第3話 2つの月②
平原に吹く風は穏やかで温かい。夜空には綺麗な2つの月。ここが、この世界がムンドゥスか…。
どこか故郷の初夏の北海道をイメージさせる雄大さだ。
「さて、餞別を確認してみるか。袋に入れてあるとは言ってたが袋はこの腰のヤツか。」
ベルトループにカラビナの様なものでついているがせいぜい袋は手のひらに乗るサイズ。
小銭でも入ってくれていれば良いが。
ヒモで口を締める簡単な巾着袋だが、開けると中は真っ暗で奥行きがありそうだ。
「ん?見た目より中は広い…。どうなってる?」所謂ストレージなのだが、肇にはすぐ理解が出来なかった。
手を入れてみると、頭に表と絵がイメージされる。これもまた驚きだった。
「あぁ、なるほど…。こうゆう事なのね。」
コレは便利だな。落ち着いたら何がどのくらい入るのか検証だな。
さて、入っていたものは…。
数種類のコインと刃渡り5〜60センチの鞘に入った剣と厚手の肌触りの良いマント、普段着やスニーカー・ブーツ、そして趣味のキャンプ道具一式とだ。
鞘とマントの背中には鷲のような鳥が翼を広げた紋章がある。見ようによっては某怪人組織のあのマークに見えなくもない。
餞別と言うくらいだからコインは恐らく使える物だろう。金銀銅と三色で約30枚ほど。
剣なんて実物を見るのは初めてだし、持った感じは思ったいより重たいものなんだな。
高校の授業で竹刀を握ったくらいだもんな。
マントは厚手なのに軽くて、暑苦しくない。何か特別な素材なのかな?
キャンプ道具のテントは2人用なので広くはないが野宿はしなくて済みそうだ。
バーナーもあるから火の心配はないし。
どうせ1人だから寝込みを襲われたらどのみちアウトだろう。
ランタンに火をつけて灯りを取り三脚に引っ掛ける。
設営しているとなんだか誰もいないキャンプ場に来てる気分だ。ココが異世界なんだという実感は頭の上の2つの月以外は無い。
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