第31話他人の婚約破棄のおかげで僕達には婚約者ができました
遅くなりましたm(__)m
第一章エピローグです。
心のオッサンは死にました。
今の僕はセルフィル=ハイブルクじゅうさんさいです。
・・・。
ヤッべーの。
グリエダさんは何かを抱き枕にしないと眠れない人だったみたい。
そしてけしからん人でした。
こうやわやわしたものがやわやわとショタを抱き枕にするからやわやわなの。
変態三人メイド達ありがとう。そして侍女長説教フルコースで死んでもらう。雇用主で遊ぶとは不届き千万である。
次の日ドキドキして眠れず朝方に寝た俺は、ほぼ寝不足でむにゃむにゃしながら元の男装に戻ったグリエダさんにお姫様抱っこで城内の注目を浴びて馬車に乗り込んだそうな。
三人メイドのカルナが颯爽と寝間着姿のショタを抱きかかえるグリエダ王子様を描いた絵を見せながら自慢してきたからロンブル翁の監視三日のお仕事を命じた。
もう本当にグリエダさんにお婿に貰ってもらわなければショタは死んじゃうの。
絵はなかなか上手だったので額縁に入れて描いた本人に渡してやる。
鞭の後は飴だよね。
そしてショタは覇王様とイチャイチャな学園ライフに戻っていきました。
おしまいおしまい。
「というのが普通ではないのですか」
「何を言っているんだ」
ボヤキに長兄が変なモノを見る目で俺を見るの。
「いえ不思議なんです。三日前に屋敷に帰って、昨日は学園でグリエダさんとイチャコラしました」
あ~んしたりして楽しんだよっ!
俺がグリエダさんに新作の生クリームのケーキをあ~んしたんだけどね。
もち前世の記憶だ。
少し前から必死に思い出して最近なんとか形になったもので、心のオッサンが少女のグリエダさんに食べさせたかったのだ。
食べさせるのもショタになったけど。
美女な王子様が少女のように嬉しそうに食べてくれるから満足だった。
他にもいくつか開発したのでしばらくは学園イチャラブは楽しみにしていたのに。
なのに今日はいつものようにグリエダさんの愛馬白王で学園に着いたら、なぜか門の前に騎士団長が騎士を連れて立っていた。
両手を上げて降伏を示して。
その手が持っていた書状を渡されて見たのを後悔したよ。
なぜか長兄を筆頭に王妃様、セイレム公爵、宰相、知らない侯爵や伯爵の署名が書かれていて、たぶん長兄が書いた一文。
王城に来るか、私が帰るまでお前の嫌いな豆の塩スープが主食になるか選べ、と書いてあった。
嫌だったので拒否しようとしたら、もう一通。
ほとんど同じ内容でおかずが一品豆だけのサラダになるに変わっていた。
あと三通嫌いな豆オンリーな食事になるところで、苦笑なされる覇王様を引き連れ王城へ。
そしてそのまま広めの部屋で王妃様に宰相、長兄、セイレム公爵に知らないオッサン達と山の様に積まれた書類の中に叩き込まれたの。
そこから始まる長兄の隣での書類整理。
すでに朝から昼過ぎまでぶっ続けです。
「酷くないですか可愛い弟をこき使うなんて。あ、この数字はおかしいです。去年は豊作だったのに冷夏の一昨年と同じ作物量になってますよ」
「その男爵は厳重注意で反省が無ければ領地を半分隣のまともな子爵に移譲でお願いします」
長兄に話していたのに精査しろと渡された書類を指摘したら、なぜか王妃様が断罪発言。
ちなみこれで五件目。
「なぜ僕はさっきからいくつもの貴族の人生を潰していくお手伝いをしているのでしょうか?」
「全てお前のせいで起きていることだ」
可愛い弟に冷めた視線を送る長兄。
一緒にくっきりと目の下に隈をつけて王妃様以外のオッサン共が愛くるしいショタを冷たく見ている。
こわっ、どこ?ショタの守護神覇王様はいづこーっ!?
「え~国の濃ゆい膿はある程度俺が解決したじゃないですか。貴族法214条の効力は無くなっても今は王妃様が認めれば大丈夫でしょう?」
俺が権力を手放した時にエルセレウム王国の最高権力者は王妃様になった。
側妃にはあと二人、王子と王女がいるらしいけど落ち目気味。
うん、俺が愚王以下主だったのを泥沼の地獄に落としたからね。雑魚をまとめて反乱を起こしたら首が晒されることになるだろう。
もうなっているのかな?
二公派閥に最高武力の女辺境伯、宰相、騎士団長が認めれば病…に倒れた王の代行に王妃がなることは可能。ただし王家の血を持つ者がその血縁にいることが条件みたいだけど。
初代でもない限り、権力者になるには色々な手順がないとトップにはなれないようだ。
「その王妃様にお前は何を渡した・・・」
「ん?渡した?」
王妃様に聞こえないように耳元で長兄が言ってくる。
はて何か渡したっけ。
・・・あ。
「代行のピアスですか?」
貴族法214条を停止させた後に、半泣きのマトモハリー嬢が俺にどうにかしてくれと広げたエプロンに代行ピアスを入た状態でやってきた。
うん忘れていたよね。
長兄やセイレム公爵、宰相のは俺が持っていたのでそのまま返したけど、マトモハリー嬢が持っていたのは味方、敵のピアスがごちゃ混ぜになっていた。
一人一人見つけ出して渡すのが時間がかかって面倒そうだったので、王妃様に返して頂戴とお願いしたの。
だってピアスのデザインでどの貴族かわかるって言うからさ。
「私達の派閥の者達にはすぐに返却してくれた。だが王に味方した連中は・・・」
遠い目をしないで早く続きをお願い長兄。
「夜会から一晩かけてあの場でお前とグリエダ嬢が断罪した王達の処理は大体は決まった。だがなその後そのまま代行ピアスを握られた貴族の大処断だ」
わおっ王妃様すっごーい!
代行ピアスは受け渡された本人しかその力の行使はできないけど複製できない唯一のもの。
俺って一番渡しちゃいけない人に渡しちゃったみたい。
今まで愚王の傍で実務をしていた王妃様を馬鹿にしていた連中は貴族の命の半分以上を握られてしまったようだ。
そして味方になった貴族達も悪魔?から取り返したのだから恩を返してくださいね、と脅してきたらしい。
先王、あなたはとんでもない化け物を生み出したようです。
解放したのは俺だけど。悪魔って誰のことかな?
そして今の俺ってそのお手伝いなんだね。
うん、最後の最後にやらかしたから王妃様が魔王様になっちゃった。
長兄達が妙に煤けているのは政務プラス大処断もしているからか。
夜会からほとんど寝てないの?
でも王妃様のお肌は夜会の時よりさらに艶々に。
「あなたに貰ったおもちゃが面白いのよ」
あ、愚王おもちゃで休憩時間に遊んでいるんですね、内容は教えてくれなくてもいいですよ王妃様。
教えないかわりに昼ドラのドロドロの遊び方を教えましょう。革のステーキとか美味しそうじゃないですか?
あと長兄とコソコソ話しているの聞こえています?・・・その笑顔だけで十分です。
「でも長兄、僕そろそろ一度休憩に屋敷に帰りたいな~」
「城にお前の三人メイドを呼び寄せている」
逃げれねぇ。
わかるさ、これでも前世のおかげで事務能力はそこそこあるショタだから書類から粗探しの苦行タイムが始まるんだよねっ!
「いやっ!僕には最強の婚約者のグリエダさんがいるのだっ!グリエダさーんっ僕を助けて下さーいっ」
「アレスト女辺境伯はヒルティ騎士団長が騎士団を指揮して実践訓練中だ。交代交代でハイブルク、セイレムの兵が挑むからしばらくはここには来れないよ」
「宰相何してくれているんですかっ!あれかっ!息子の息子をパンッした恨みですねっ」
「ふ、ふふふ、そんなことで恨むものかっ!あれだけのことをして君だけ女辺境伯と密着して楽しそうにしていたと、ハイブルク公爵の元に報告が伝えられた時の私達の気持ちがわかるかっ!」
「わかるかこの愚王製造機宰相っ!帰せっ!僕の仕事は終わったんだぞ、あとは大人の仕事だろうが!」
「いーやーでーす!なあ諸君、私達を無限忙殺に堕とし入れたこの悪魔を許せるかっ!?」
「「「許せんっ!」」」
「長兄とセイレム公爵は同意するなよーっ!」
いかんこの場には味方が。
「私の味方をしてくれたら助けてあげるけど?」
「ノウっ!この地獄を作った人は信じられません。ゆっくりでも間抜けな貴族なんて牙を抜けるのに僕を嫉妬オッサン達の中に放り込んだくせにっ!許しませんからね、ヘルミーナ様が王都に戻られたら王妃様に狙われたのーて泣いて報告してやる!」
王妃様、あなたまだ俺を狙ってますね。
しょうがないあなたのお友達のヘルミーナ様を召喚してやろう。まだにわか女傑では長年女傑には勝てませんよ。
慌てて止めてぇー!と言われても止めるものか。
長兄に連絡が伝えられたと言ったな。
俺達のイチャラブを近くで見ていたのは一緒にいたベラ嬢、そしてダッシュ君だ。
あの野郎俺を売りやがったな。
ふ、彼女がいない奴は寂しいねと言ったけどそんなに恨むか?まあ血涙流して恨むよね。
「グリエダさーんヘルプミー!」
叫んでも誰も助けに来ず。
泣く泣くオッサン達と逃げないように長兄の隣で断罪事務処理。
寂しかったのでダッシュ君(恨みは返す主義)とメイド服で王城にまだいたマトモハリー嬢を召喚。
二人にはオッサンのストレス解消に事務仕事を叩き込んでやった。
ダッシュ君には鬼で、マトモハリー嬢には菩薩の様に接して教えてあげたよ。
マトモハリー嬢の方が上になるように調整して。
婚約破棄からストレス溜まりまくりのマトモハリー嬢がダッシュ君にマウントを取っていたのが爆笑だった。
断罪地獄でおかしくなったオッサン達も大爆笑。
ふ、これで少しは上位貴族で女性を見下すのが減少するだろう。
・・・考えてした。うんした。
グリエダさんと会えたのは二日後だった。
知ってるかい俺の婚約者、二日で国家騎士団とハイブルク家とセイレム家の騎士と兵士を全滅させたんだぜ。
グリエダさんが俺の元に来た時に俺を拘束した嫉妬まる出し大人は成敗されるはずだったが、メイドのマトモハリー嬢が断罪粗探し書類見つけ勝負で三対一で勝利して、胸張るメイドの前に教えてやった土下座をするダッシュ君に歓声を上げていたところに入ってこられたので、微妙な雰囲気になって成敗は免除になった。
「ごめんよ。ハイブルク家が性格の悪い作戦ばかりしていてね。あれ君が教えただろう?」
少し俺のことを忘れて遊んでしまったらしい。
あ~とにかく間接攻撃に徹しろと教えていたもんな、兵の損耗を抑える技術はかなり高いハイブルグ家。その分正面対決は弱いけど。
「楽しめましたか?」
「愚王の寄こした騎士団よりよほど歯ごたえあったね。君の方も最初は嫌々そうだったが今は満足そうにしているな」
「まあそれなりにこっちも遊べましたから」
王派側妃派の力の削ぎ方はだいたい実行できるような形になった。
宰相とは変な喧嘩友達になって息子さんのことで感謝された。騎士団長の方はグリエダさんが受け取ったらしい。ときどきグリエダさんの身体を動かすための訓練相手を騎士団がしてくれるらしい。
息子二人は家で処理したと一言だけ聞いた。
それが貴族だからしょうがない。
アガタ公爵とランドリク伯爵は貴族院を蔑ろにした愚王についた派閥のトップとして責任取らせて降爵させられるそうだ。どのくらい落ちるかはまだ未定らしい。
愚王と側妃はどうなっているのかわからない。
ただ王妃が休憩から帰って来ると肌が潤っていた。いったい何が起きているのだろう。
「これで大体は終わりですかね」
「婚約破棄から始まり愚王の愚行、一歩間違えれば国の存亡だったかな」
白王に二人乗りで王城からご帰宅中。
二人揃って貴族としては少しボロボロだ。
お風呂に入らせてもらえず書類とにらめっこしていた俺と、三日戦闘訓練をしたグリエダさん。
長兄とオッサン達はまだまだ延長タイム続行だ。
でも知っているの。長兄は休憩の時にアリシアさんとイチャイチャしているの。でも羨ましくなかった。その後セイレム公爵に絡まれるから。あの人長兄のこと好き過ぎる。
癒しの婚約者を超える義父はいらない。
「何か凄いことになっていますが僕達だけに視点を変えると不思議な風になります」
グリエダさんに抱きしめられながら愚王という単語で嫌になる気分を変えようと思った。
「どういう風にだい?」
「僕とグリエダさんには婚約破棄のおかげで婚約者ができましたですね」
「ははは、本当だ。それで婚約者ができるなんて不思議だね」
主語を足せば他人の婚約破棄のおかげで僕達は婚約者ができました。
グリエダさんと不思議な縁で結ばれた。
少しだけほんの少しだけだが便器に突っ込んで溺死した前世の俺に感謝したい。
俺はセルフィル=ハイブルクとしてグリエダ=アレストと幸せになるぞっ!
「君少し臭うな」
「え、」
「よし私も臭うだろうし、一緒に入ろうか」
「え、なにに?」
「それは決まっているじゃないかお風呂だよ」
「イヤーッ!」
僕の婚約者は積極的過ぎて困ります。
ーーーーーーーー
セルフィル「入りませんからね!」
グリエダ「それは一緒に入りたいということだろう?」
セルフィル「誰が教えたー!」
変態三人メイド「「「はーい\(^o^)/」」」
エピローグです。
何話か閑話みたいなのを書きたいと思います。
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