第18話甘々ついでにいじめちゃう

誰か筆者に表現力を授けてください(;´д`)



 

 宴の時は位の低い者から会場に入って行くらしい。

 それが昔から続く作法らしいが、本当は下の者達が自分より上の者を覚えて無作法な事をしないための処置が本当の理由らしい。


 そんな常識すら知らない三男坊に覇王様と昭和男前が自分が自分がと争うように教えてくれる。

 お二方、ショタの脳の容量はそこまで大きくはありません。

 ぶっちゃけると興味の無いことに関しては記録されない方式になっております。


 鉱山が見つかって調子にのったある男爵が伯爵の順番に金の力で強引に割り込んで、三日後には一族全員奴隷になっていたとか聞きたくないのっ!

 その時に手配した連中は聞く必要が無い耳は潰され、爵位の順番を変えた口は舌を抜かれ、金にくらんだ目は潰された、なんて知りたくもない。


「入場の順番は招いた側が決めるんですよね」


 ふと気づいた。


「そうだね。同じ爵位でも順番を慎重に決めないと問題になるから、招くときは神経が磨り減るよ」


 グリエダさんはまだ数回しか招待側をしたことはないらしいが、自分の派閥の者でもかなり気を遣うらしい。


「王城でするときは愚王が差配しているんですか?」


 いやいや無理だろう、顔も知らない愚王だけど、まともな思考能力を持っているとは思えない。あと自国を危機に追いやるような実家を持つ側妃が傍にいたらさらに不安要素が倍に増えちゃうよ。

 セイレム公爵、アリシアさん、長兄が目を逸らす。長兄は目を瞑っているのにやるな。


「そこはな、まあ出来る人がいるのだよ。そのおかげでエルセレウム国はなんとか維持できているというのが現状でな」


 セイレム公爵が気まずそうに国の恥を教えてくれた。


「なるほどなるほど、愚王が無能だった頃はその人物と周囲が甘やかしていたと。前王はまともだと聞いていましたが子供の教育は最低で終わらせていますから王としては跡を濁したと。長兄とアリシアさんは頑張って後継者を教育してくださいね。でないと今のハイブルク領民はあっさり見限って革命じゃあぁ!と長兄達の子孫の首を槍先に刺してこの国を滅ぼしますよ」


 ウグッと言葉に詰まる長兄に、俺の言葉に少し青褪めるアリシアさん、セイレム公爵は他領のことだからまだ理解してないよね。


「セイレム公爵、あなたはまともな領地経営をしていると聞きますが、それを子々孫々まで繋げなければ意味が無いですからね。領民は我慢してくれているだけです。それを忘れた時は領民はヒャッハーして首狩り族に進化しますので」

「革命は嫌だ革命は嫌だ・・・」

「どうしたんですかっ!?バルト様っ」

「あ、それある国の革命までの経緯を結構事細かく教えてあげたら長兄の心の傷になりまして、最期が何千、何万の前でギロチンは嫌ですよねぇ」


 兄妹トラウマシリーズは結構あるのです。元祖覇王の暴君行為や、その次に統一した人の嫁のやらかしと一族の最後、将軍様を囲って脅したら族滅くらった人たちなどを、ロンブル翁と侍女長に怖く話してもらったら、兄姉三人はおもらしするほど怖かったみたい。

 それが話の内容による恐怖だったのか、女性関係で刺されて顔真っ青の名演技をしたロンブル翁や無表情で淡々と超接近で話す侍女長のせいだったのかは悩むところだ。


「アリシアさんは後継者がどれだけ大切か残酷劇場を聞いてみますか?セイレム公爵も是非」

「いや、私は忙しいのでな・・・」

「アリシアは聞くな。心が死んでしまうぞ」

「私は聞いていいのかい?」

「グリエダさんは聞きますか!そうですね~臣下の心に配慮しなかったので教会に泊まったときに数万の兵に囲まれて焼き討ちとか、正妻に子供が産まれなくて愛人に二人子供産ませて、あれ?本当にその子供は血を継いでるの?とかドロドロで楽しいですよ」


 ママン達、臣下の女性陣には大人気でした。貴腐人レアノ様と侍女長は現代昼ドラが特に好きだったけどグリエダさんも好きなのかな?


「アレスト女辺境伯様、そろそろご入場の準備を」


 誘導してくれる人がやって来た。

 おっと愚王に関わりそうなお話しを考えていたけどタイムオーバーみたいだ。

 婚約者としての役割をしなければならない。

 足が届かないソファーから勢いをつけて飛び降り、グリエダさんに手を差し出す。


「ん」


 嬉しそうな笑顔のグリエダさんはその手を取って立ち上がってくれた。


「ではセイレム公爵、長兄、アリシアさん、お先に行かせてもらいます」

「私が入場するまでは絶対に大人しくしておけよっ」

「ハハハハ、お約束ですか?なら引っ掻き回しておかないといけないですね」


 冗談を言ったのに長兄は必死な形相でやめろ頼むからやめてくれと言っていたのでした方がいいのかな?


「そういえばセイレム公爵はパートナーがいませんでしたけど」

「それは亡き妻に操を立てているからというのは聞いたことがある。だからアリシア殿とその上に男の二人しかいないらしい」


 むうやるな昭和男前。


「なんだい。君は他の女性にも手を出したいのかい?」

「?いえ、セイレム公爵みたいに僕もグリエダさん一筋でいきますよ。でも綺麗な人を鑑賞で見るぐらいは許してください」


 イケメン美女という至高の存在がいて浮気をするなんてありえないっ!人を魅了するショタだけど心は一途なの。


「あの、腕を組むと僕の魔力が底を尽くので…」

「ん~?聞こえないな~」


 手を繋いでいたのに、なぜか強制腕組みに変更される。

 グリエダさん凄い嬉しそう。なにか機嫌がよくなることを言ったっけ。

 腕の組み方を少し変えて補助してくれてるから楽だけど、殆どの負担はグリエダさんが受け持ってくれていた。

 もう少し成長しようと決意するショタであった。


 外廊下を歩きながらグリエダさんと見える庭園を評価する。

 センスのあるのが三分の一、センスが全く無いのに金だけかけて貴重な木や花を植えているのが三分の二を占めていた。

 すぐに愚王と側妃がセンスの無い部分だと気づいたよ。

 今までとは桁違いにお金が使えるようになった人が、とにかく無駄遣いして作ってみましたという感じ。

 庭師は裏で泣いたと思う。


「セルフィル=ハイブルク様はある方がお会いになるのでこちらです」

「あ?」


 夜会の会場があともう一つ曲がればそこというところに一人のメイドが立っていて、グリエダさんの機嫌を一瞬で不機嫌に変える言葉を放った。

 ヤクザみたいな声が出ていますよ、グリエダさん。


 あ~、ここで黒幕様は手を出してきたか。

 あちら側からすればいいタイミングでの俺への接触だろうけど、これで何の情報が不足しているか大体わかってしまった。

 黒幕様、あなたは一番知っておかないといけないことが抜けています。

 情報収集がちゃんとできなかったのか、その身分ゆえの傲慢さか。

 どちらにしろこの世界において最悪のジョーカーを引いてしまっている。


「もう一度言ってみろ。彼が誰の婚約者かわかって」

「グリエダさんグリエダさん」


 覇気を全開にしてメイドを潰そうとしはじめた彼女を止める。


「残念ですがグリエダさんとのダンスはお預けみたいです」

「・・・っ、だが!」


 俺に止められてお預けされたワンコのように美しい眉を八の字に歪めるグリエダさん。

 ああ、この人は本当に可愛い婚約者だ。

 俺みたいな性格の悪い子供との夜会を本気で楽しみにしてくれていたみたい。


 嬉しかったので彼女に少し前かがみの姿勢になってなってもらって、その肩を抱きしめる。


「ダンスは楽しみでしたけどあの愚王ですから、できなかった可能性が高いです」

「ん」


 グリエダさんも俺の背中に腕を回してくれた。

 その真っ白な首とフワリと浮いた銀髪が戻り、ドレスと一緒に贈った香水の香りが鼻腔を刺激する。


「今度公爵邸で婚約パーティーを開きましょう。俺達を祝ってくれる人達だけ呼んで、その前で踊るんです。初ダンスは祝いの場でですよ」

「ふふっ、そうだね。愚王には私達のダンスはもったいないか」


 落ち着いたかな~。

 抱きつかれるのとお山の下で抱きついたのはあるけど、グリエダさんの肩ごと抱きしめたのは初めてだ。

 思っていたよりも彼女の身体は細い。

 ショタを簡単に持ち上げるから肩とかがっしりしていると思い込んでいた。

 ほとんど護ってもらう立場だけどその肩に綺麗に腕を回せるくらいには成長したいものだ。ほらその美しい背中をサワサワしたいの。


「俺は黒幕様のとこに行ってきます。愚王なら夜会に参加させると思うので、この誘いは黒幕様でしょうから身の安全は大丈夫でしょう」

「私は君と一緒にいたいよ」

「ん~、それはとても魅力的なお誘いですが掃除をしないといつまでも落ち着きませんからね。愚王と黒幕様をさっさと整理しましょう。ね?」

「・・・わかった」


 少し迷ったみたいだけどグリエダさんは頷いてくれた。

 屈んでいる体を持ち上げて俺から離れていく。


「んうっ!?」

「んぅ」


 その身体は離れているのに、俺の顎が指でクイッと持ち上げられて銀で彩られた美しい顔が近づいてきて紅の唇が口づけしてきた。

 軽くではなく中の方まで侵入されてきたので、つい反射的に俺からもお返しする。

 時間は短いが濃厚なものを交わしてしまった。


「・・・はぁ、セルフィルは凄いね。もしかして誰かと」

「痛い痛いです。生まれて婚約者も相手もいなかった僕ですよ、そんなことしてませんって!それよりグリエダさんのほうが積極的過ぎて驚きですよ」


 転生前はノーカンで。

 キスして少しエッチな表情だったのを瞬間で鬼に変化させて肩をギリギリと掴まないで。


「これから寂しくて不快になるんだから少しくらい前払いでご褒美があってもいいだろう」

「・・・愚王の首はいりませんからね」


 目を逸らさないでーっ!?


 もう一度いつものお山の下で抱きしめあってようやく離れる二人だ。


「そちらで何かあったら私の名を叫んで呼んでくれ。城の中ならすぐに駆け付けるから」

「グリエダさんの耳はなにで出来ているんですか?」


 本当に聞こえてそうでちょっと怖い。

 気になるからグリエダさん召喚を試してみよう。成功したら黒幕様を驚かせることができそうだ。


「おい」


 グリエダさんがポカンとした顔でこちらを見ていたメイドに声を掛ける。そこには覇気は無く冷たさがあった。


「彼に危害を加えたらアレスト家の全てが敵に回るとお前のご主人様に伝えておけ。マモト男爵家次女ホリー」

「・・・っ、はい」


 あ、どこかで見たことあるなと思っていたら劇場三人娘の一番家格が下だった子だ。

 覚えているなんて凄いなグリエダさん。だって無嬢と劣化グリエダさんのベラ嬢の後ろに隠れてて、ショタはほとんど顔を覚えられなかったのに。

 あと雰囲気が別人過ぎる。

 おどおどしていたのに今は背筋を伸ばして、ウチの変態三人メイドよりメイドらしい。

 まあ女辺境伯状態のグリエダさんの冷たい圧力にカタカタ震えているけど。


「よし誘導係、私だけ会場に連れていってくれ」


 誘導係の人いたんだね。

 イチャコラを見せたのと怖い思いさせたのはごめんね。貴族社会ではよくあることだろうし業務の範囲内だから頑張ってくれ!


 もう一度屈んで抱きしめられる。

 俺は罪なショタだな~。


「本当は僕じゃなくて俺なんだね」

「へやっ!?」


 俺を驚かせてからグリエダさんは離れる。

 ニヤリと笑いながら誘導係の後をついて夜会の会場に行く彼女に呆気にとられてしまう。

 ムムム、俺と言っていたのか。

 なにか本音が漏れたようで少し恥ずかしいではないか。僕僕僕、よしショタには僕呼びなのだよ。


「さあ、こちらも行きましょうか」


 マ、マ、まとも?

 マトモ男爵令嬢ハリーだな!珍しく一発で出てきたぞ、あれだなあだ名をつけられないくらい印象がなかったのがよかったみたいだ。

 いまだにベラ嬢を劣化グリエダさんと脳内で呼んでしまう情けない脳だけど少し成長したみたい。あとは身長よ伸びてくれぇ。


「・・・はい、こちらです」


 グリエダさんから解放されたマトモハリー嬢はメイドの仕事に復帰した。

 俺を連れて廊下を歩いていく。

 沈黙は平気だけど、さっきまで楽しかったので寂しいの。

 なのでマトモハリー嬢で暇つぶしをしようと思う。

 グリエダさんと離されたストレスを解消しようと思ったわけじゃないからねっ。ふんっ!


「ところで君は教会派のままなのかな、それとも今のご主人様に完全に鞍替えしたのかな」

「・・・おっしゃる意味がわかりません」


 はい一瞬、肩が震えたよ。

 まあ今俺を呼びに来ている時点で黒幕様に縋ったのだろうけど。


「ん~、ベラ嬢はさすがに覚えているよね?元婚約者の件で一時お友達になっていたんだから。彼女とはウチの次兄の婚約者候補として沢山お話ししたんだよね」


 反応をしてくれないのは寂しいな。


「例えば僕の婚約破棄の現場での行動を誰から聞いたのかや、あの日劇場に行くのを誘導して俺達が見に来ているのを他の二人に教えたのは誰かなのかとかね。いや~、次兄は興味のあるもの以外の記憶が頼りないからベラ嬢の記憶力は支えになってくれそうです」


 彼女に追いついて横から顔を覗く。


「ねえ、誰だと思いますか?」


 沈黙を保って歩き続けるのは凄いな。

 俺の中ではマトモハリー嬢が俺の噂を流した一人だと思っている。

 ベラ嬢は根が真っすぐで嘘を吐くタイプではない。

 公爵令嬢の無嬢は傲慢さがありありと出ていてすぐにわかる。


「迎えにあなたを寄こした時点で誰かはわかっているんですけど」


 彼女の前に出て進路を塞いだ。


「僕は自分の噂はどうでもいいんですが、あなたの家は三家に特にセイレム家から恨まれますから頑張ってくださいね」


 ハイブルク家もアレスト家も俺がほっといてくれと言えば少し嫌がらせをするだけだろう。だがセイレム家は別だ。

 アリシアさんを救った恩人の俺が愚か者にされているのを許すはずがない。

 学園で噂を流した大元の子供達はそのうちセイレム家によって見つかるはずだ。

 う~ん黒幕様よ、未来ある子供たちをつぶすことになるあなたが賢いのか間抜けなのかショタにはわかりかねます。


「・・・私が噂を流したのはお二人だけです」


 小さい声だがようやく応えてくれる。


「それをあの公爵令嬢が流したんですね。愚かだなぁ、一番婚約破棄のことを知れる地位にいて確認を怠るなんて」


 すごいよ無嬢、でもちゃんと自分が噂を流したとはバレないようにしていたんだね。


「どうすればよかったと思いますか・・・」

「ん?」

「婚約者を教会の象徴の聖女に取られ、他の二人のように諫めることも出来ない爵位の娘です。婚約破棄のあとは教会に家ごと見捨てられました。使い捨てにされるとわかっていても家の為にあのお方の手を取るしか方法がなかった私はどうすれば・・・グスッ」


 涙を浮かばせてポロポロと落とし始めるマトモハリー嬢。

 うん、いじめ過ぎちゃった。


 見捨てようと思っていたけど目の前で女の子に泣かれると精神の狭間でオッサンがあたふたします。

 無嬢なら容赦無くガンバレーと言うけど、マトモハリー嬢はどうしようもなかったみたいだもんな。

 国と教会とのつながり強化の為に婚約を結び、教会派の貴族なのにそのトップがぐちゃぐちゃに引っ掻き回してポイっと捨てられたら藁にも縋るよね。


 う~んう~ん、婚約破棄の噂はどうせ他の連中が広めたから別にいいし、二人にしか話していないって言ってるしな~。

 それにこの子が劇場に三人で来てくれなかったら、今日を情報不足で迎えた可能性が大きいの。

 その場合は・・・グリエダさん首を刈っちゃうなぁ。

 あと黒幕様のことも知らないので後々が面倒になったかもしれない。


 よしっ!

 胸元のハンカチはグリエダさんに合わせたから使えないので、予備のハンカチをポケットから取り出してマトモハリー嬢に差し出す。

 ハンカチを見て泣きながらもキョトンとした顔をするマトモハリー嬢。


「ごめんね、これでも婚約者がいる身なので慰めるために抱きしめるとかはできないんです」


 差し出されたハンカチを受け取った彼女の頭をナデナデしてあげる。今はこれくらいが限界なの。


「君は出来る範囲で頑張ったんだよね」


 こんな子供が頑張っているのにまったく親は何をやってんだっ。

 あとでセイレム公爵にお願いしないといけないよ。確実性がなかったから劇場三人娘のことはアリシアさんにも教えてないのがセーフだった。まだマトモハリー嬢の家があるってことは長兄からも話してはいなかったようだし。

 まあ縁戚になるとしても情報を簡単に流すわけはないか。


 はいはい、ハンカチは使っていいから声は出さないように。人気が無い廊下でよかったよ。見られていたら俺はグリエダさんに何されるかわかんないね。


「僕に助けてもらいたい?」


 俺の言葉に泣きながらもコクンと頷くマトモハリー嬢。

 十代の女の子はもう限界だったよな、よしよし助けてあげるよ~。

 こちとら天下のハイブルク公爵家前公爵の三男坊です!自分に力はないけど権力カードは持っているのよ。今は強力過ぎるカード三枚もあるから大丈夫。


 で、マトモハリー嬢は内政とか事務関係強くない?ハイブルク公爵領は数字に強い貴族どれいを求めているの。


 泣き止んで落ち着くまで待ってから再出発する。

 口約束だからまだ不安だろうけどマトモハリー嬢はこちらからの声掛けに応えてくれるようになってくれた。

 まだ黒幕様に雇われている身だから元婚約者の大司教長男の愚痴とか聞いてみた。

 まあ出ること出ること、マジであの性女は手を出していたのかぁ。

 聖女って清らかな乙女しかなれないって聞いたけど、魔法は関係ないのね。回復魔法は神から授かったんじゃないんですか教会?

 あとで長兄とセイレム公爵にお話ししておこう。教会への寄付金が減らせると喜ぶよね。


 角を曲がったらメイドさんが二人待機している扉があった。

 どう考えても黒幕さんの部屋だよね。


「本当にお話ししなくてよいのですか?」

「いいよいいよ、直接聞くから。お楽しみは残しておかないと」


 マトモハリー嬢が心配してくれるみたいだけど、派閥を乗り換える相手がいなくなるかもしれないからじゃないよね、ね?


 扉に近づくとメイドが中にお伺いを立てているようだ。

 途中でマトモハリー嬢は足を止める。

 これからは一人で行けということらしい。

 横を通り過ぎるときにどうかご無事で、と小さな声が聞こえた。

 反応したら彼女に害が及ぶ可能性があるので無視する。


 扉の前に着くとメイドが何も言わずに開けてくれる。

 素直に部屋に入った。


「ようこそハイブルクの三男さん」


 窓際に置かれた歴史のありそうな机に座る女性が声を掛けてきた。

 失礼の無いようにその場に片膝をついて立ち、頭を下げる。


「ハイブルク前公爵の三男セルフィル=ハイブルク。ジョデリア王妃のお招きに参上しました」


 頭を下げているから見えないけどニヤリと笑っているんだろうなぁ。



ーーーーーーーー

セルフィル「濃厚キスゲットだぜっ!」

グリエダ「フフフ、幸せだね」

セルフィル「あと女の子も拾っちゃった」

覇王様「なぬ?」


無駄に長くなりもうした(;´д`)

半分くらいの文字数だったんだけどなー。

あ、劇場三人娘のうち二人がショタにゲットされました。

マトモハリー嬢がいなかったら夜会で愚王と側妃とその他の首が並ぶことになっていました(;・ω・)


マトモハリー嬢が劇場に三人で行ったのは、無意識に疲れて終わりたかったのと黒幕様から婚約破棄のセルフィルを教えてもらって知っていたので助けを求めたんですね。

すがりたい人を陥れないといけない無力な少女はギリギリ助かりました(*´ω`*)

名前は間違えて記憶されましたが( ̄▽ ̄;)

すでに筆者の中ではマトモハリー嬢、元の名前は削除されました。


さあ黒幕様は王妃様でした!

たぶん矛盾点はないと思うのですが、う~んこれから説明回か・・・(;・ω・)

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