第8話

今日は村に教会の司祭様がくる日だ。



「ダクター。準備は出来た?もう皆広場に集まってるみたいよ」



「あ、母さん、今行くよー」



「全く。朝から森に行くから遅れるんだぞ」



「だって父さん、もしこの村の近くで金属が大量に取れるようになったら凄い事になるんだよ?色々調べたい事もあるし」



「別に父さん達や皆も、今のままでも充分だと思うぞ?」



「それは分かってるよ。でも僕はこの村を離れずに物作りをしたいんだよ」



そうして話ながら僕達は広場に到着した。今日は恐らくこの村の全員がここに集まっているだろう。



「皆さん集まりましたね。これから皆さんに祝福を授けます。これはこの国の国王からの褒美です。それでは最初に受けとるべきもの。ダクター殿、前へ」



僕は司祭様の前に立ち、その場で屈み、片足を付き、手を合わせた。



「汝に神の祝福があらんことを」



すると僕と司祭様が淡く光出し、ゆっくりと光が収まった。



「なっっっ何と言う事でしょう」



突然司祭様が慌てふためき、僕に祈り始めた。



僕は一体どうすれば?



「突然失礼致しました。ダクター様。どうかお許しを」



「あ、あの、急にどうしたんですか?僕は全然気にしてないので」



「失礼しました。そうですね。貴方様は知恵の神からの加護が授けられております。これはとても特別な事です。ある日突然魔力量が増えた事はございませんか?その時に知恵の神の加護が完全にお体に馴染んだ瞬間でございます」



あ、あの時か。初めてゴブリンに襲われた後村に戻るとガストン爺さんに、お主急激に魔力量が増えておるぞ?って言われたんだよな。



「どうやら覚えがあるようですね。貴方様には困難を解決出来る知識と発想力に恵まれています。特に物作りにて力を発揮されるでしょう」



「分かりました。ありがとうございました」



おー。びっくりした。何かメチャクチャ目立ってしまった。



それにしても、知恵の神の加護って何だ?後でガストン爺さんに聞いてみよう。



祝福の儀式は3日間行われた。



グリンは戦いの神から愛されているらしい。でも加護は貰ってないと。そして意外な事に騎乗への適性があるらしい。どんな乗り物でも扱いやすくなり、戦闘を有利に進める事が出来るとか。



グリンの妹のエリンは、計算と調整と管理に適性があるらしい。商人に向いているらしい。これは良い才能だ。今度給料払ってお金の計算とかをお願いしようかな。



王都で稼いだお金が管理しきれないほど沢山あるんだよな。



村の人達は殆んどが農業への適性がある人達だった。まあ農業が好きな人が集まった村みたいな所だからな。



「ところでグリンは将来どうするんだ?親父の後でも継ぐのか?」



そう言いながら、僕はグリンが持ってきた球体に手を乗せながら話している。



「親父の後は継がねぇよ。警備隊ってあまり戦わないだろ?それに書類仕事とかしたくないしな。探索者にでもなろうかな」



「ふーん。じゃあ僕に雇われない?物作りって結構モンスターの素材が必要なんだよね。普通に売ってる物は良いけど、無い物は捕りに行かないといけないんだよね。僕には無理だし」



「おぉ。良いのか?喜んで働いてやるぜ」



「取り敢えず給料は月に金貨1枚で、モンスターの素材を買い取るって形にしよう」



「後はお金の管理とか資材の管理とか出来る人も欲しいな」



ちらっとエリンの方を見てみる。



「給料いくら?」



「んー。取り敢えずは月に金貨3枚位かな。後は仕事次第でって感じ」



「じゃあ私も雇って。数字は得意なんだから」



まぁ元々エリンは雇いたいって考えてたしな。向こうからお願いしてくれるなら此方にしても嬉しい。



「じゃあ二人とも採用って事で。まあまだ工房を開くには色々考えないといけない事もあるし、当分先だな」



「それにしてもこの玉まだ吸収してるの?あれから毎日やってるんでしょ?」



「僕にも分からないんだよね。今日で10日目だし、僕の魔力量って多いって言われてるガストン爺さんの100倍近くあるらしいんだけど」



「ねえ。これってホントに大丈夫なの?本当は危ないやつなんじゃないの?」



「それが分からないんだよね。本で色々調べても分からないし、ガストン爺さんに聞いても知らないみたいだし、何処かに持っていく訳にもいかないし。あれ?」



「どうしたんだ?」



「あ、魔力が入っていかなくなった」



「ふーん。で、何か変わったの?」



「特には何も?あれ?何か段々色が変わってるような?」



「確かに。俺が拾った時は薄汚れてたけど真っ黒だったぜ」



「今は赤黒く見えるな」



「ダクター兄さん、何か光ってるように見えるんだけど」



「奇遇だな。僕にも光ってるように見えるよ」



「なぁ。これってひょっとして不味くないか?」



「取り敢えず洞窟の外に避難だ」



僕達は洞窟の外まで走った。



「なあダクター。いつまでここで待ってれば良いんだ?」



「確かに。ここからじゃ中の様子が分からないし、今日はそのまま村に戻ろう」











ふう。洞窟でのあの光は何だったんだ?明日にでも行けば何か分かるかな?今は考えても分からないか。



それにしても知恵の神の加護か。もしかしたらこの加護のおかげで前世の記憶を引き出せるようになったのかもな。



神の加護で有名なのが700年前の賢者様が授かった魔道の神の加護が有名らしい。



幼少の頃から誰に教わった訳でも無いのに様々な魔法を扱いだし、成人する15歳には膨大な魔力を獲得したらしい。



そして後に伝えられるような様々な魔法や刻印魔法、本当にありとあらゆる魔法を編みだし、この世界の魔法学の基礎を作り上げた、まさに賢者だったと。



とにかく加護を授かる事は凄い事らしい。



まあ今の所ガストン爺さんや両親や村の皆も特に気にした様子もないし、この村にいる限りは特に今までとは変わらないだろう。



今日はもう寝よう。











「もう朝か。最近は魔力を消費し過ぎて少し疲れが残ってるな」



《おはようございます。マスター》



「は?」



今何か聞こえたような気が。



《おはようございますマスター。お目覚めですか?》



おいおいおい。何か聞こえるんだけど。



「あのー。どちら様で?」



《マスター。私はマスターの魔力により再生されたダンジョンコアです。マスターの魔力のみで再生された私はマスターの眷属になりました。眷属となった為、マスターとの念話が可能となりました。何なりとご命令を》



「なんじゃそりゃーーーーーーーーー」





ーーーーーーーーーーーーーーー


捕捉。


1年→360日

1ヶ月→30日

1週間→10日


銅貨→10円

大銅貨→100円

銀貨→千円

大銀貨→一万円

金貨→10万円

大金貨100万円

金盤→1000万円


普通の農家の収入は月に金貨1枚程度。食べ物は畑で取れるので何とか生活出来る。


お店の店員は計算が出来る人で月に金貨1枚と大銀貨5枚程度。


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