第11話 球速の伸び

「よし、124kmが出たぞ!」

練習試合が終わってから2週間が経ち、今までどおり投球練習に励んでいる。


投手の能力は球速、制球、スタミナ、変化球の4つだが、試合後は、その活躍に応じて全ての能力が上がる。

ゲームをしていた時は、スタミナが上がるのを不思議に感じていたが、実際に試合をしてみると分かる。

非常に疲れるのだ。


球速はプラス1(2週間の投球練習でさらにプラス1がなされ124km)、球数の疲れ具合からスタミナもプラス1で数値51、カットボールも変化が大きくなっている気がするので、プラス1で合計2になっていると思われる。

制球は、元々、数値の変化が感じにくいので、良く分からない。

ちなみに、1打数1安打(ライト前ヒット)だったので、打撃の方も少し上がっているはずだ。


(ただ、球速の伸びが遅いのが気になるな。)


球速の上昇に当たっては、隠れ数値として、球速ポイントがある。

これが一定の数値を越えると球速が1つ上がるが、以下のように、その時の最高球速によって必要なポイントが変わってくる。


 ・130km未満 10ポイント

 ・130~140km 15ポイント

 ・140~145km 25ポイント

 ・145~150km 40ポイント

 ・150~155km 55ポイント

 ・155~160km 75ポイント

 ・160~165km 100ポイント

 ・165~170km 125ポイント


といった具合だ。

球速の評価が高い割に、140kmまでなら上げやすくなっている。


投球練習は、1週間続けることで10ポイントを得られる。

これまで投球練習を4週間続けたので、40ポイントを得ているはずだ。

試合での獲得ポイントは、対戦相手の強さや活躍の内容によるので計算が難しいが、3回無失点の活躍なら10ポイントは固いはず。

そう考えると、合計50ポイントとなり5km上昇の125kmになるはずだが、実際は124kmだ。


(この原因はなんだ?主人公じゃないからか、現実はそんな簡単に球速が上がらないということなのか?)


投球練習と試合での能力上昇を考えると、地区予選の準決勝までには130km後半、筋トレの効果次第では140kmになると思っていた。

そうなれば、甲子園出場も見えてくる。

だが、この伸び方だと、それは難しそうだ。


そう考えていると、グランドに投球用保護ネットが運ばれてきた。

「え?これ、なに…?」


そう困惑していると、西野先輩が寄ってきた。

「部費で買ったんだって。これで効率良く打撃練習ができるらしいよ。」


確かに、このネットは部費で購入できる備品の1つで、打撃技術と選球眼を上げる練習ができるようになる。

だが、練習試合で活躍したので、何を購入するか介入ができるはずなのに、そんなイベントはなかった。


「けど、これを買うって聞いてないんでけど。」

「金沢と藤堂先生で話して決めたんだよ。まぁ、私もその場にいたけど、何を買ったらいいかとか良く分からないし、聞いてただけだけど。」

「へぇ~。」


1年生が備品購入に関われるのが本来変といえばそうだが、どうも自分の知っているゲームの世界とは違っている…。

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