彼女のお仕事編②
「……今更だけどさ、ひとつ聞いていい?」
「いいよ。どうしたの、サトミ?」
「どうしてポテトはこんなに大きくなってるの?いや、もともとポテトは大きかったけど私を乗せれるほどじゃなかったじゃん」
「ーーそれはポテトが君を守りたいと思ったからだよ。いらっしゃい、ポテト、サトミ」
神様が笑いながらポテトを撫でている。
「お久しぶりです、神様。そうだったんだね、ポテト」
「ボクはサトミのことが大好きだからね!」
「君たちの活躍は見ていたよ。まさかあのジル・ド・レイと友人になるとは驚いたよ」
「ジルってそんなにすごいんですか?」
「彼は吸血鬼の始祖だよ。実質吸血鬼のトップだね」
「……サトミ、ジルを受け入れたら良かったのに。優良物件じゃないか。サクにしろ、もしかしなくてもサトミには男を見る目がないの?」
ストレートなポテトの言葉が胸に刺さる。
サクはなんだかんだで教授だし、ジルもなんかすごい。彰人さんはすごい人だったかと言うと、そこまでではない。まぁ、このご時世に奥さんを専業主婦にできたのだから悪くはないかもしれない。
「あはは……耳が痛いよ、ポテト」
私は苦笑いするしかなかった。
「で、今日はどうした?」
「その、お願いがありまして」
「どういった願いだ?ジルのことと、今までの活躍を考えたら、ある程度のワガママは認めるが」
意外と優しい神様に私はホッと胸を撫で下ろす。
「力が欲しいんです。血を見る能力が欲しいんです」
「……血を見る、能力……?」
ふむと神様が考え込む。もしかしてここではない概念だった……?
「私の世界では“血液検査”というものがありました。それを出来るようになりたいんです」
「……こちらではない概念だな。血に関しては私よりジルが頼りになるだろう。ジルを頼るといい。わざわざここまで来てくれたのにすまないな。代わりにと言ってはなんだが、ひとつ力を授けよう。手をこちらに」
神様に導かれるまま、私は手を伸ばす。
あたたかい光に手が包み込まれる。
「ーー“創造”の力だ。食べ物に限定しているが、サトミが思う食べ物を生み出すことができる」
「作れるのは食材だけですか?それとも料理もですか?」
「料理も、だ。サトミがイメージ出来る料理ならば何でも作り出すことができる。栄養もイメージ通りになる」
「なら、カロリーのないケーキとかも出来ちゃったりしますか?」
「あぁ、可能だな」
「すごい!ありがとうございます、神様!」
すごい勢いで頭を下げる私に神様が若干引いている。
「そんなにすごい能力、か?」
「すごいですよ!ダイエットから解放されます!」
「痩せる必要はないと思うが、まぁいいか。早速能力を試してみるか?」
「はい!」
私は能力を使い色とりどりのケーキを生み出していく。
ーーサトは本当に甘いものが好きだね。
ーーそうだね。甘いものって幸せの味、しない?
ーーちょっと、わかるかも。俺のひとくち食べる?
ーー食べる!ありがと、サク。
「……初めて食べたが、ケーキとは美味なものだな」
「はい。ケーキは幸せでできているんですよ!誕生日や結婚式、ケーキは必須なんです!」
「おいしいね、サトミ!」
笑顔が溢れる。
「……こんなふうに笑えるような人と恋をするんだな」
神様の言葉に私ははいと頷いた。
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