第4話 学生の本分は

「さすがに疲れた…。」

あの後、ノックのボール渡しやボール拾いなど、散々にこき使われた。

巻き込んだ新田に文句を言われるかと思ったが、疲労困憊のようで、着替えたら早々に帰っていった。


ここまで疲労感があると、帰宅したら、すぐに寝てしまいそうだ。

だが、ここは踏ん張ってやらなくてないけないことがある。

それは、放課後イベントだ!


ゲームでは、イベントはランダムに起きていたが、ここは現実なので自分の意思で起こせる。

これを活かさない手はない。


放課後イベントは、大きく分けて3つある。

1つ目は、自主トレで、公園で素振りやダッシュをする。


練習以外で能力を上げられるのは良いのだが、あまり効率が良いものではなく、お勧めできない。

幼なじみの女の子に会えるので、付き合いたいなら必須イベントになるが、自分は新田ではなく畠なので、気にする必要はない。

ちなみに、幼なじみと聞くと期待するだろうが、あまり可愛くない。

能力が上がるバットとかをくれるので、とにかく能力が高い選手を育てたいというプレーヤーには良いけど。


2つ目は交友イベントで、部員や彼女と遊んだりできる。

疲れが取れるし、仲も良くなる。

部員と仲が良いと、ダブルプレーなどのチームプレーを行いやすくなるのでメリットはあるが、さっきの雑用で評価が上がっていくはずなので、必要ない。

そして、彼女は今はいない。いや、別に何も悔しくないよ。


最後の3つ目は、勉強だ。

練習時のコマンドにも勉強はあるが、放課後イベントにもある。

ゲームの説明書には、学力が低いと留年しゲームオーバーになるとだけ書いてあるが、実はもう1つ意味がある。

それは、試合後の能力上昇が増えることだ。


試合が終わると「もっとこうすべきだったかなぁ。」と言って、自分のプレーを振り返り、能力が上がる。

ただ、上がるのは技術系の能力だけだ。


ゲームでは以下の能力があり、それぞれ1から100までの数値で表される。

 ・打撃技術

 ・パワー

 ・選球眼

 ・走力

 ・走塁技術

 ・送球技術

 ・捕球技術

 ・打球反応


学力が高いと、名前に「技術」と付いている全てのものに対して、試合後の能力上昇がプラス1される。

学力も1から100までで表示されるが、1年生は60以上、2年生は70以上、3年生は80以上あると、加算されるシステムだ。


ちなみに、投手の場合、これに加えて以下がある。

 ・球速(最大値170km)

 ・制球(1から100まで)

 ・スタミナ(1から100まで)

 ・変化球(各球種0から10まで)


試合は地区予選で8回、甲子園は6回で合計14回あるので、このプラス1は意外と無視できない。

なので、地区予選が始まる前に、しっかり勉強せねば!

お風呂と夕食をすませたら、すぐに机に向かうぞ。


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「ぐー、ぐー、ぐー。」

「はっ!しまった、寝てしまった…。」

世界史の教科書の1ページ目を読んでいる途中で、寝てしまったようだ。

時間を見たら、深夜の2時だった。

「………。今日はもう諦めて、ちゃんとベッドで寝よう。」



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