第2話障害者雇用

僕は35歳で、障害者雇用としてデイサービスに入社した。

仕事は、皿洗い、洗濯、ご飯炊き。

毎日が忙しかった。

僕は18時上りの日勤ばかりだったので、夕方、夜勤者、遅番の若い子らに、

「お先に失礼します。頑張って下さい」

と、言って帰宅していた。

ある日、デイサービスの責任者の部長が、帰る僕を呼び止める。

「お前は、障がい者だが、こっちがわざわざ雇ってくれているんだ。分かるかぁ?だから、お前は帰る時は、『お疲れ様でした』ではなく、『今日も働かせてもらい、ありがとうございました』と、挨拶して帰れよ!」

だと。

この、男は高齢者福祉を生業としながら、障がい者福祉は理解出来んのか?

僕は、失望したがそれから、2週間、ありがとうございました。と、言って帰宅した。


それがトラウマになり、障害者雇用では働いていない。ずっと、A型作業所だ。

今年、秋までA型で働かせてもらい、それ以降、転職活動をしようと思う。

しかし、あの部長の言葉は忘れられない。

職員も、僕を馬鹿扱いした。

これが、障害者雇用の現状なのだ。

病気したくて、障害になるほどの病気をしているわけではない。

僕は弱者の気持ちが少し解るような気がする。

あれから、9年かぁ~。


敬具

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