第廿伍話 天昇る龍は顛末を見る
火花が散ってから、少し時が止まってしまったかのようになったが、すぐに追尾ニードルの追撃がきて、その追撃を仰け反りながらなんとか避けていく。
何度も何度も追尾が来て、あいつの体引きちぎれるんじゃないかとも思ったが、あいつはどこ吹く風でなんともないような顔していやがる。……本当にこいつ、研究員かよ!
まぁ、俺は俺でぇ?対抗意識を燃やしまして、ニードルを切れないという事実に、少し分かったことがあるのですよ……!
こいつのニードルの硬さはダイヤモンド以上の硬度を持つということだな。……本当に
慌てるような時間じゃあわわわ……ってなったやつから負けるってじっちゃ(顔すら見たことない)が言ってた。
俺ってば、家庭環境が最悪だったから、母親の顔とかまともに見てないし、父親の顔はまず知らないんだよねぇ。なんか飲んだくれて賭博やってたって話は聞いたけども。
「どうした、俺のニードルを弾き飛ばさないのか?」
これ以上弾き飛ばしても無駄だというのに、分かりやすい挑発だな。だが、その挑発に今は乗ってやるとしよう。……打開案が思いついているわけでもないが、ポーカーだってブラフを使ったりするんだ。俺もやってやるさ
「なんだ……?その技は。俺のニードルを突き破れると本気でそう思っているのか?だとしたら滑稽を通り越して失笑だな。そんな技で俺の剛鉄をも貫くニードルを破れはしない……お前は詰んでいるんだよ」
その言葉を言い放った瞬間に、俺はナイフに溜めていた力を解放する。
「………………
解き放たれしその刃は、まっすぐこの研究員に向かって飛んでいく。……貫け、裂けろ、真っ二つだ。と言わんばかりの勢いで飛んでいくこの斬撃は、意思でもあるのだろうか?
ニードルに触れた瞬間に、こいつはニードルを引っ込めて回避をする。
寸でのところで回避行動をとったこいつの技術に脱帽しかないが、それだけで攻撃が終わったと思ってもらっちゃ困る。
何度も何度も力を溜めるのが面倒だから、一回で何発も出せるぐらい力を込めただけにすぎない。
威力が落ちるだとか、そう言った淡い期待はしないほうがいいぞ……?無制限に襲ってくるような感覚に陥る斬撃の嵐で、永遠に眠りにつけ。
「……はっ!くっ!…………だあっ!………………雨霰とはよく言ったものだが、本当にそのように襲いかかってくるとはな……!」
「………………あんまり嘘はつかない
苦々しい表情をしながら攻撃を避け続けている研究員であったが、その抵抗も虚しく、ニードルを一直線に
苦悶の表情を浮かべる研究員であるが、まだ戦う意思は残っているのか、こちらから視線を外そうとはしない。
こいつ……場所が違ったら、とても強い兵士だったに違いないな。胆力も十二分にあるし、何より戦闘の経験を積んだ兵はしぶとい上に、戦闘での更なる成長が見込める……。
戦い
しかしながら、もう終わりにしないといけないのよね。黄泉の行方もわかってないし、あの爆発に巻き込まれていたらと思うと大変だ。
だから、もう蹴りをつけなければならないんだ。身勝手な理由でごめんな?お前らも身勝手な理由で龍を拉致してきたんだし、当然許してくれるよな?
手に力を込めているポーズを取ると、相手も構え始めた。ニードルを出す準備はできているらしい。
あぁ、本当に惜しい人材だ。今ここで殺してしまうのが残念でならないが、ケジメはしっかりとつけるタイプの
「……………………
天に昇って言った龍への手向け。
手刀による突き技の一種であり、この突き技はナイフでも繰り出すことが可能だが、こいつへの最後の敬意として、手刀で行った。
手刀を腹に刺されると、口から塊のような
お前は研究員じゃなくて、戦闘員の方が向いていたよ。その方がお前にとってもより良いものになったんじゃないかと思うと、残念で仕方がないよ。しかもジェネリックの戦闘員じゃなくて、もっと別の隊に…………。
最後の最後まで、自身の誇りに
俺自体はまだ軍所属という形になってはいないが、天皇猊下陛下にお使えする内大臣という立場にあるものだからな…………大日本帝国式の敬礼でしか手向けることができないが、許せ。
お前の無念も、龍の無念も背負って…………必ずここに巣喰うゴミ虫を殺してきてやるからな。
…………待ってろよ、ジェネリックの大元帥様よぉ?
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