彼女のお仕事編④
「ーーここに来るの、そんなに時間が経ってないのに随分久しぶりな気がするね」
「それだけ毎日が濃かったんだよ」
私とポテトはジルの屋敷にやってきていた。
「前に来たときは怖かったよね」
「そうだね。生贄を求める吸血鬼だと思ってたもんね」
「今考えると、私達よくジルに会いに来たよね」
ポテトと笑っているとコツコツと靴音がし、屋敷の主が姿を現す。
「ーー中へどうぞ、お姫様?紅茶はお好きかな?」
久しぶりに会ったジルはとても綺麗で目を奪われる。
「えぇ、大好きよ。歓迎してくれてありがとう、ジル」
☆
「ーーなるほど。そういう経緯で我のもとに来たんだな。てっきりサトミが我の花嫁になりにきてくれたのかと思ったぞ」
ジルは私の髪の毛を一房とり、キスをする。
「勘違いさせちゃってごめんね、ジル。あと私には好きな人がいるんだ。……つい最近自覚したばかりだけど」
「それは誰が聞いてもいいかな?」
「もちろん。私と同じ転生者だよ。名前は
「ということは彼も死んでしまったのかい?」
「……えぇ。私を追いかけての後追い自殺だったんだけどね。だから私がサクを殺したようなものなんだ。神様がサクが幸せになれるようにって私の記憶を封じてる。人助けの話は前にしたから覚えてるよね?」
「あぁ、覚えているとも。我は彼の記憶が戻るように祈り難いな」
なぜならサトミのことが好きだからなとジルが私の耳元で囁く。その色気に私の顔も耳も真っ赤になる。
「はは。りんごみたいに真っ赤だな。かわいい」
ちょっと待っていてくれとジルが席を立つ。
「ーー旅支度をしてくるよ。サトミに協力しよう。血の鑑定は感覚的なものだ。教えるよりも我が共にいたほうが効率的だ」
意外な申し出に私はパチパチと瞬きをする。
「まぁそれは建前でしかないがな。共にいる口実さ。だから気にしなくていい」
ポンポンと私の頭を撫でるジルの手は優しかった。
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