第4話何も知らないくせに

僕には、デキの悪い義弟がいる。

こいつは、30くらいまでバイト生活していた。

こいつが仕事してないとき、僕は腰椎骨折で一日中寝ていた。

障害年金を全額嫁さんに渡していた。

一応、ひもではないのだ。

しかし、嫁さんは僕が障がい者であることを義弟に話していない。

義弟は毎日、漫画やテレビを見て過ごし、僕は、激痛を我慢してハローワークにも通ったが、もう手術しないと駄目な身体になっていた。

診断名は。第5腰椎分離すべり症。

手術を目前に控えたある日、義弟がほざく。


「羽弦さん、寝てばっかでいいんすか?酒かタバコどっちか、辞められないんすか?毎日毎日、寝てばっかで!」

僕はバカは相手にしたくないので、

「まぁ、そうだね」

とだけ、言った。 言った本人はまだ仕事していない。

自分もプータローのくせに良く言えたな、とバカに殺意を抱いた。

それから、

「羽弦さん、タバコ1本もらえませんか?」

だと。

以前、こいつに5万円貸してやったのに、その仕打ちがさっきの台詞だ。まだ、1円も返済していないくせに。

僕は呆れて、義弟にタバコを投げた。

しばらく、僕の家庭に居候して、嫁さんに「あいつ、1人暮らしさせろよ!邪魔だ」

と、言うと、

「あの子は、バカだから1人暮らしは無理なの」と義弟を甘やかしてこの結果だ。

もう、家を出たのが6年前。バカでも結婚しやがった。嫁さんの顔も子供の顔も見たことがない。

別に見たくもない。

バカには会いたくない。陰で嫁さんから金借りてるのはバレてるぞ!

オレが嫁さんに渡した金を借りやがって!

だから、バカは嫌いなんだよな。

遺言の意味も知らないバカ。

市内から離れた田舎で暮らしているのが、救いだ。今度、何か言ってきたら、論破してやる。

バカの相手している暇はない。


敬具

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