第20話黒幕様の王妃様(ショタが関わると能力値大幅減)
悲劇の王妃様です(-_-;)
シリアス系、説明回はもう嫌だ~(;´д`)
ジョデリア=エルセレウム王妃。
愚王の嫁さん、以上。
・・・。
え~、調べた(長兄が頑張りました)のを思い出さないといけないの~。
愚王の便利な道具、真実の愛の被害者、後始末人、お飾り妃。
前王が愚王過ぎる息子の為に、力が弱い侯爵家から優秀な彼女を王妃に迎えた。
女性が男の所有物の時代だからこその傲慢な方法だ。
愚王と側妃の一族の影で、歳をとってようやく産んだ第二王女である娘を守るために王の仕事を肩代わりする女。そして印象のない王妃。
それが貴族側からと民衆側から見た、彼女という人物像である。
「お茶はいかがかしら?」
「そうですね、甘くしてもらえれば嬉しいです。まだ舌がお子様なもので」
テーブルを挟んで座ったその人は世の人物評価とはまったく正反対の女性です。
四十近い年齢だろうがグリエダさんの武力とは別の覇気を纏っていて若く見えた。
知的な顔はなかなかのお美人さん。
もし前世で相手企業の担当者として対応に出てこられたら、その美貌に眼福して手を緩め、その隙をがっつり攻め込まれそう。
長兄、セイレム公爵よ、あなた達は王妃に騙されてますよ。男尊女卑がまだまだ残っているみたいなので、次回二人には悪女と呼ばれても国の安定の為に、争う事しかしない男達を抑えてトップに立った女性達の話をしてあげよう。
男の天下話より容赦ないからドロドロだ。
さあっ!今回のいろんなところで裏で動いていた黒幕様こと王妃様よ。俺の推測の答え合わせの為にいろいろと自慢話をしてください!
そのためにグリエダさんとのダンスの機会をふいにしたんですからハリー!ハリー!マトモハリー嬢!
「さて、遠まわしに話す時間はないから単刀直入に言うわね。あなた、私の娘の婿になりなさい」
・・・がっかりです、王妃様。
なんですかその上から目線で最後に言うことを最初に言うのは。
これであなたの情報不足が確定しました。
そして動かせる配下も情報を流してくれるお友達も少ないのもわかってしまって悲しいです。
ネタバレされた映画を見させられた気分で少しあったやる気がゼロ以下になった。
なんだよう、普通は最後にバレるもんじゃないの?
これなら無視して愚王と側妃の顔を拝見した方が面白かったよ。
何をするのかわからない愚王イズムは楽しそうだと思う。グリエダさんは楽しんでいるかな、勢い余って首狩りしてなければいいけど。
「はぁ~、いくつか質問してからお返事していいですか?それともさっさと終わらせます?」
「・・・ここがどこで私が誰かちゃんと理解しているの?」
急にだらけた俺に不快になる王妃様。
覇気を出しても殺すつもりが無い現状では意味がないですよ。
「あなた何なの。最初は子供のくせに礼儀正しい子だなと思っていたら、私と対面したら目を輝かせて、すぐに興味が失せたような顔になるし」
「だって王妃様の思うような結末がやってくる可能性が無くなったので、僕に緊張感は維持できません」
「へぇ」
王妃様、美しい顔に青筋が立ってはしたないでございますよ。
「いいわ、貴方の質問に答えてあげる。そして今日の夜会が終わった時にはあなたは娘の夫だけど、私の完全な駒になってもらうわ」
「わぉ、王妃様の駒はさぞかし働きがいがあることでしょうね。まあ、そんな将来はきませんが」
よし、召喚まではこのオバサン王妃で遊ぼうか。
敵地で命の危険が無いやり取りは初めてだなぁ。
こちとらブラックな会社と味方が母一人の公爵家でタイトロープな生き方をして今のショタになった、波乱万丈な人生を送ってんのよ。
なんでも自分の思い通りになっていると勘違いした女性一人ぐらいは暇つぶしにへこませてあげよう。
「じゃあ、まずは第一王子とその側近達の婚約ですが王妃様が干渉していますよね?」
「・・・」
沈黙は肯定と受け取っておこう。あとその青筋部分をピクリと動かすの抑えた方がいいですよ。
「愚王、あ、愚王て言ってしまいましたけど王妃様は近くで見てきておわかりだからいいですよね」
許可取り許可取り。夜会の後からは無能な王で無王になるから最後の愚王チャンスなのである。無嬢といい無王といい変なあだ名をつけるな俺。マトモハリー嬢はちゃんと覚えたから何人かに一人は大丈夫っ!
「いや~、愚王と側妃の権力強化に見えますけど、王子の抑えにセイレム公爵令嬢、宰相の息子には王家派のアガタ公爵の抑えに、騎士団長のクソガキには地方貴族を引き入れ、大司教の息子は貴族との繋がりがあるようで爵位が低い男爵家、これは王妃が男爵家を可愛がっているとでも大司教にでも伝えました?」
いや~、よくやるよこの王妃。
愚王たちの力が増えるように見えてがっつり削いでるの。
まず会ってわかったけどセイレム公爵は後ろ盾だけでいるような貴族ではない。第一王子が馬鹿な事をすれば遠慮なく縁戚を使って介入してくるタイプである。
宰相は貴族派のトップだ。無能な王に付き従う王派から遠慮なく優秀な貴族を引き抜いていくだろう。
騎士団長の所は地方貴族に恩を売って言いなりにするため。何かあった時に騎士団を派遣するのはどうしようかなーと脅すだけで地方は従うことになる。
大司教はマトモハリー嬢を見る限り騙されているね。
宗教は国を維持するには必要だが、発展させるときには邪魔にしかならないからね。
あ、大商人はヘレナ側妃のところと婚約だけど、アレスト辺境伯領との交易をタダの嫌がらせのために阻害するようなアホ伯爵が商人の食いものにされるのは目に見えている。
はい、これで第一王子が王になったら傀儡にする準備はできました。アリシアさんに子供ができたら王になった王子は急な病で死んだだろうね。
「楽ですよね、愚王を少し調子に乗らせれば思い通りにいくんですから」
婚姻だけで中央集権を作ろうとしてたよこの王妃様は。
ほかにもいろんな策を施しているだろうけど愚王を上手く使っておられます。
ジッと俺を見つめる王妃様。
イヤン、ショタをずっと見ていいのは覇王様だけです。
沈黙に困ったタイミングでお茶がやってきた。
う~ん、王城勤めなのにウチの変態三人メイドよりつたないよ?ギリギリ一つ丸をあげよう。
再び二人きりになってお茶を飲む。
緑茶が欲しいなぁ。紅茶があるなら緑茶も作れるよな。
「そう簡単ではなかったのよ」
おっと緑茶に思いを馳せていたら王妃様が話し出した。
「あの王は愚かどころかまともに書類も読めないし、こちらの話も理解できないのよ。それなのに自尊心だけは誰よりも高いし、側妃も同じようなもので」
カップに視線を落とす王妃様。
「わかる?自分にどう利益がありますと言っても理解されないの。国の為と言ったらじゃあ自分達の得はどこだ?と言われて絶望させられる気持ち、わかる?」
あ、ヤバい愚痴が始まっちゃうよ。
「ええわかりますよ。でも婚約は残念でしたね」
「・・・まさかあんな小娘に全てを台無しにされるとは思わなかったわ」
ヒッ!カップからピシリと音がするのっ。
は、早く次に持っていかないと、ショタがヒステリック愚痴の渦に呑まれるのっ。
やはり俺は自己主張の激しい主人公にはなれないなぁ。
「で、その婚約破棄の現場で大きなやらかしをした公爵家の穀潰しを自分の大切な王女様に婿入りさせようとしたのはどうしてでしょうか」
中央集権は王妃様の目標だったのだろうが何の興味もない。
それより俺は自分に執着するのが気になった。
婚約破棄は彼女にとって予想外だったのだろうが、その後は俺を獲得するために動いている。
愚王が俺を捕えようとしているのを自分の娘との婚約にすり替え、愚王のせいで学園で婚約相手を探せなくなった時はさらに孤立するようにマトモハリー嬢たちを使い仕向けていた。
「あなたは自分の価値をわかっていないようね」
「?ただの前公爵の三男坊ですよ」
カップをテーブルに置いた王妃様がこちらを見てくる。
「あなたが幼少期ぐらいからハイブルク公爵家は随分変わったわ。領内で奴隷制度を排したにもかかわらず文句の一つも出ない」
「みんないい人だったんですねぇ」
「奴隷がいないのに国に納める税は年々右肩上がりに増えていっている」
「元からみんな真面目だったのでしょう」
知らんよそんなの、前公爵夫人ヘルミーナ様に奴隷制度の限界をレポートにして渡したことはあるけど、俺にはそんな実行力はありません。
「ヘルミーナもそこは教えてくれなかったのよね」
そういえばヘルミーナ様のお友達でしたよ王妃様。
でも長兄から王妃様の情報を殆ど聞かなかったということは、子供の頃の長兄は王妃様に会っていないのだろう。かなりヘルミーナ様に信用されていませんね。まあ王族だからしょうがないか。
「ハイブルク公爵家は高位貴族ではありえないほど仲がいいわ」
「みんな子供の僕が可愛いんでしょう」
尋ねる側から聞かれる方に変わっちゃったけど、まあいいか。
俺も少しは自分の立ち位置を確認した方がいいだろう。
「ハッキリ言ってハイブルク公爵家の躍進は調べれば調べるほどおかしいの。それはあなたが産まれて以降からはじまっているのよ」
そう言われてもな~。
中身のオッサンは一気に数世代発展するような技術なんて持っていませんよ?
硝石作るのにウンコに近づくなんて全力拒否です。
せいぜい地球の残酷歴史を教えるぐらい。
あ、ブラジャーは作ったな。でもあれは必要だったの、ヘルミーナ様の巨が垂れるのを許せなかった心のオッサンの意地だ。
おかげでグリエダさんも使用されているみたいなので嬉しいショタとオッサンなのである。
「あなたを手に入れれば国は繁栄できるわ」
「話が一気に飛びましたね」
世界の半分をくれてやると言われた勇者は困ったよね。たぶん内心でうわっ面倒くさいこという魔王だなと思っているよ。
「領内を不安定にさせずに発展させたその技量、本来内部で争うしかしないはずの貴族の家をまとめた統率力。私の娘と婚姻すればその力の全てを国の規模で揮うことができるのよっ。あなたが立てばハイブルク公爵家も動くわ。男として目指す頂きを目指せるの」
「スゴイデスネー」
「あなたと娘の子供が産まれたらあいつらの血筋は用済み。そしてようやくエルセレウム王国は飛躍するのっ」
懐かしいな~よく会社で狂い始めた奴にこういう妄想にひたるのがいたよ。
ん?前世のオッサンも経験済みです。人って追い込まれると楽しくなってくるときがたまにあるのよ。その後は地獄の底を掘って潜るくらいに落ち込むけど。
王妃様はそこそこ愚王達によって追い込まれている模様。
そりゃ旦那が愛人と遊び惚けてて仕事の他にその後始末もして、跡継ぎは愛人の息子だけど実権は手に入れようと画策したら、その息子は性に奔放な女に騙されて計画は頓挫。
心のオッサンがスーと涙を流して王妃様に敬礼している。
残念ながら最近はグリエダさんのおかげでショタとオッサンの感情は分離できる術を編み出しているので流されないよ。
はぁー、蓋を開けて見ればただの家庭問題に巻き込まれただけだ。
ショタは王妃様の最後の希望だったみたい。
でも残念ながらヘルミーナ様と長兄にお願いしているんだよね。
俺に何かあってもハイブルク公爵家は動かないようにと。
まあそこそこハイブルクでは大切にされているぐらいは理解しているよ。でも三男坊がいなくなるくらいで揺らぐような家にするつもりもないんです。
何のために長兄の胃を痛めるようなことをして成長させたと思っているっ!
あ、はい、大半は弟妹三人の普段の行動で胃を痛めていました。
だからご期待に沿えません。
「まあまずは、第二王女との婚約はお断りします」
過大評価されているけどハイブルク家をいい方向に向いたのを褒められるのはちょっと嬉しかった。
「ダメよ。あなたがこの部屋来た時点で婚約は決まっているの」
「・・・僕はすでにアレスト女辺境伯と婚約していますが」
狂った(現代日本の会社ではまだいけるレベル)目でこちらを見て暗い笑みを浮かべる王妃様。
「あら、おかしいわね。貴族院にはその婚約の契約書は届いていないわよ。あなたのいう愚王が側妃と一緒になにか企んでいたの、見たような気がするけど」
・・・ふーん、そっかそっかぁ。
情報不足は味方になるかもしれない俺達を簡単に敵に変えてくれるみたいだ。
でも愚王よ、お前は本当に裏目魔法バックファイヤーを持っているようだな。一応王妃もその効果範囲に入っているぞ。
「王妃様は夜会で愚王が何をおこなうか知っておられますか?」
「そうねぇ、例えばあなたが婚約していると勘違いしていたアレスト女辺境伯の婚約発表があるとか」
指を顎に当てて小首を傾げても可愛くもねえよババア王妃。
愚王どころか王家全員首刈りかなこれは。
じゃあ最後に、根本的に致命的な王妃の情報不足部分どうしてなのか知ろうか。
「では、そのアレスト女辺境伯のことをどれだけ知っておられますか王妃様」
「?先代アレスト辺境伯が自由に動けるように立てたお飾りの娘でしょう」
なにを聞いているのこの子は?という感じのババア王妃。
「愚王が近衛に入れようとして断り、派遣された騎士団百名を無傷で倒したと言う話はお聞きで?」
「はっ、男の魔力持ちでもできないことよ。実際は辺境伯軍が出てきたのでしょう。アレスト家が彼女に爵位に据えたいがために流した噂ね」
まあ女の子一人に倒されたとなれば騎士団の連中も口を噤むか。でも王妃の情報収集能力は予想より数段低いようだ。
「では僕と女辺境伯を認めない愚王に会いに直接王城に乗り込み、騎士と兵士をなぎ倒して、玉座に座る王を脅したことはお聞き及びですか?」
「何を言っているの?そんなことこの王城であるはずがないじゃない」
はい、アウート。
このババア王妃の情報収集能力が最低値というのがわかりました。
たぶん直属の情報部隊なんていないし、上がってくる資料から推測するのが上手いのかな?あとはお友達とのお話ぐらいが情報源か、部屋の前にいたメイドも普通のメイドなんだろう。
愚王よ、お前は自分の恥を隠蔽するのが上手いな。あと夫婦仲は完全に冷え切っているようで、おかげでババア王妃は大ピンチになっているよ。
グリエダさんの王城での覇王行進を知らないとか、王妃としておかしい。
隠蔽するのは聞いていたけど王妃にまで隠すなんて愚王ヤバすぎる。
きっと今までは元宰相や元騎士団長が情報を伝えていたんだろうな。どうりで第一王子の婚約破棄まではなかなかいい策略家なのに、それ以降がグダグダしているはずだよ。
せめて騎士団壊滅をちゃんと聞いていれば、でもこのババア王妃は男尊女卑が頭の中にあるみたいだから判断するのは無理だろう。
まあ俺も本人に会っていなかったら信じられなかったのだからしょうがないか。
でも愚王の裏で動いていたならアリスト家ではなくてグリエダさんを知っておこうぜ。
まあ、ありえない噂は今回の夜会で現実になるから真実を知ることになるけど。
ーーーーーーーー
セルフィル「あ~グリエダさんと一緒にいたほうが絶対面白かっただろうな~」
長兄「・・・弟がいたらさらに胃痛が酷くなりそう」
セルフィル「愚王と側妃を煽って煽って煽りたおして遊ぶのに」
暇な時間が全てこの回に消費されたの(T-T)
はい悲劇の王妃様の登場です。
前王のせいで愚王に嫁ぎ、側妃達に振り回されて、それでも頑張って生きていたのにグリエダという存在の情報不足で現在ショタが敵と認識するか悩んでいます(;´д`)
王妃マジ可哀想(-_-;)
中世に近い世界なので情報なんて諜報機関でも作らない限り噂話が大半です。
宰相が辞めた時点で王妃の情報収集は噂話ぐらいしかありません。周囲は愚王と側妃の連中ばかりで見つけた希望がショタだったんです。
なにもしなくても勝手にショタと覇王様が愚王を〆てくれたのですが、まあ必死だったらわかりませんよね(--;)
物語に入れ込むことができませんでした。
文才が欲しいなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます