんなにも疲れているとなると、何かあったのだろうかと気になるところだが……こんなんで学園長勤めてて大丈夫かしら?
「………………えぇ、無事です」
「そうだったか!君ならこの任に耐えうると思っていたんだよ!君がいてくれなかったら、私は伏していただろうと思う……本当に感謝するよ」
こんな喋り方だったか……?
今はこいつの事を疑わないで、普通に接していた方が良さそうだな…………なんだかこいつは違うような気がする。
邪悪な何かだろうと断じるのは早計だが、疑わないで後ろからグサッ!だったら普通に死んでも死にきれない。枕元にその一生を呪って立ってやることしか、俺には出来なくなる…………なんて生活は考えたくないな?
その生活が嫌なのであれば、こいつを心の内では警戒しつつ、外面上は取り繕う必要があると言うわけだ。
お生憎様、無表情は健在なので、表情から俺の心情を理解できる人間などそうそういない。それが功を奏する時が来たみたいだな。
「………………礼には及びません、学園長先生。私は何もしてなどおりません」
社交辞令を述べると、少し相手を慮るような態度を取り、相手のご機嫌をとりつつ……心を懐柔させていく。
こいつがもしスパイならば「あっ、こいつ勘違いしてやがる……チョロいなっ!」となってくれれば、心の隙が何処かで生まれる。
その心の隙が油断に繋がり、慢心にもなってくる。…………慢心はやがて大きな穴となって、自分の行動に気をつけようともしなくなる。バレていないと思っているからだ。
そんな状態のことを油断大敵というのだよ……ワ◯ソン君。
さて……こいつはどんな状態になっているのか、少し楽しみになってきたなぁ……?どれほどの腕前なのか、見せてもらおうじゃないの?
まずはお手並み拝見と言うことで、こちらから手は出さないでおくが……こちらに少しでも害のあるような行動を取ったと判断した場合は、こちらからしっかりと
そう…………今、
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