4に愛された男

aaa168(スリーエー)

第4話


朝。

目覚まし時計よりも早く起き、寝ぼけまなこで時刻を確認。



「……はい、終わった」



4:44。スマホにはそんな最悪の数字が揃っている。

不吉な数字、それもゾロ目。これが7:77ならどれだけ良かったか(バグ)。


イタリアは17。アフガニスタンは39。

世の中、不幸アンラッキーな数字として選ばれたものはそれぞれ違う。


日本では4、『』を思わせるこの数字は、思えば結構とばっちりで、可哀そうな奴なのかもしれない。


でもそんなの関係ない。

俺は、この数字が大嫌いだ。


会社に行くだけで辛いってのに、追い打ちかけんのやめてくれ――



「は?」



その液晶画面、右上。

見ればバッテリーが44%だった。


更に下、新着メールの未読444件。

メッセージアプリの未読44件――怖くなって、俺は携帯を閉じる。



「……勘弁してくれ」



朝食、食パン残り枚数4枚。卵も残り4個。

冷凍庫のベーコンの賞味期限も4/4。


最早もはやこの家呪われてるんじゃないと思う。

……外に出れば、きっとコレも解除されるはずだ。





「…………」



が。


電柱、止まっていた鳩は4羽。

ミュージックプレイヤー、音量44。

電車の乗客44人(わざわざ数えた)。


気にすればするほど、俺の周りは4だらけ。

不幸にも程がある。

俺、死ぬの?



――ピコン!



四音しおん『4444444444』

四音しおん『あああごめんなさい先輩誤送信しちゃいました!』




「……」



メッセージアプリ、後輩から届いたそれを見て、一瞬で閉じる。



「……もうやだ……」



最早、これは呪いの域。

そういえば今日の日付は5/14。

4月は30日で終わるから、つまり……今日は実質4/44。


……駄目だ。

俺の命日は、今日らしい。

もうヤケである。

会社休んで、最期はパーっとやろうじゃないか。



「ああそうだ。どうせ、何しても4が出るのなら――」






アレからしばらく経った。もちろん4年である。もっと言えば4年と4か月。


あの日……開催されていた宝くじにひたすら応募した。


全部『4』指定で。長いものじゃ『4444444』……とにかく全部の桁を4にしてやった。


そして当たった。

当時の俺の銀行口座残高は、444,444,444円となった。馬鹿かな?



「ぅ……先輩早起きですねー。まだ五時前っすよ……」

「いい加減その呼び方止めろって、名前で呼べ名前で」


「だってこれで慣れてますもん」



そして、俺は結婚した。

子供も生まれた、三人。どんだけ生ませてんだよって? 俺もそう思う。

しかし嫁は超元気。良かった。

あの日、死ぬと思っていた自分が馬鹿らしい。



「ね、先輩♪」

「何だ?」


「また――できちゃいました」

「! そっか、嬉しいよ」


「先輩頑張り過ぎです」

「お前が可愛いからな」

「やだもー♪」



嫁のお腹を撫でながら思う。

生きてて良かったよ。



「これで、4人目か」

「はーい♪」



……イタリアは17。アフガニスタンは39。

世の中、不幸アンラッキーな数字として選ばれたものはそれぞれ違う。


日本では4、『』を思わせるコレは、変わらず嫌われているだろうが。



「全く――世の中を疑うね」



でもそんなの関係ない。

俺は、この数字が大好きだ。


……ちょっとだけ、愛され過ぎて怖いけど!




――4に愛された男・END――

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