第24話ショタの最大のピンチは婚約者
ショタは降臨できませんでした。期待された方、申し訳ございませんm(__)m
「では夜会を見た上で第二王女の婚約を決めさせてもらえませんか」
召喚魔法ひとまかせで終わらせようと思っていたけど、夜会が始まる時間からそこまで時間が経っていない。
もうしばらくしないと覇王様もゴミ処理でお忙しいだろうから呼べません。
さすがに夜会の主役が抜けだすと長兄の胃に穴が開きそうなのでタイミングは計らないといけないのだけど。
正直、オバサンと二人っきりで部屋にいるのが飽きたよ。
初手でつまらなくなって、この後ずっとオバサンの強引な見合い話みたいなのを躱すだけの時間は苦行です。
前世でも会えば結婚したか聞いてくる親戚のおばさんがいたけどどこの世界にでも棲息しているんだなと少ししみじみ、大半がうぜぇと感じた。
オバ、まあ王妃様に戻そう。
あんまり脳内で呼んでいたらつい言葉に出しそうだしね。
そして王妃様は俺の提案に乗ってきた。
自分の勝利が確定していると思えば敗者のささやかな望みぐらい叶えてやる余裕ぐらいはできるからだろうけど。
情報不足で勝っていると勘違いしているのは哀れ過ぎて心のオッサンが同情しまくりで困っているんだよね。
同じブラック戦士で理不尽さが現代日本の会社マンと同じでオッサンが静かに号泣です。
夜会の会場まで、王妃様にはドアの前にいた二人のメイドが付き、なぜか俺にはマトモハリー嬢がファ〇ネルになってくれた。
そういえばこの子の処遇も考えないといけなかった。
アリシアさんなら雇ってくれないかな、ほら婚約破棄の被害者同士で仲良くなりそうなんだし。
俺のところは変態三人メイドと変態元暗殺者執事で手一杯なの。忠誠があるのはわかっているけど毎回方向性がおかしい方向に爆走する連中なのでその中に叩き込むのは可愛そうだ。
これ以上変態を製造してはいけないし。
歩いている間、王妃様はこれからの展望をお話しするけど、そういうことにはならないから全部脳にはインプットされずに耳から入って鼻から抜けていっている。
グリエダさんがいる限りこちらの勝利はゆるぎないものなので本当に困るのである。
俺の婚約者グリエダ=アレストを一言で表すなら物語の英雄だろうか。
以前にその強さの秘密を軽く測らせてもらったんだが、この世界が本当のファンタジーだと思い知らされた。
よく物語の中で鎧を剣で真っ二つに切ったりするシーンがあるだろう?
あれ無理だから、鎧はそう簡単に切れません。隙間を狙って切るか刺して倒すの基本なの。鎧がそんなスパスパ切れるなら誰も重い物なんて着こまない。
前世で当時の最先端で作られた刀をつかって車のドアを半分くらいまで切ったのを見て自信は少し無くなったが、固定されたのを上段からだったからまあ出来ないことは無いと思う。
そこまでしてもようやくなのに、グリエダさんは剣を横に振るだけで用意したフルプレートアーマーを横に切断しちゃった。
魔力で身体強化できるとしても限度がある。
たぶん国内でもトップクラスの魔力運用ができるロンブル翁が子供、いや赤ん坊に思えるぐらいグリエダさんは魔力使いとして化け物級だった。
う~ん、重機が人間になって反射速度や思考処理能力がパソコン並みになった感じかな?
普通は筋力強化にしかならない魔力がいろんな脳にも神経にも作用してるのがグリエダさんだ。
本人に聞いたら切るまでの間にもいろいろ考えているらしく、当たった瞬間にも調節して綺麗に切れるようにしているらしい。
他にもいくつか試してもらった結果、次兄に鍛えてもらっているハイブルク公爵領軍の全軍でも勝てないことが判明。
剣槍弓矢の世界では正攻法では何百何千人では相手にはならないの。だって全力戦闘を丸一日ぐらい余裕で出来るんだって。
重機が人間の判断をパソコンの速度して、ほとんど見えない速度で長時間動ける人にどうやって勝つの?
重火器で不意を突いても避けられそう。
よく愚王と王妃は二回も知る機会があったのに敵対するよな。
王妃は情報が得られなかったというのでしょうがないけど、愚王は完全にグリエダさんを知っているのに挑発する行為をするのは凄すぎる。
俺の待遇について話しかけてくる王妃様には曖昧な受け答えをした。
無駄な事には頭は使いません。
逆に残念王妃様の今後の処遇を考えているうちに夜会の会場の正面扉についた。
見張りの兵士がなぜかいなかったのでメイドが扉を開こうとする。
「王妃様、会場を見て予想外のことが起きていたら僕が指示するまで沈黙を保ってくださいね」
「はい?あなたは何を言っているの」
同情と迷惑を掛けられたのを量ってみて、王妃様には頑張ってもらおうと思う。
国を栄えさせたいと言っていたから是非とも対外的なお役目をしてもらおう。だって愚王は無能になって引きこもりになってもらうので、面倒くさいことをしてくれる人は必要だからね。
長兄やセイレム公爵に負担はかけられません。
国の責任は王家と元の人達に取ってもらおう。
眉をひそめて俺を見る残念王妃様を無視して先に会場に入れるように前に出た。
いや~愚王と傾国ならぬ自分傾き側妃を見れるとはちょっとワクワクだ。
だって裏目魔法バックファイヤー使いなんてもう二度と見れないよっ!
それに覇王様が会場でどんなことをしているのか興味ありまくりです。
最悪愚王だけは生かしておいてねとウルウル目でお願いしたから生きているとは思うけど、愚王だから予想外なことをして首の骨をポキッとされてそうだ。
俺は負けないぞ愚王っ!
グリエダさんの関心は俺のモノ、そのために目立ってやるのだっ!
「はーいっ!今注目の的になっている男の子、前ハイブルク公爵三男セルフィル=ハイブルクがやって来たよー!」
扉が開いた瞬間に少しジョ〇ョ立ち風味のポーズで自己紹介してみた。
視線は集まったけど誰も反応してくれないよ。
「・・・おや、失敗かな?」
あれ?ショタはそんなに知られてなかったのかな。
・・・そういえば俺って第一王子の婚約破棄の悪評ぐらいしかないよね。おう恥ずかしいじゃないかっ。
ところでグリエダさんは倒れた鎧やローブのオッサンに囲まれているけど殺っちゃったのかな?
グリエダさんは会場の奥の方でその綺麗な手を何故か握りしめてこちらを見て。
「オウフッ!」
瞼が閉じた一瞬でグリエダさんがいなくなったと感じた瞬間、何かに身体を持ち上げられてベアハッグされる。
お、折れるぅぅっ!そして顔はすっげぇ柔らかいのっ!
「セルフィルッ!」
視界が真っ赤だけどもしかしてグリエダさんに抱きしめられているのかな。ということは顔が幸せなのはお山に埋もれているのだろう。
「ふぬふぅ~!(死ぬるー!)」
息がっ!
腕ごと抱きしめられているから手首から先しかうごかない。
手をパタパタ動かす姿はペンギンさん
「セルフィル、セルフィル・・・」
むう?
ちょっとからかい好きだけどクールなグリエダさんが力加減を間違えて俺を抱きしめるなんて何かあったのかな?
ショタを抱きしめて落ち着くならいくらでも。
無理、どんどん背骨がヤバいことに!あと埋もれて死んじゃうの!
ああ視界が白くなって・・・て、前世で最後に見た便器の白じゃないかぁっ!
「ぶはっ!」
上を向くことで何とか気道を確保する。
プルンとした感触は頑張ったご褒美です。
今生では柔軟体操をしていてよかった。前世なら身体硬すぎですでに折られて死亡確定だったよ。
「グリエダさん、グーリーエーダーさん。そろそろ力を緩めてくれないと僕の中から折れた音がして何かがはみ出します」
「・・・」
俺の必死の訴えにグリエダさんは力を緩めてくれた。
抱きつかれた時点でサバ折られしなかったのは意識してくれたのだろうが繊細な力の調節はできなかったようだ。
ようやく下ろしてくれ、なくて脇に手を差し込まれてお山を越えて綺麗なグリエダさんの顔まで持ち上げられる。
「ん~・・・」
そのまま今度は優しく抱きしめられた。
グリエダさんの肩越しに見える会場の奥にいる小太りで豪華な恰好のオッサン!
お前があの愚王だなっ。
物理最強のグリエダさんがショタで癒されないといけない程の精神的ダメージを与えるのはお前しかいないのは、名前を三秒で忘れる脳でお見通しだそっ!
あと危うく味方の誤射で死にかけたのはなかなかの策士だな、油断せずに倒してやるからもう少しお山を堪能させてくれ!
ーーーーーーーー
鯖折られかけショタ「ふう、死にかけたあとは天国だ!」
ベアハッグ覇王様「クンクン落ち着く~」
悪魔ショタの前に癒しが入りました( ̄▽ ̄;)
書いてたら悪魔までいけなかった・・・(;´д`)
まあラブコメを入れないとね♪ヽ(*´▽)ノ♪
セルフィル最大級の危機でしたよ。
矛盾を一人でできるグリエダさんを攻撃に使うとはやるな愚王っ!まあただのイチャイチャですが(°▽°)
覇王様は人最強ではなくて素手で生物最強です(;・∀・)
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