拝啓、清々しいほどのクズのあなたへ

羽弦トリス

第1話誕生日を祝ったのに……

これは、6年前の話し。

職場でよく話す男がいた。まだ、30代前半の男。

仕事帰りに、2人でベンチに座り話していると、

「羽弦さん。僕は明後日、誕生日なんです」

「おぉ、おめでとう。家族が祝ってくれるでしょ?」

「それが、出来ないんです。家族からは無視されていて……」

僕は彼を不憫ふびんに思い、

「じゃ、僕がお祝いしてやる。何、食べたい?」

「えっ、いいんすか?じゃ、焼き鳥で」

「分かった」


誕生日の土曜日。仕事は昼に終わった。

昼飯に、餃子の王将で2人でビールを飲んだ。

ソイツは、ご馳走様も無く2人で店をでて、焼き鳥屋開店時間まで、カラオケで時間を潰した。

5時にソイツの念願、焼き鳥屋に行く。ソイツはこれでもかっ!と言うくらい、焼き鳥やサイドメニューを注文している。

お会計は3万円を超えた。


トータルで、5万円は使ったであろう。

また、ソイツはご馳走様も無く帰宅した。

そして、ソイツにLINEで。

【今夜は、楽しんでもらえたかな?】

すると、怒りが湧く言葉で、

【今夜は全然、楽しくなかったです】

【どうして?】

【焼き鳥屋の発言が凄くムカつきました】

僕は、考えた。別に何も言っていないのに。

【どこが気にいらなかったの?】

【焼き鳥屋の時の会話がお気に入りませんでした。ねぎまの説明や部位の話しがムカつきました】

僕は絶句した。他人の誕生日を祝ったのだぞ!

でも、いい勉強になった。人は簡単には受け入れてはいけないと。

翌日、ソイツに金返せよ!くそガキ!言った!

「す、すいません」

「二度と、お前を誘わんならな!消えろ…」


そう言った後に、僕は転職した。

ムカつく最低な男であった。


敬具

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