10.嘘よりも大事なのは人の心
(朝・図書館)
誠は南と一緒に図書館に来ていた。
南「その本はなに?」と誠が前に借りていた本を取り出すと誠は「これ?これは様々な役割分担や責任の重さがあるのかないのかを調べてたんだ」
南は顎に手を添えて「随分と分厚いのね」と言った。
誠「今日借りるのは嘘をついてもバレるのはなんでか調べに来たんだ」
南「ふーん、誠くんって意外と嘘つき?」
誠「なんでそう思う?」
南「いやっ、特に深い理由はないけど嘘をついても嘘だとバレないように調べに来たのかなって思って…」
誠「人聞きの悪いことを言うな」といって扉を開けたらそこには悟が立っていた。
誠と南は避けながら教室に戻ろうとすると悟が「謝りたいことがある」と言って誠は軽く反動して振り返り悟の顔を見た。
誠「はいっ?」と言い、南「私たちに何か用事?」と首を軽く傾けて聞くと悟は「あっいえ、誠さんに用事があって」と言うと誠は沈黙の状態で南と目を合わせて、南は周りを見渡しながら「私、そろそろ行くわ」と言って去った。
誠「それで?用事ってのはどんな内容だ?」と階段に座りかかると悟は「ツボを割ったのは僕です」と言い誠は「えっ…」と動揺していた。
悟は頭を軽く下げながら「すみませんでした」と言うと誠は「今更すぎたことはいいよ」と言って悟は明るい表情に変わり「ありがとうございます」と言うと誠は「ただ、それって行けないことを隠して今日まで平然と学校に来てたって事だよね?」
悟の表情は曇り手でズボンを軽く握り、誠は「社会に出たらそれは器物損壊罪とかにあたるから気おつけた方がいいよ、学校ではなかなか法律関係のものを教えてくれる先生は少ないからね」と優しい笑顔で言って悟は驚いた表情を一瞬見せてから「すいませんでした、これからは気おつけます」と頭を下げて去り、それを見ていた誠は「やべっチャイム鳴っちゃう」と言って慌てだした。
(田舎の中学校・朝の会)
田中先生「今日は都会から転校してきた生徒がいます、入りなさい」と言ってドアを開けて入った那月。
周りを見渡すと珍しそうにみんながこっちを見ている中、先生は黒板に名前を書いていた。
先生「改めて自己紹介をしてください」
那月「はっはい」とカタコトで話すとクラスの人達が笑い始めて少し照れた表情になり、先生は「静かに」と言ってみんなが静かになるのを確認してから「どうぞ」と言った。
那月「私の名前は…」
(幸太郎・1年生のクラス)
幸太郎は黒板にお題を書いて「今日は正の数と負の数の2をやって行きたいと思います、教科書は」と言って開き初め「えっと、43ページを開いてください」と言った。
(2年B組・1限目)
誠は那月がいた席を見ていると山田さんと目が合った瞬間に目を逸らし、山田は目を研ぎ澄ましてそっぽ向いた。
(音楽室・誠)
誠はいつも通り吹奏楽部で練習していた。内心では「那月さん…今頃どこで何してるんだろ」と思っていると先生に「誠くん、音程が外れてる」と指摘され誠は「はい、すみません」と言う。
吹奏楽部のモブ「誠がミスするなんて珍しいな」と言われたりした。
(帰宅途中・誠)
南「おーい、今日はどうしたの?」と顔を伺うと誠は「ん?なんだか好きな人が目の前から消えると虚しいというか…寂しいというか…」
南「誰かいなくなったの?」
誠「あぁ、俺が好きな那月が数日前に転校してしまったんだ」
南「那月さんねぇ、急にいなくなるなんて珍しいわね」と手を組んで右腕を顎に当てた。
誠「まぁ人には人なりの事情ってもんがあるだろうけどな…なんかこう、胸のどこかが乾いたと言うか…ポツンと何かが消えたというか…」
南「そうなの?」
誠は南に対して目を細めながら「はい…そうです」と言って呆れた表情で先に進むと南は「じゃあ今日の練習が上手くいかなかったのもそーゆー事だったんだね〜」とステップをし始めた。
誠「あぁ…練習の件はすまなかった、僕が優先順位の意識が足りなかったよ」と言うと南は笑いだし、誠は「おい、何がおかしいんだよ…」と言うと南は「なんかさ…誠が”僕が”って言うと違和感しかないっていうか」と再度笑い、誠は照れた顔で「当たり前だろ! 俺は今複雑な気分なんだから」と地面を見た。
南「誠に人の心があってよかった」
誠「ん?人の心?誰にでもあるだろ?」
南は軽く空を見ながら「いやまぁ…誠くんはいつも何かを調べたりロボットのように計算とかも早くて人間味?というか人の心があるのか疑ってた時があるんだ…でも勘違いしないでね、あくまでも私が客観視してたことだから」と苦笑いして言い「そういえば今日の朝、あの人はなんの用事だったの?」
誠「あぁ、あの人は壺を割った本人らしい…けど謝りに来てくれたし過ぎた事だから気にしてないんだ」
南は頬っぺを丸めながら「なんか誠くんって心が広くて時々怖いまである、人の心ってそんなに強いのかな?」
誠はキリッとした表情で「むしろ嘘よりも大事なのは人の心だからな」
南「それは言えてるね」
(職員室・帰宅時間)
生徒が職員室前にいた幸太郎先生に写真を見せてこう言った「先生ですよね、何人もの女子生徒にみだらな行為をしていたのは…」
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