第40話 第一回アウレリアリバーシ大会
プライベートが出張もあり、更新が出来ずすみませんでした。 では
応募が8000名を超えてしまったので慌てて受付を止め、この8000名を事前の予選5日間で篩にかけ200人まで絞った。
この200人はハジメの案で次回の第二回大会の参加時にシード選手としての予選免除の優遇措置を取った。
これによりこの200名にも優秀選手として名誉が与えられ、このシステムは次回大会以降も引き継がれる事になる。(次回は200名と予選を勝ち抜いた200名で入れ替え戦を行い、本戦進出200名を決める。)
本戦はまずは200名を赤組と白組100名の半分に分け、それぞれトーナメント戦をやってもらう。
100人の一回戦だけでも約1日かかるが、さまざまな屋台も用意してお祭り感覚で盛り上げる事で屋台を出す人にも利益が出るようにした。
人気が出てた店には来年から優先的に出店してもらう約束を取り付けた。
3回戦までやって13名にまで絞る(1人はくじ引きでシード枠)。ここまでで3日かかった。
3回戦まで来るとかなり人数も絞れたので、観客に各選手の人気投票をしてもらいオッズを決めて低価格でトトカルチョ(賭け)もやってみた。
観客がリバーシの強者の試合を楽しめるように対決している横に大きなリバーシの盤の模型を作って分かりやすくした事でより盛り上がりが出来た。
5回戦が準決勝となり会場は街で一番広い公園に特設会場を設けて侯爵も観戦することになった。
一段高くなった来賓席で騎士に護衛されながらの観戦となったが侯爵がハジメに話しかける。
『うむうむ。大盛況のようだな。民がここまで娯楽に飢えていたとは領主としては反省すべき所だな。それにしても良い発明をしてくれた、改めて礼を言うぞナカムラ男爵。』
『はっ。勿体なきお言葉。民が楽しんで生活を送れるようにするのもまた領主の務めでもあります。民あっての貴族。その一助が出来き嬉しく思います。』
『うむ。男爵の言う通りだ。家臣の中には、庶民などどうでも良いという風潮が未だに多い。全く嘆かわしい事だ。卿はその若さで見識も素晴らしい。是非これからも儂を助けて欲しい。』
『非才の身ではありますが。何なりとお申し付け下さい。』
『本当に頼りにしておるぞ。そして婚約とはめでたいな。後で我が家からも祝いの品を贈らせてもらう。』
『ありがとうございます、閣下にめでたいと言って頂き大変嬉しく思います。父上にもしっかりとお伝えします。』ハジメとケリーが並んで閣下に謝意を伝える。
アウレリアに向かうのにケリーを連れてきたのは侯爵への報告を2人で出来れば良いなと思っても有った。とりあえず無事に報告が済ませられ認めてもらえて良かった。
そしていよいよ最終日の決勝は朝から観覧席を取ろうと試合開始の4時間前、朝5時から大勢の人が並んでいた。
優勝したのは、なんとアウレリアから少し離れた村に住む14歳の女性(この世界では女性は14で成人とみなされる。男性は13歳)だった。
ショートボブの髪型で頭の回転が早そうな女性である。準優勝は18歳の男性でこちらもまたアウレリアから離れた町に住んでいる男で賢そうな顔つきだった。
(これはもしかしたら人材発掘の場としても良いかもな。閣下にお伝えしておくか。)
『閣下、少し宜しいでしょうか?』
『どうした?これから表彰式をやるから下に降りながら話を聞こうか。』
『ええ、ありがとうございます。ではこちらに。話というのは…。』
『ふむ。なるほどの。たしかにリバーシは頭を使って戦略を立てねばならん。発想や考え方が一般人とは違うかもしれないな。あの準優勝の男はたしかに賢そうな目をしておる。儂の元で働かせてみるのも良いかもな。』
なぜ準優勝の彼の方だったのか分からず、ハジメは侯爵に質問をした。
『優勝した彼女ではなくですか?』
『おそらく儂の屋敷で働くには若すぎるのと女性と言うだけで嫌がらせもあるだろう。儂は能力が有れば男だろうと女だろうと気にはせんがの。ただでさえ前にも言ったが庶民を見下す風潮がある。あの子の事を考えると君の所で働かせてみるのが良いのではないか?』
(この人は本当に凄いな。男尊女卑や身分社会が当たり前のこの世界で、ここまでフラットに考えられるとは。さすがは侯爵家当社で現国王の信任も厚いんだな。)
『さすがは閣下。その者が仕事をしやすいかどうかまで考えておられるとは。大変勉強になりました。では表彰式の後に彼女に声を掛けてみます。』
表彰式も無事終わり、侯爵の言葉でリバーシ大会は閉幕した。
閉幕にあたって侯爵が次回の開催を一年後としたので会場は大歓声に湧いた。
この大盛り上がりだったリバーシ大会の後にハジメは街の人々から「リバーシ卿』という愛称で呼ばれるようになる。
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