第卅話 誘われたった
職員室につきましたぁ(恍惚の表情)!
ふーん、広いじゃん。
教師の部屋ってなんか汚いイメージあったんすけど、別に普通なんすね?
なになに?教師は大変だから、部屋は広めの方が良い?…………嘘じゃん。
そんな事関係ねーんだよ!まぁ、そんなことは置いておいて、本題に入らさせていただきます!
無言でこいつら放り投げ、反応を伺う。
「な、なんなんだこいつらは……!」
驚いた表情を見せてますね!もしかして上級生(仮)をボコボコにするのは流石に不味かったかな?いや、考えなくてもまずいってことはわかるな。
この表情は何か違うものを見る様な表情だな……。
俺、中学生の時に見たことがある!いじめられている時に、逆にそのいじめてきた人間の顔面をぐちゃぐちゃにした時に周りの反応が、人間を見る目ではなかったことを思い出しました!
嫌なこと思い出させんなよ恥ずかしい。
実はこいつら、この学園の人間じゃなくて、外から来た別の人間なんじゃねぇの?(名推理)つまり、こいつら教師は不意にこの学園が攻撃されていると言うことを知って、こんな顔になったわけか……。
流石に俺も無関係ではいられなくなってしまったと言うことか!
まあ?戦うことができたら、そんな陰謀は関係なしに、人間をボコボコにできる口実が増えるだけなんすけどね?
いやいや、人間をボコボコにするのはやめようよ!(心の中の悪魔)
いやいやいや、人間をボコボコにして自分のストレスを解消する方が、よっぽど今のストレス社会にあってるよ!(心の中の天使)
俺の心の中の天使はどうやら、悪魔に近い部類みたいですね……つまり俺に人の心はないと言うことか。悲しいなぁ。
「一番合戦君、君はこの者たちがわかるかね?」
なんだか偉そうな人に、偉そうな声で偉そうなこと言われたんだけど、誰かこいつのことわかるやつおりゅ?
しかも、なんだか若そうな見た目なのに、みんな頭が上がらないみたいに、ペコペコする様子が見受けられる……この中で一番偉い人には間違いないみたいだが、本当に知らんなっ!
「
「うむ、黄泉君か。いつも学級委員長の仕事、ご苦労様。最近は忙しくて会えていなかったが、息災な様だね」
あらあら、委員長が知り合いだったみたいだわ!
ほむほむ……この人は学長で、この学園で偉い人に分類されるものみたいだな。
強いやつのオーラが感じられて、ちょっとウズウズしてしまうかもしれない!やっべ、ヒ◯カじゃないけど、興奮するじゃないかぁ!
………………いけないいけない、何もかもを放棄して戦いに参加するところだった。そうなると寝床を失う上に、マセラティから追いかけられる事になるから、死ぬほど面倒臭い目にあうのは必至。やめときましょねぇ〜。
「ああ、自己紹介がまだだったね、一番合戦君。私の名前は水窪参議上善というものだ。一応、学長をやらしてもらっている」
「…………………………どうも」
「うむ。…………話を本題に戻すが、このものたちは、反異能覚醒者保護組織・ジェネリックというもの達だ。捕まえられたのは本当にお手柄だよ」
ジェネリック……なんか安い薬みたい名前だな!
本当にそんな組織が強いのか、という疑問が生まれる事になるが、俺自身こいつらと戦ってみて、それなりに苦戦を強いられたという時点で、自分より格上であるということは間違いないと見ていい。
自身の異能を完全に理解していないと、タッグを組んで戦えることなど出来ないし、やろうと思っても難しいだろう。
自分のことが一番可愛いと思っている人間の方が多いのだから、当然っちゃ当然ではあるんだが、その壁を乗り越える人間というのは強い者なのだろうなぁ、という人生経験(ブラック企業だったので、ほぼ外に出かけるなんてことなかったけど)に基づく自分の灰色の脳みそが囁いている。
こちらに視線が集まっていて、なんのことかのと思ったら、なんということでしょう!話が止まっているではありませんか!(パンチパーマの奥様)
俺が思考している間に話が止まってしまったので、続きをお願いするよう頷いて返事をする。
「この者達の上役は、異能覚醒者を否定しておきながら、自分たちは異能覚醒者を使って自己の利益だけを追求する組織でね…………全くもって強欲な連中だったから、近頃攻勢に転じなければと思っていてね」
なるほどなるほど。
ジェネリックは異能学園にとって目の上のたんこぶであるというのは、話の流れから察することのできるものだな。
しかしながら、こんな重要なことを一生徒に話してもいいものかと思うのだが、学長だから別にいいんだろうか?
まぁもし話したら、殺す……みたいな展開がなくもない気がするんだが、学長先生がふと笑みを浮かべ、とんでもない爆弾発言を言う。
「どうだい、君たちも行くかい?」
なんて「近所に新しいコンビニができたんだけど、一緒にどう?」みたいな言い回しで急に言ってくるもんだから、こちらまで面食らってしまうことに悔しさを覚える。
キーッ!私が相手を驚かしたかったザマス!悔しいザマス!(天竜人)
……しかしながら、せっかくのデートのお誘いを無碍にするわけにはいかないよねぇ?
俺はこの提案に乗るぜ……!
委員長はどうするのかしら?
正義感が強いタイプってわけでもなさそうだけど、どうなのかしら。
まぁ?無理しなくてもいいし!学長先生と俺が片付けてきてやるし?別にいいんだけどね?あんたなんかいなくたって、勝てるんだからねっ?!(本当)
「……私も…………行かさせてください!絶対に……行かなければならない」
……おや?
何か仄暗いものを感じる顔してるんだけど、体調が悪いのかしら?
うーん、急に頭痛になったとかじゃなくて、何か明確な理由があるように感じるんだが……乙女心は俺にはわかんないしね!
俺今乙女っていうか、ロリの姿なんだけど。
…………あっ!そうか、委員長が不機嫌な理由わかった!
今日は月………………(自分で自分の顔面を殴る図)
鼻血が出たが問題ないな!学長に目だけで合図を送り、学園から出発する事にする!
さぁて……どんな敵に会うか今から楽しみで仕方がなくなってきたなぁ。滾る血をどこかで抑えないといけないから、とりあえず自分をサンドバックがわりにして、避ける練習を自分でしながら向かおう!(正気の沙汰じゃない)
_____________________________________
華恋さんが、自分で自分の顔を殴った時には、驚かされてしまいました。
急に自分自身を殴るのですから、おかしいなどと思ってしまって申し訳なかったかな?と思います。
私が態度…………顔に出てしまっていたのです。
私が未熟者だったばっかりに、華恋さんに迷惑……気を使わせてしまっていたみたいで申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
自分がもっとしっかりしていれば、自称行為を避けられたかもしれないのに……。
私が機関の関係者だったばっかりにこんなことをさせてしまうなんて……いつまで経ってもしっかりしていないとお兄様に叱られてしまいますね。
学長が急にはなった言葉で面食らって、心を乱される様ではいけません。この人も善意で言ってくれているということは感じていますし、助けていただいた恩義ももちろんあります。
あのまま研究機関にたら私は気が狂って、一生異能を使えない体になってしまったかもしれないと思うと、今でも身がすくんでしまいますが、覚悟を決めなければならない時が来たということでしょうか。
「私も参加させていただきます。あの研究機関にはかりがありますから。だから学長先生も誘ってくださったのでしょう?」
「そうだね。危険なものになるかもしれないが、君には顛末を見てもらわないとならない……というのは確かだ。あの件もあることだし、早めに潰しておかなければ今後さらに犠牲を強いられる事になる」
「えぇ、私もそう思います。自分自身の意思が働かないあの場所では、想いを伝えるということすらもできない状態にされてしまいますので……」
二人でそんなことを話すと、華恋さんは不思議そうな顔でこちらを伺ってきます。
あなたに関係のない話ですが、聞いて欲しかったのです。その心優しき部分を腐らせてしまわないように、私のような犠牲者を今後一切出さないように。
そんな決意を胸にだき、今度こそ学園を出発します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます