第肆話 ふーん、にっちじゃん。
下の階層の道が出てくる条件がわからない以上、無意味なことをして体力を削るのは得策ではないと判断した華恋は、家を建てる事にする。
急におかしなことを言っていると思われるかもしれないが、本気で家を作ってここで生活ができるレベルのものを作っていた。
先ほど狩猟した蛸とイカを食いながら、明日は天日干しとでも言いたげな網まで作って、ここに住み着く気満々である。
先ほどは調教しようと華恋も思っていたのだが、あまりにも気性が荒いため、早々に華恋の胃袋の中が永久就職先だ。心なしか華恋の表情筋は死の一歩手前のような顔になりだし、ご機嫌である。
とりあえず、自分のできることをしようと思い、家を建てた訳であるが、こんな突飛なことをし出したら、こちらのことを監視している者たちもびっくりするだろうという、一種の意趣返しも含めての行動……鬼が出るか悪魔が出るか、それは分からないが、何もしていなくて何か起きるのは精神衛生上良くない。
しかも、じっとしていると自分のフラストレーションを溜めるだけ……と考えていた。
全ての蛸とイカを食い切ったことで、異変を感じた華恋。
決して腹が痛くなったとかそういうのではなく、どこかで何かが動く音がしたのを、聴覚を強化している華恋は感じ取ることができたのだ。
その場所に着くと、下に続く階層が現れているではないか。
「運……………………ゲー……………………」
華恋も言うように、まさしく運が強くない限り、辿り着くことのできない真実に呆れ果てる華恋であったが、素直に喜び、下の階層へ向かう事にする。
家を作った手前、ここに居座ろうかとも考えたが、この研究所を破壊するのが最優先であって、ここでサバイバルをするのは目的ではない。クールに決めるつもりだったが、そちらから勝手に開けるのは好都合である事に間違いはなかった。
いやぁ、まさに僥倖ですなぁ。
勝手にこちらから開いてくれるなんて、ラッキー以外の何者でもないな!
簡単な仕掛けでワタクシ、感動もできませんでした!
感動するのが目的ではないんだが、それでも何かあると思うのが侵入者としての心境な訳じゃん?もっと難しい仕掛けがあると思ったのによぉ。拍子抜けなんだよねぇ!
そのまま階段を下っていくと、次なる階層は森林に囲まれたステージ。
わかりやすく敵がひとまとまりになって出てきてくれるとかだったらいいけど、そう簡単にはいかないでしょうねぇ。
森林ステージってなんだか、虫さんが大量にいる気がするせいで、上手く言えないんだけど、その……相当キモイです。
虫型のモンスターが出てきたら、絶対にこの研究所ごと燃やし尽くしてやろうかしら。この研究所はいらない子、はっきしわかんだね。
どんな研究を行なっているのか全く知らんけど、まぁ世の中のためになっていないことをどうせやっているに決まっている。
俺が最初に侵入した場所の囚人だって、実際まともではなかったし、頭のラリっているやつが多かった。あのおかげで成長できたと言っても過言ではないが、進んで自分から行こうなんて言う奴はいないだろう。
天皇猊下陛下も、この場所は目の上のたんこぶだろうし、彼の方はお忙しい身分で荒らせられるから、自分から出向いていくと言うのはできなくて放置されていたのだろうと、心中をお察しすることは臣下にとって難しいことではない。内大臣としての責務を果たさなくてはならないな!
「あらぁ、侵入者かしらぁ!珍しいわ、こんなところで生の検体に会うことができるなんて!とりあえず、全裸になってあなたの穴という穴をいじくり回してやるわぁ」
マッドなサイエンティスト出てきたぁぁぁぁああ!
しかもこの女の格好、乳首と股の部分しか隠れてない、ハイレグの水着じゃん……なんで?
しかしながら、その凶暴な胸部装甲には目を見張るものがありますねぇ!……性格はともかくとして、体は百点だな?こいつ。
しかもそんなニッチな格好して、誰のためにどのようしてあてた水着だよってハ・ナ・シ。馬鹿にされているような感じがしてむかついてくるな。しかも性格はドブカスときた。
こいつなら躊躇いなくぶっ飛ばすことができそうで安心するよ全く。
これでいい性格のやつが出てきても、等しく殲滅するのは変わらないんだけど、やりやすくなるのは本当だ。いいやつよりも、悪いやつをぶっ飛ばした方が気持ちスッキリするし……もしや俺の性格も相当なドブカスだな?
俺もいつか悪いやつとして処刑されるんだろうけど、今はその時ではない。この研究所を潰さない限り、終わりのない夜になり続けるわけだ。俺、馬鹿だからわかんねぇけどよぉ、お前を潰せばこの回想は解決だよなぁ?
とりあえず、このニッチな女を潰すことを決めた俺は、戦闘体制に入る。
「そんなにいさんでちゃぁ、出るものも出ないわよぉ?潮とか潮とか潮とかぁ。私のここはぐしょぐしょなんだけどねぇ!あなたをいじりまわして、早く自分のここもいじりまわしたいわぁぁぁぁああ!」
相当にヤバいやつということが確定し、一気にお近づきになりたくなくなった俺氏。まじで性格っていうか性癖が捻じ曲がってんな。
このペドボディでこれだけ興奮できるのは一種の才能だよ。
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