第41話 新たな人材

『ハジメ様、このグラフ?でしたっけ?この内容はどうゆう事なのですか?』

『ここはね、この数字が高くなると…。』


リバーシ大会優勝者のライラをスカウトしてミルズに来てもらった。

やはり頭の回転が良く、教えた事をすごい勢いで吸収していく。


しばらくは自分につけて、ゆくゆくはシアの右腕として活躍してほしい人材だ。

そして連れて帰ってきたのはライラだけでは無かった。


リバーシ大会後に一言話せる時間を侯爵にもらい、自領に騎士団を作ることを発表し勧誘を行った。もちろん事前に侯爵、ルーカスにも了承は取ってある。


名前は仮だが、ミルズ騎士団とし旗は盾にリバーシの紋様をイメージした。なお紋様は侯爵からアイデアを貰った。どうやらすっかりハジメ=リバーシ卿が浸透しているようだった。募集定員はとりあえず30名としたが、この20倍近くの500名以上が応募してきて、30名の本採用と見習い騎士として100名を追加採用とした。


ミルズ騎士団を設立するにあたって、団員に求めた物は一つ。

『守るべきは自分(男爵)では無く、民である事・判断に迷った時は民を優先する事』だ。


つまり騎士団は旗にもあるように、民の盾であり守護者であって欲しいと言う事。これを厳守出来るかどうかにかかっている。

幸いほとんどがこの考えに理解をしてくれだが、一部の貴族の三男や四男らは難色を示し採用後に退団する事になった。


まずは騎士団の宿舎を急ピッチで完成させ

(実はリバーシ大会の前にハジメが先行して建設の指示はしていた)

事務作業は団の館が出来るまでは自警団の事務所を間借りさせる事にした。自警団を今後は日本の警察の様な治安維持にして、対外的な活動は騎士団に任せようと考えていた。


団長は侯爵より推薦があった、侯爵派の子爵の三男でハジメの考えに共感してくれて是非働きたいと言ってくれたので面談後そのまま就任をお願いした。

貴族と言えどもなかなか三男や四男には成人後の就職先が厳しい世界で、より大きな貴族の家令をしたり役所に勤めたり、腕に覚えがあれば騎士団に入ったりと、一般人と差がない生活が待っているのである。


ミルズ騎士団は団長1名、副団長1名とし

第一から第三の各隊を40名(騎士10見習い30名)でスタートした。

見習いが多いのでとりあえず各隊ごとに宿舎を建て(騎士は個室・見習いは2人部屋)

基本は食事も3食宿舎内で取れる様にした。同じ釜の飯では無いが連帯感が生まれてくれると良いな思った。


設立から2ヶ月で騎士としての心構えや1日のスケジュール、基本的な剣・槍術、集団での戦術を勉強してもらい、なんとか多少の形にはなって来た。



3ヶ月目になるかという所で、侯爵より手紙でミルズ騎士団に遠征の依頼が来た。

侯爵の騎士団と合同で東部のステップ地帯の部族の応援に行って欲しいとの事だった。


手紙にはステップ地帯の友好部族のタリール族が度重なるモンスターの襲撃に頭を抱えているとの事だった。

基本的に東部は民族間が共闘する事は無く、他所が弱体化すればその隙に乗っ取り支配下におくのが常の弱肉強食だった。


タリール族は部族間の争いに発展する事をは好まず、ジョシュワ商会を通じて交易のある侯爵にSOSを出して来たのだ。

また侯爵派もタリール族が良質の馬の生産をしているのでこれは見逃せない案件になってのである。

侯爵領の騎士団「南陽騎士団」から騎士10名と軽歩兵40名、ミルズ騎士団からは団長のレオナルドと、主力の第一隊である騎士10名と見習い騎士30名を派遣

兵站(主に補給を担う部隊)はジョシュワ商会が

メインで行うものになった。

団長のレオナルドは以前に南陽騎士団の部隊長も務めた男で勝手が色々と分かり、今回の様な合同遠征に互いのパイプ役にはピッタリと思われた。

遠征に向かうにあたり、ハジメは40名にミルズ騎士団の象徴である盾の紋章入りのマントとハジメの白銀の鎧をイメージした、胸部は立派な銀の合板のハーフプレートアーマを支給し訓示をした。

『我々は田舎者で出来て間もない寄せ集めではある。南陽騎士に実力は劣るのは当然だが気持ちは負けてほしくは無いのでな。この鎧とマントで誇りを持って遠征を務めて欲しい、頼んだぞ。』



騎士団の初仕事として、アウレリアに向かう際には住民が総出で見送りをした。団長のレオナルドが見送りに来てくれてた街の人に頭を下げて、『行って参りますと』挨拶をして街を後にした。

騎士団とはアウレリアで合流予定だが、ハジメも侯爵に呼ばれていたのでアウレリアまで同行する事になった。







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