第3話
「ガストン爺さん、この耕運機って、手で押しながら動かすんでしょ?じゃあもっと大きくして、魔道車みたいに人が乗れるようにたらもっと効率良く、広大な畑を耕す事も出来るんじゃない?」
「ふむ。まぁ出来ない事もないじゃろうが。よし分かった。では試しに設計図を書いてみよ。わしが持っている魔道車の本を貸すから自分で考えてみるとよい。間違いが有ればわしが直してやるから心配するな」
「うん。ありがとう。頑張って書いてみるよ」
そうして僕はガストン爺さんから借りた本を読みながら、実現可能そうな前世の技術を応用して設計図を作る事にした。
「うーん。ここはこれで良いとして、ここをこおするとこのパーツが必要なんだけど、これって作れる人居るのかな?とりあえず作れるって事にして、次はここがこうで・・・・・・」
それから数日後。
「おはようダクター。早く起きないとご飯冷めちゃうわよ」
ん?何か母さんの機嫌が悪そうだ。寝坊して手伝いが遅くれたからかな?
「おはよう母さん。急いで水汲み行ってくるよ」
「まったく、部屋もこんなに散らかして、ちゃんと片付けしないと床に落ちてる紙は全部捨てますからね」
しまった。そっちだったか。適当に書いたやつは後で清書するからってその辺に投げ捨てたままだった。
「ちょっちょっと母さん、これは全部必要な物だから捨てないでよ。後で片付けるからさ」
「捨てられたくなかったらちゃんと片付けしなさい」
「うぅぅ。分かったよ」
それから急いで水汲み場に到着。すると後ろから声を掛けられた。
「おはようダクター。最近見かけないと思ったらこんな時間に来てるのか?あ、そう言えばこないだ約束した森に行く話どうなってるんだ?いったいいつ一緒に行くんだよ?」
「おはよう。あぁそう言えばそうだったな。すまん。今魔道具の設計図書いてて、それが終わるまでは行けそうにないな」
「まあ良いけどよ。それにしても設計図だっけ。あんな細かいもんよく何枚も書けるよな。あんなもん書くどころか見るだけで鳥肌たってくるぞ」
おいおい。想像するだけで顔が青ざめてるぞ。まあグリンには一生縁のない物だろう。
それから数日後、遂に設計図が完成した。
「遂に完成したな。作れるかどうかはとりあえず置いておいて、ガストン爺さんに見せにいくか」
そしてガストン爺さんの家についた。
「ガストン爺さん居るー?」
「おう。おるぞ。入って来い」
「ガストン爺さん、とりあえず設計図完成したからここに置いておくよ。精神的に疲れたから今日は帰るよ。見終わったら家に来てよ」
「ほっほっほっ。よいよい。ゆっくり休むがよい」
そして僕は久しぶりに何も考えずに眠ることが出来た。
「おはよう。父さん、母さん」
「おはようダクター。設計図は完成したの?」
「うん、取り敢えずはね。後はガストン爺さんのアドバイスを聞きながら直していく感じかな」
「そう。楽しいのは分かるけど、無理はしないようにしなさい」
「うん。ありがとう。水汲み行ってくるよ」
水汲みから帰ってくると、なんと家の前でガストン爺さんが待っていた。
なに?何か怖いんだけど。
「おはよう。ガストン爺さん。こんな朝早くからどうしたの?」
「ダクターよ。朝飯食べたらわしの家に来なさい」
「う、うん」
何かもの凄い真剣な顔で言われたからたじろいでしまった。
いや、まじでなにごと?
「ガストン爺さん、きたよー」
「おお。ダクターか。入りなさい。後入ったら鍵も閉めるように」
「う、うん」
何かもの凄く怖いんだけど。
「ダクターよ。この設計はおぬし独りで考えた物で間違いないな?」
「う、うん。一応本を参考にはしたけど、それ以外は僕が思い浮かんだ発想を実現出来そうな範囲で書いた感じだよ」
「ふむ。なるほど。なあダクターよ。これをわしと一緒に作ってみぬか?この設計図は見れば見るほど良く出来ておる。おぬしの考えた仕組みは画期的じゃ。こんな物を見せられては黙っておれん。直ぐに作るぞ」
おいおいこの爺さん大丈夫かよ。ホントにこれ作る気なのかよ。
「ガストン爺さん、作るのは良いけど、お金はどうするの?もちろん僕はお金なんてないし、しかも動力炉ってめちゃくちゃお金かかるんでしょ?」
「お金の事は心配するな。全てわしが出そう。これでもわしはお金には困っておらん。ここでは滅多にお金も使わぬしな」
あぁ。この爺さん本気だ。目が充血してるし。興奮し過ぎて倒れないかが心配だよ。しかも僕も強制的に協力しなきゃダメなやつだ。まあ設計したのが僕だから仕方ない。
「分かったよ。ガストン爺さん」
「良く言った。では早速ひとつひとつのパーツの強度計算からじゃ。楽しくなってきたのお」
笑顔が歪んでますよお爺さんや。口角ってこんなに上がったかな?
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