12.そうなん?遭難です。

一人で歩いている誠が何故か暗い夜道を一歩ずつ進んでいた。

歩く度に足元がぴちゃぴちゃと鳴りながら前進していると

後ろを通り過ぎた気配がしたので振り向くが誰もいなかったため首を傾げながら前を向くと、目の前に大きな蜘蛛がいたため「うわァ〜〜」と叫びながら来た道を逃げようとするが、足元が湿った泥道だったのでうまく走れず蜘蛛に食われそうになるところで目を覚ました誠。

汗を垂らしながら「夢か...」とため息を付いてトイレに来ていた。

あくびをしながらトイレのドアを開けながら「ねみゅたい...」と言った。


(山の道・昼)

誠の心の声「今日は夏休みに入って1週間目にして山にピクニックに行くことになったんだ」

バスが山道のカーブを曲がっているとバス停が前方に見えてきた。

小鳥同士がじゃれあっているのがバスの窓から見えたりと窓に手を当てて眺める誠は携帯で写真を撮って上手く撮れてるか確認した。

バスが目的地に到着してバスから降りると外とバスの車内との温度差に対して思わず「うわっ」と声を発しながら氷が入った水筒をジャラジャラとなりながらごくごくと飲み「セミは鳴いてるし、暑すぎるし、道は登りだし、これじゃあ日傘でも持ってこりゃあ良かったぜ…」と珍しく愚痴を言いながらまっすぐと前へ前へと歩きながら道端に落ちている枯葉を蹴散らして進んでいく。枯葉がそよ風で飛ぶ。


(那月・冷房の効いた部屋)

那月の家の外では枯葉が優しい風でひそひそと動きながら家の玄関前に止まる。

部屋にいる那月は「あーあっついあっつい」とうちわで仰ぎながら扇風機をつけてエアコンもガンガンに効かせながら窓の外の太陽の眩しい様子を見つめながら「こんな暑い中に外に出るのなんて用事がない限り無理ね」と言ってトイレに向かう途中でリビングでつけっぱなしにされてたテレビを見てみると、ニュースのないように「登山者が熱中症で倒れた」という表示されてるのを見た那月は「こんな暑い中に山に行くバカとは付き合いたくないわね」と呟きながらトイレに入る。

(山の奥・喫茶店)

喫茶店前までやってきた誠は喉がカラカラになりながら「ハァハァ」と息を切らしながら水分補給を繰り返していると水筒がバスを降りた時よりも軽くなってることに気づき「もうちょっと温存しなては」と思いながら喫茶店の中に入る誠。

喫茶店の店員「いらっしゃ〜い」

誠は生き返るかの如し目をうるうるとさせながらまるで天国にでも来たかのように誠の妄想の世界が広がった「ここは天国」と言っているとお店の人たちが不思議そうに誠を見つめ店員が「大丈夫かい?お客さん…熱でもあるんじゃ…」と優しめの小太りのおばさんが心配そうに言って、その店員は「あなた、氷水を早く持ってきて」と大きな声で言って店主が「どしただ?」

店員「まだ若いのにこんな所まで来たらしいのよ」

店主は驚いた表情で「ほえ〜、ここらと言えば街まで車でも1時間半はかかる場所やぞ」と言いながらお水を誠に渡すと誠はお水を飲み干しおばちゃん店員は「あんたいくつだい?」と聞くと誠「14です」と言ってコップをおばちゃんに向けて「それとこれはおかわり」と言っておばちゃんは氷の入った水のポットを持って注いだ。

店主は近くの席の椅子を引いて座ると「それにしてもこんなところに来るなんてここいらじゃ珍しい若い客だよ」と言って「な〜みんな」と店主は常連客にお声かけをすると常連客も「うんうん」とみんなが首を揃えて頷いた。

誠はうどんをすする、食べっぷりの良い様子を常連客は眺めながら誠は「何か顔についてますか?」と聞くと常連客Aは「いやぁ美味しそうに食べるな〜と思っただけだよ」と微笑みながら言う。

会計をする誠。

お店を出る際におばちゃん店員が「ここらではクマとかも出るから気をつけてな〜」と言う。

誠は「お気遣いありがとうございます」と言ってお店のドアを閉める。

セミの声と暑さでバスの時のフラグを感じる誠。

誠は道を先に進んでいくとクマの警告の看板が誠は気づかないまま進んでいく。

木々が立ち並び山の不安定な道を歩いていると生臭い匂いがしていた。

誠の携帯には母から電話があった。

母の声「山奥まで行くって言ってたけど、こんな暑さで大丈夫?」と言うと誠は「大丈夫だって、こんな時のために熱中症対策のアイテムも用意してるんだし」

母の声「カバンの中に塩飴を入れといたから舐めておくといいよ〜」と言って誠は「そうなん?」と気づきカバンの中を漁っていると雨が見つかった。

誠は「本当だ」とつぶやく、スマホをいじりながら先に進んでいると足を滑らせて崖から落ちた誠。

(誠の家のリビング・夕方)

夕日が沈もうとしている中、誠の母はお皿を磨いている。

「時間なのに連絡の1本も無いなんておかしいわね…」と言って電話をかかるが「おかけになった現在、電波の届かないところにあります」と言って母は「そんなこともあるのかしら」とテレビを見ていると報道番組でニュースキャスターが「山での遭難率とその理由について触れて行きたいと思います」と言う。

誠の母は携帯のフォルダーの写真の家族の記念写真を見ながら「今日帰って来なかったらどうしよ…」と少し泣き気味になっていると玄関から「ただいま〜」と誠の声が聞こえて母は嬉しそうに「おかえり」と言って誠を抱きしめた。

誠は驚きながら「えっ…急にどうしたの?」と動揺した感じで言うと母は「無事に帰ってきてくれて良かったわ」と言って「さぁ早く夕飯にしましょ」と言って外では夕日が沈んだ。

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事件ですか?いいえ事後です。 @Panappu2002

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