第29話覇王の威を借るショタの権力借る王妃様

しばらくはざまぁは書きません(;´д`)




「皆さん、僕がする王への処遇に不満だとおっしゃるみたいで」


 一応今はショタは最高権力者なのよ?

 悲しい悲しいから覇王様をけしかけ・・・いかん闇落ちしそうだ。

 うん、やっぱり権力なんていらないね。


 そして皆さんが納得できる処罰を出してくれる方を召喚しようか。


「では王妃様この度の貴方の夫である王の処遇はどのようにすればいいと思います?」


 三家の貴族達に囲まれて影が薄くなっている王妃様。

 そうっ!左右を見てあたし!?と驚いているあなたですよ!


 俺に呼ばれたことで一躍注目の的になった幸薄い王妃様はその場にいることは出来ずに、押し出されるような形で俺の前に来た。

 俺はグリエダさんを伴って王妃に近づき片膝ついて最敬礼をした。

 グリエダさんもカーテシーをして挨拶をしてくれる。

 いやもう本当にできた婚約者だよ。


 王にもしなかった二人の最敬礼。

 しかも現在エルセレウム王国最高権力を有している俺が敬うというのは貴族の皆さんには影響大だ。


「頭を上げなさい」


 言われてから上げる。

 王妃様お口が引きつっていますよ~。


 そりゃ自分が立ててた計略が実は最初っから破綻しており。それをショタに心の中で笑われていて、舞台にも上がれずにすみっこでいるしかなかったのに強制スポットライト。

 ショタならグリエダさんに装備してもらって全力で逃亡してもらうシチュエーションだ。


 でも王妃様は逃げられない。

 俺がこの場の最後の王家の者として責任を取れと呼びつけたからね。


「王の処遇を私に決めろと?」

「是非とも」


 宰相と騎士団長、セイレム公爵辺りはしまったという顔をしているね。

 甘かった自分達を恨みなさい。

 俺が殺すことを選ばずに温情を愚王にかけたことを思い知るがいい。

 まあ、王殺しの汚名を愚王でも着たくなかっただけだが。


「・・・まずセイレム公爵」

「はっ」


 王妃に呼ばれた公爵は素早く駆け寄り膝をつく。

 俺とグリエダさんは公爵に場を譲って横にズレた。


「アリシア様の件にこの度の王の凶行、王家を代表して謝罪いたします」

「っ!?」


 王妃の王家からの謝罪に身体を震わせるセイレム公爵。

 王家の長たる愚王がこの場にいるのに王家からというのはおかしいのだが、それをここで使ってくる王妃様。

 つまり王妃が夫である王を見限ったことになる。


 さすがと言うべきか先王よ、貴方の目は確かだったようだぞ。

 だが息子の長年の愚行のせいで彼女は貴方の呪いから抜け出せる胆力を持ってしまったようだが。

 男の貴族達情けないぞ!


 公爵の返事は聞かない。

 家臣に謝罪することがほとんどありえないことで、謝罪された相手は受け入れるのが当然という考えなのだから。


「アレスト女辺境伯」

「はっ」


 グリエダさんが呼ばれて膝をつこうとしたので手を握って俺が阻止。

 いつも男装だからついしちゃいそうになったんだね。

 顔を赤くするグリエダさん可愛い。


「そのままで構いません」


 言われて俺の手を握ったまま王妃に対面するグリエダさん。

 策略を全てご破算にしたジョーカーが目の前にいるのはどういう気分なんだろう。


「国の防衛の要たるアレスト家を長年蔑ろにして此度の所業、王であっても首を落として謝罪すべきことでした」


 おそらく夜会が始まって一番のどよめきが起きた。

 王妃が王を処刑してもいいと思われる発言をしたのである。

 貴族だけでなく、ずっと尻拭いをさせてきた王妃の発言に愚王も口をハクハクしている。


「ですが腐っても王、アレスト家の為に王の首を差し出せば国が混乱しますのでできません。その代わりに王家から蔑ろにしてきた年月の倍の年数、辺境伯領への無償の援助をします。それで許していただけますね」

「はっ今後も我がアレスト家は国に忠誠を誓います」


 謝罪だけなら返事は無しだが、許せと聞かれたら答えないわけにはいけない。

 覇王のグリエダさんに頭を下げさせるとはやるな王妃様。

 だがショタはそう簡単に攻略できると思うなよ!


「セルフィル=ハイブルク様」

「あ、はい」


 くっ!これがロイヤルなパワァーなのか、つい頭を下げてしまったよ。


「ん?様」

「あなたは今この国で最高権力者なんでしょう?」

「あ~はいそうですね」


 ロイヤルに心のオッサンが負けて忘れかけていた。


「その権力を少し貸していただけないかしら。私の身分では足りなくて」

「王妃様っ!」


 宰相が止めようとするけど王妃様は目も向けなかった。

 その目は俺の目をジッと見つめている。

 早くその権力を寄こせと濁った眼が訴えていた。


 ねえ宰相、あなたは先王が作った愚王の楽園を維持するシステムの一部で王妃ともそれなりの付き合いはあっただろう。

 だけどその心の内は知らなかったようだね。

 ショタは少しわかるよ。だって女性が結構強くなった世界にいたことがあるから。


 男爵に嫁いだ方がマシと思える男との結婚、殆ど自分を心配してくれる人がいない中でその男の楽園を維持し続けなければならない拷問。

 ようやく愛せる子供ができても、女子で末の子で何もあげれない将来。


 狂うのは当然だよ。


「どうぞ王妃様。その代わりにあの件は忘れて下さいね」

「・・・ええいいわよ。これからすることに比べたら」


 グリエダさんがいる時点で王妃様の俺獲得は破綻したけど、一応約束しないとね。

 やばい獲物を目の前にした王妃様は覚醒して知恵の覇王様になっていらっしゃると思う。


「では教えてください王の処遇を」


 宰相落ち込んではダメだよ。あなたは騎士団長とともにこれからずっと王妃様に使われるんだから。たぶん前よりやりがいあって仕事の量は圧倒的に増えるだろうけど。


「ではまずは絞首刑で」

「セルフィル=ハイブルクはジョデリア王妃の発言を認めます」

「・・・さすがにそれは私でもダメだとわかるよ」


 グリエダさんに俺と王妃様の渾身のジョークはダメだしを貰ってしまった。

 なぜ、えーなんでーという顔なんですか王妃様。


「そうですね・・・後宮に王妃教育であてがわれた区画があるのですがそこに幽閉しましょうっ!」


 少女の様な笑顔を浮かべて手を叩く王妃様。


「そこはどういうところでしょうか?」


 ショタは気になっちゃうの。絶対にろくでもない所だと思うから。

 グリエダさんも気になる?

 女性って好きだよねこういうの。


「常に日陰でジメジメ、夜は寒く昼は蒸し暑い。清掃はされておらず柱は朽ちかけ石壁は苔むしているの。昆虫だけがお友達になれるのよ。王妃はどんな状況でも泰然としなさいと言われてその区画に一年いたわ。おかげでどんな所でもあそこよりは良いところと思えるようになったの」


 王妃様の人生の大半は昼ドラとレディコミで出来ているようだ。

 ごめんなさい最初は愚王達を幽閉した後、容赦なく政務でこき使おうと思っていたりして本当にごめんなさい。


 ギュッと俺の手を握るグリエダさん。

 顔は笑っていて目には本物の狂喜が宿っていたら怖いよね。

 大丈夫ですよ~こういう状態の人は目的を与えれば周囲に被害を出しませんから。

 あとグリエダさんにはこういう目はさせませんので。

 こう見えてもショタは幸せに老衰で一緒に死ぬのが目標です。便器死にはもう嫌なのぉ。


「いいですね!では王が反省してまともになったらそこから出れるようにしましょうか」


 だから宰相達は愚王を保護できるとか思わないの。

 もしかして学生の頃は愚王の側近でもしてた?王子と同じようなことをしていたら本当に遺伝だね。


「ではその判断は王妃にお任せします。判断方法もご自由に」

「承りましたわ」


 はい愚王は俺の考えた泥沼の地獄よりもさらに深いコールタールの地獄行きになりました。たしか熱持ち過ぎたら発火しなかったっけ?


「僕の考えた王への処遇に反対された方々これならよろしいですか」


 はい、ここで賛成した貴族はアウトだ。

 本当に男尊女卑の社会はダメだね。だからたまに女傑が出てくるんだろう則天武后やマリアテレジアとか。

 今回は自然発生ではなくショタが愚王を餌にして作り上げた。

 大丈夫!ハイブルクとアレストが存在する限りは暴君にはさせないよ。だから王妃様を下に見ていた人達は頑張って仕事をしてください。たぶん放置したら愚王と側妃は暇つぶしで酷いことになると思うので。


「まだセルフィル様にお願いできますか?」

「できることなら」


 王妃様この短時間でお肌がツヤツヤになっている。生きがいがあると人生は薔薇色になるんだな。


「ではパートナーのアレスト女辺境伯をお借りしてよろしいでしょうか。これ以上生産されると困るので・・・」


 ちらりと王妃様は愚王のある部分を見た。

 ミノムシ状態で側妃と寄り添い二人でガタガタ震えている愚王達。


「グリエダさんお願いできますか?」

「その男のを潰せるのは喜んでするが叩く得物が・・・」


 そういやGSゴールデンスマッシュは廊下の壁に突き刺さったままだったね。

 グリエダさんが得物を探してみると、武器を持っている連中は必死に隠そうとしている。これは男として愚王に同情しているのかな?それとも武具がそういうことに使われるのが嫌なの?


「しょうがない、少し待っていてくれ」


 ため息一つついた彼女は俺の横から消える。

 どこに消えたと思っていたらなんとGSが刺さっている廊下にいました。

 あー完全に縮地をマスターしてますねグリエダさん。強さが跳ね上がっただろうな。


 その白魚のような細い指をGSにかけて。


「よいしょ」


 柄の半ばまで壁に埋まっていたGSがあっさりと引き抜かれる。


「「「・・・」」」


 見えなかったGSの投擲よりも貴族の皆さんには恐怖が刻み込まれたようだ。

 俺?超スゲェよ俺の婚約者は!だね。

 ショタは基本誰かの威を借る生物なので強ければ強いほど惚れるのだよ。


 そして縮地で戻ってくるグリエダさん。

 王妃様の顔が引きつる引きつる。

 こんな覇王様の情報を知らなかったことに恐怖しているのだろう。


「本当によろしいのですか?」

「ええお願いします」


 グリエダさんが王妃様に確認する。


「お二人、今動いたら国への反逆罪にしますからね」


 宰相と騎士団長が動こうとしたので最後の分水嶺となる言葉をかけた。

 どうもこの二人は愚王を諫めるふりして反発する貴族の溜飲を下げていたような気がする。さっきから愚王だけは助けようとしていたからね。

 これ以上愚王への忠誠は俺が許さないよ。

 国の頂点に居座るゴミはもう見捨てるべきなのだ。


 パンッと音が鳴り、産まれてからずっと我が儘を通してきた男は男の機能が無くなる。

 二人は身じろいだだけで助けなかった。


「ひぐぅっ!」

「すまない慣れない得物なので当たってしまった」


 なぜかグリエダさんのGSが側妃の鼻に当たって歪ませた。

 ボタボタと血を流している側妃を冷たい目で見るグリエダさん。

 それを見て嬉しそうな王妃様。

 もう王妃様の過去が悲惨だったとわかってしまうので可哀想でたまらないです。


「だがこれで私の領地にしたことは水に流そう。お前のせいで失った領民の命の代わりにしては安いものだろう?」


 グリエダさんは貴族だった。

 俺は愚王にくっつくモノにしか認識できていなかったが、彼女は貴族として当主として領地を困窮させた側妃に報復するタイミングを狙っていたようだ。

 ちょっと自分が情けなくて反省。

 もう少し貴族の感覚を覚えよう。


 落ち込んだのがバレたのかな、グリエダさんがショタを抱きしめてくれる。

 よしっ!反省終わりっ、次からはきっちりと全部仕留めてあげようではないかっ。


「では貴族法214条の行使をこの時点で停止しますね!いやー皆さんこんな子供にいろいろと処理させないように。今度こういうことが僕の前で起きたら容赦なんてしませんからねっ」


 だいたいは終わらせたから後は大人達で処理してくれ。

 ふうっ、ようやく肩から荷を下ろせた。

 なんですその顔は?

 もっと酷い事ができるのかよって表情を皆さんしていますよ。


 はっはっはっ、あと二、三個国盗り方法はありますけど面倒臭いのでやりません。

 次からはその前にプチっと潰しますよ。


ーーーーーーーー

狂喜王妃「ウフフフフフフ」

満足ショタ「うむっ!万事解決っ!」

満足覇王様「側妃ざまぁ♪」

胃穴開き貴族達「ガクリ」


筆者にざまぁを期待しないで(;>_<;)

荒すぎですがざまぁは終了です。

王妃様はショタに同情されてオモチャをてにいれました♪\(^o^)/ 長く大切に遊んでくれると思います(;´д`)


まともそうな人は結構生き残れましたね(;・∀・)

そのぶんダメダメな人達は泥沼に沈みましたが。


次からたぶんエピローグです。

おまけ話を書いて終わりたいと思いますが・・・続編書いたほうがいいですか?(;・ω・)

まあ、山ほど回収できる話がありますから書けると思うのですが、読みたい方がいないと書く気力が・・・(;・ω・)

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