「くれぐれも失礼のないようにお願い致します」

「まぁ、大丈夫っすよ。そんな怖くないっすから。たぶん」

さっきまで居た人とは変わり、英国紳士風の男と金髪のチャラい男の人が来た。

今度はこの人達が案内してくれるらしい。


「到着したっす」

「ここに神様がいらっしゃいます。それでは行きましょう」

島の真ん中辺りの山の上の方にある神社に到着した。

沖縄でよく見る様な感じではなく、都会的な雰囲気の神社だった。

「海様、挨拶に参りました」

襖を開け、英国紳士風の男がそう言った。

「おう、来たか」

襖を開けた先には安倍晴明が来る様な青と白の着物のようなものを着た男の子が胡座を描いて琉球畳の真ん中に座っていた。

「あれが神様?うちのも大概だけど、まさか子供とは思わなかったなー」

茜は目の前に神様が居るのにも関わらず緊張感のない声でそう呟いた。

「茜さん」

茜を嗜める声が前に居る英国紳士風の男、九十九から聞こえた。

「見た目は子供ですが、必ずしも見た目通りとは限らないものです」

九十九はそう続けた。

「そうなんですね。すみません。つい、可愛いくて」

そう言って茜は顔を綻ばせた。子供が好きな人がするあの優しい笑顔を神様に向けた。

「すごいな。お前」

金髪の男は感心したような呆れた様な目で茜を見た。

「フンッ、面白い女だな。まあ、お前にとって神は当たり前の存在なのだな。生まれた時から側に居たのだろう」

神様は本当に面白ろそうに笑い、そう言った。

「?うん。そうだけど、何で分かるの?」

茜はあくまでも目の前の神様を子供として扱うらしい。

「この俺様に分からないことはない」

茜の態度を注意しようとした、九十九を手で制して神様は茜に向かってそう答えた。

「へぇー。そうなんだ凄いね。そう言えば、名前なんて言うの?」

「俺様の名前か?海だ。うみ、でかいだ。良い名前だろ?昔、お前の様なやつに貰った」

神様は誇らしげにそう言った。どこか、寂しそうに。

「海か。うん!良い名前だね!じゃあ、海くんだね」

そう言って茜は屈託の無い笑顔を神様に向けた。

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