第5話 オジさんやっと人間に会うけど、なんだか危ない取り込み中でした。
『は、話が違うではないか!だから下賤な平民は…!』馬車の上で身なりの良さそうな男が叫んでいる
『ハイマン殿!今は相手を煽るものでは無い!』右肩を押さえてもう1人の女性が男を宥めている。右手には大振りな剣を持っているがその右肩は真っ赤に染まっていた。
ハイマンと呼ばれた男に相対してるのはどこか卑下た顔をしている粗暴な男たち数人だ。
「へへ、下賤な者で悪かったな?けどな、その下賤な平民がいるから貴様たちお貴族様は何もしないで偉そうに生きてるんだろうが!!おい、お前ら一気にやっちまえ。そこの女騎士にはあまり傷を付けるなよ?後で高く売れそうだ。」
男たちはリーダーの声に合わせて、ハイマンを囲い込み同時に手にしていた武器で襲った。
多勢に無勢、ハイマンと呼ばれていた男はその肥えた身体を串刺しにされ呆気ない最期を迎えた。
『くっ。せめて肩のケガが無ければ。こんな奴らに。』女は恨めしそうに肩を抑え膝をついている。
「おいおい、ケリーさん。いくらアンタでもケガしなきゃ、5人相手になんとかなると思ったのか?」
「女騎士様はお強いですからねー。ギャハハだから後ろから肩を狙ったのさ。」
ケリーと呼ばれた女に男達がにじり寄ったその時。遠くからひどく緊張感の無い男の声がした。
『おーーい、誰かいますかー?いたら返事して下さーーい。』
男達は一気に緊張した。リーダーが小声で仲間に声がする方に偵察に行く様に合図する。
ケリーは助けが来たに感謝して、痛む肩を抑え大声で叫ぶ。『助けてくれ!奇襲に会いケガをしている!!」
肇サイド
声がした方に駆け足で向かい大声を出す。
そうしたら女性の声で助けを呼ぶ声が返される。
え?女性襲われてる?
襲われてるって助けに行かなきゃならんけど、助けられるか?
肇は初めての事で動転しながらも助けたい一心で返事をする。
『今向かいます!安全な体勢で待ってて下さーい!』
言ってから気づいたが襲われてるのに安全な体勢もあったもんじゃ無い。とにかく急がねば。
「余計な事すんじゃねぇよ!」
イラついたのか、男は女性の腹をおもっきり蹴り上げた。
さきほど仲間に傷をつけるなと言ったばかりなのだが焦ってやってしまったのだろう。
女は苦しくなり震えている。
男の1人がリーダーに声をかける
「アニキどうする?」
「あん?声がした男はどうせ、村の男かなんかだろう?大きな声で返事するヤツなんて冒険者や騎士じゃねぇよ。1人も2人も殺すのに変わらねぇ。」
そんなやり取りの数十秒後にマント姿の若い細身の男が息を切らして駆け込んできた。
「はぁはぁ、はぁ。だ、大丈夫ですか?」
見ると女性はアニメで見る様なナイトのコスプレをして寝転んで震えている。乱暴されたのだろう。肩を見ると真っ赤になっていた。
反対に男が4人その女性を取り囲む様に立っている手には赤い液体がついた武器を持っているし某世紀末漫画のチンピラみたいな肩に棘がついた鎧のコスプレをしている。
一瞬、肇は何かの撮影現場に入って来てしまったのかと思ったが、ココは異世界。
すぐに考えを切り替えて男達に声をかける。
『お前達、寄ってたかって1人の女性に乱暴するなんて恥ずかしく無いのかよ!』格好良い事は言ったがその実、声は震えていた。
「おうおう、マントのお兄ちゃん立派だが声も足も震えてるぞ?どうせ近くの村のヤローだろ?殺される為にわざわざ来やがって。お前ら、コイツもやっちまえ!」
(くっ、やるしかないか?アイツの言う通り膝がガクブルじゃないか。情けない。けどやるしか無いんだよな。ええぃ覚悟を決めろ。)
肇はマントから剣を取り出し、上段に構え深呼吸をした。
すると不思議を落ち着きを取り戻した。落ち着いて見ると自分より相手は体格は良いが背は低くてリーチも短そうだ。
その男達の中で重そうな斧を持った髭面がノシノシ向かってきた。動きはふざけてるのか?と思うくらい遅い。
斧を振りかぶってきてきたので、サイドステップで避けて目一杯の力で上から剣を振り下ろして叩きつけた。
髭面の男は一瞬何が起こったのか分からなかった。目の前の若い優男が視界から急に消えて、頭に激しい痛みを感じて意識が途切れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます